第271話 誰かのための能力
『これって私たち能力者が勝手に覚えるものだと思ってるでしょ?』
違うの?
『ううん。あってる』
じゃあどういう意味?
『供給してる側のこと』
供給って、ああ、つまりは
『そう』
みんな親切な人たちなんじゃないの?
『そうね……』
社さん。
なんとなく沈んだ感じだけどなにかあった?
『……ほとんどの人がもうこの世界にいない人なの』
えっ!?
そ、それって亡くなってる人ってこと? と、というか亡くなった能力者たちのこと?
『簡単にいうとそのとおり』
そ、そうなんだ。
『
そうだね。
『今、私たちに能力を開放してくれてる人たちは生前主に
えっ!?
だ、
『そうだったんだ。その人たちの能力って実戦には向かないの。たとえば反バベル作用なんて言語翻訳なわけだし。襲いかかってきたアヤカシを前に言葉を翻訳しても意味がない。夜目だって昼のように明るく見えても降り下りされたアヤカシの爪を避けられるわけじゃない。だからね戦闘型の能力者と
差別か。
同じ能力者なのに……。
『そう。こんなこといってる私だってついさっき沙田くんのこと
そういや俺もエネミーと人体模型をアヤカシの比較したしエネミーも昨日自分のことそんなニュアンスでいってたな。
『エネミーにしてもそう思う部分はあったんじゃないかな? でもエネミーの飛翔能力がきっと役に立つときがくる』
だよね!!
校長もエネミーにそのままのエネミーで良いっていってたし。
けど
『エネミーは沙田くんの能力に憧れてたしね』
そっか。
けど俺エネミーに
『やっぱりね。昨日モナリザの戦闘のあとなんか目を輝かせてたもの。でもそれってエネミー自身も自分が
そうだと思う。
『人でも物でも比較対象できるものにならなんだって
あっ、そうだ!!
和が「足す」、差が「引く」、積が「掛ける」、商が「割る」だ。
さすがは社さん、頭いい。
『ありがとう』
あっ、いまのは俺が瞬間的に思ったのが言葉にでた。
『それならなおさら嬉しいけど。でも
『これは魔障医学の分野になるんだけど。感覚的には
まさに命と引き換えの能力だ。
『反面能力者であるなら
なるほど。
悪用された場合は危険だね。
二十一ミリのあの箱に能力をつめて他の能力者に託すってことか。
『そう。つまりその人の個性の詰め合わせを他の能力者に分け与えるの。沙田くん原始反射って知ってる?』
『原始的な反射と書いて。原始反射』
……ってことは始めからある能力みたいなもの?
『そう。幼児が特有の刺激に対して起こす反射行動で、成長する過程で消えていくもの。赤ちゃんの手に指をおくと握り返してくれたりする行動もそれよ』
ああ!!
あれもそうなんだ。
『ええ、だから私は原始反射だって
子どもの将来のために能力者を遺す、か? ルーツ継承とか信託継承にも通じるね。
けど、
だったら俺も
この虫の報せだって誰かが開放してくれてるんだから。
『そう。だから考えかたによっては存命のままで
亜空間貸与って、【
外務省の一条さんか。
『えっ!? 沙田くん
えっ、うん、知ってるけど。
『外務省の人が
そうだけど、社さんは知らなかったの?
『ええ』
ああ、そっか!!
バシリスクのときに俺がたまた近衛さんと一緒にいたから一条さんのことを知ったんだった。
でも、これって「対アヤカシ組織に属する者なら一般で知りえる情報」でCランクの情報かもしれない。
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