異能者たちの苦悩-先にあるのは絶望のユートピアか? 希望のディストピアか?-【オカルトも神話も、歴史も今も、世界も宇宙も、すべてはひとつに集約される】
第270話 開放能力(オープンアビリティ) 虫の報せ
第270話 開放能力(オープンアビリティ) 虫の報せ
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【寄白繰】:
・1、蛇は真野絵音未を唆したかもしれない。
・2、蛇は人体模型をブラックアウトさせたかもしれない。
・3、蛇はバシリスクを操っていたかもしれない。
(バシリスクは不可領域を通ってきた)
・4、蛇は日本の六角市にいるかもしれない。
・5、蛇は金銭目的で暗躍しているかもしれない。
・6、蛇は両腕のない藁人形(忌具)を使って、モナリザをブラックアウトさせたかもしれない。
・7、蛇は二匹(ふたり)いるかもしれない。
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やっぱり、今、俺が思った以上のことはないな。
ただ蛇が二匹いるならその一匹の目的は忌具かも?ってことはあるかもしれない。
俺はまた【Viper Cage ―蛇の檻―】の画面を上下にスクロールさせてからアプリを閉じた。
『沙田くん、どうしたの?』
えっ!?
と、突然社さんの声が聞こえてきた。
……な、なんだ? 幻聴? それとも四階にきすぎて呪われた? やっぱり俺は塩のバイオテロで死んでたのか? ってあれから一ヶ月以上経ってるからそれはないな。
『別に呪いでもなんでもなくてこういう能力よ』
ま、また社さんの声が……し、しかも俺の心の声が社さんにきこえてるし。
なんで? どうなってるんだ? の、能力ってなに? ってこの返答が返ってくるのか?
『沙田くんがまだ使いこなせないだけ」
こ、これはいったいなに? やっぱり心の声がもれてる。
えっ、俺本当に社さんと話してるの?
『そうよ』
本当に?
『ええ』
あっ!?
本当だ、言葉にだしてないのに俺の考えが届いてる。
『だからこういう能力なの』
の、能力とは?
『
「こ、これが?」
あっ、俺の声がした。
ってこれは俺がしゃべったからだ。
んで、今これが思ってること。
ああ、もうややこしい。
『思ってるっていうか聞こえてるけど』
そうか。
口にだそうが思ってようが社さんにきこえるのか? な、なにがおこってるの?
『えっとね、これは。
おお!?
只野先生が【能力者同士のテレパス効果】っていってた能力だ。
こ、これがそうなのか?
『そうよ』
そ、そうなんだ。
俺はてっきりおかしくなったのかと……これはこれでふつうなんだ。
てってれー♪ 俺は「虫の報せ」を覚えた。
ってゲームかよ!?
『今のなんの音楽』
えっ、俺が心のなかで口ずさんだ音楽が聞こえてるの? って、そうか? 「てってれー」は聞こえるか。
ぐはっ!!
『ぐはっ!! ってなに?』
ああ、こ、これエネミーならわかるよ。
『そうなの?』
うん。
『心に痛みや衝撃を受けたときに出る言葉っていわれた。そうなの?』
だいたいあってる。
さすがはエネミー。
ってエネミーそこにいるの?
『ええ、だって私たち今登校中だもの』
そっか、もう、そんな時間なんだ。
『ええ、まあ
エネミー元気になってる?
『うん、一日経ったから大丈夫みたい。それに九久津くんと美子が護衛してくれてるって安心感もあるみたいだし』
そっか、ならよかった。
九久津の
『そう。九久津くんのね。あっ、――何味のパフェ食べたいか当ててみろアル。っていってる』
まだいってるんだ。
『いってるわ。けど、沙田くんの虫の報せって今、覚えたのかな?』
たぶんね。
そういえば最初に
『沙田くん、今、
そうだけど。
『なにかあったの?』
それが昨日社さんと電話が終わったあとに寄白さんからメールきててさ。
『そうなんだ。じゃあ美子に虫の報せのこと訊けばいいんじゃないの?』
それが寄白さんはコンビニにいった。
『美子らしいね』
だよね。
『でも、沙田くんが覚えたての虫の報せでいちばん最初に私に話しかけてくるってなにかきっかけがあったのかな?』
えっ、いや、自分でもなんで虫の報せを社さんに使ったのかわからないんだけど。
『私に対して虫の報せを使わなければいけないって思うような心当たりない?』
印象的な出来事、か?
あっ!?
あるある、あるよ。
昨日の電話だ。
『電話?』
そう、俺が社さんに電話するかしないかでいろいろ悩んでてとりあえずDMしたんだよ。
そのときに――ああ誰か電話しなくても頭の中で会話できる力をくれー!!って思った。
『ああ、じゃあそれかもね。悩みってけっこう深層心理に関わることだからそれを打開するために能力を覚えたのかもしれないわ』
それしかないよ。
『ってことはそんなに私に電話したくなかったの?』
い、いや、そういうわけじゃないけど、あんまり会ったことなかったからさ。
それこそ最初に会ったのなんてバシリスクが現れた日の校長室だよ。
『そうだったわね』
だからそんなに親しくもないのに電話してもいいのか?って悩むわけさ。
『これを機にいつでも電話でもDMでもしてくれていいよ』
うん、ありがとう。
『でもみんなも助かってると思うよ。六角市に
そうかな?
『ええ、それに沙田くんって能力者としての素質ありそうだもの』
ほんと?
『うん。だってそもそもドッペルゲンガーを扱うなんてふつうじゃないよ』
そ、そう、ありがとう!!
けど、社さんはなにがきかっけで俺の声が聞こえたの?
『簡単よ。虫の報せって相手に電話するようなものだから沙田くんがかけたのを私がとった。だからふたりで話してるって感覚』
ああ、そういうことか。
俺が思ってることがもれてるってことじゃないんだ?
『そうよ。双方向で繋がってはじめて話せる。だから私が受けない状態で沙田くんが心の中でなにかを思っていても私に聞こえるわけじゃない』
なるほど。
『ええ、私も今
そっか、だんだんわかってきた。
へーそういうことか!!
けど社さんがエネミーの上履きを入れあげてるの?
『ええ』
まあ、なんだかんだエネミーは生まれたてだしね。
でも、この
『虫の報せは当局の人でもあんまり使わないわよ』
なんで?
『相手の距離によっては通話内容がもれる危険性があるらしいの。まあ市内の高校間の距離くらいじゃそれはないと思うけど』
なるほどセキュリティの問題か。
じゃあ、この会話も誰かに聞かれてる可能性があるだ。
『可能性ならあるかもしれない。でもたいした話はしてないし。この話を
おお、そういうことね。
『あっ!?』
ど、どうかした?
『エネミーがまたくっついてきて』
ああ、エネミーらしい。
それににしても仲いいね?
『まあね。同じ学校だし』
けど
さっきもいったけど俺が自覚なく初めて
『あれは覚えやすいからね。でも沙田くんは知らないんだよね。
真実って?
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