第212話 連携プレー
{{ツインクル}}
寄白さんは俺よりも早く行動していた。
まあ当然か、俺とは反応の速度も経験数も違う。
いくつもの煌くコマが高速で宙をきりモナリザ一体一体に衝突していった。
四体同時にダメージを与えたけど仕留めるまではいってないか? ある一体は頬に当たる部分が抉れていた。
もう一体は右手が吹き飛んでいる。
あとの二体にいたっては腹の辺りがべっこりとへこんでいた、けどツインクルが貫通したわけじゃない……。
ツインクルって意外と重量級の技だったんだな。
表情のわからないモナリザはそれぞれがそれぞれに数歩ずつ後退していった。
いや、九久津の黒い風で動きが鈍ったぶんうしろに弾き飛ばされたってかんじか?
ブラックアウトしたアヤカシなら痛みなんて感じないんだろう。
その証拠に痛みに反応する声ひとつない。
モナリザは反撃の機会をうかがってるようにも見えるけど小刻みに痙攣していてそうでもないか。
九久津の技がまだ効いてる。
{{グレア}}
寄白さんは、もうつぎのイヤリングを手にしていた。
光の槍が宙に浮いている、でも寄白さんどっち向いてるんだ?
「いけ!!」
寄白さんは土に囲まれたままのモナリザのほうへにグレアを投げた。
おお!?
そっちか。
あれっ? なんか俺らって気づけば良いかんじに連携とれてる? 寄白さんのグレアはまるで土の
土の破片とともにモナリザの体のパーツも混ざっていてもうバラバラだ。
一体、退治成功!!
社さんに付き添っていたゴーレムはすかさずトドメとばかりにあたりをドスドス
社さんはというと動きの鈍った四体のモナリザを
すげー!!
バスケのスイッチプレーみたいだ。
社さんが自分の手をうしろに引くとモナリザの上から下までがギュウギュウに締めつけられてほとんどミイラ男だ。
社さんは土のほうのモナリザを寄白さんに任せて、社さん自身はほか四体のモナリザを封じたんだ。
っていってもその下準備は九久津の技だけど。
これが長年アヤカシと戦ってきた能力者たちの動き。
きっとみんないくつもの選択肢から瞬時に答えをだして行動してるんだ。
俺も見習わないと。
「いけ!! ゴーレム」
今度は寄白さんにつき添っていたゴーレムが右端のモナリザに的を絞って拳を振りかざした。
数秒のタメのあとに全力パンチを見舞う。
――ぐしゃん。
そんな音を立てて社さんの弦ごとモナリザは押しつぶされた。
毛糸の束を踏んだみたいに潰れている。
あいつってすでに頬が抉れてたのにさらに圧死か。
{{レイ}}
寄白さんは三つめのイヤリングを手のひらでかざした。
発光したレーザービームが放たれる。
コンサート会場で回転しながら夜空を照らすような光が右から二番めのモナリザを撃ち抜いた。
あいつは右腕のないモナリザだ。
そいつはそのまま蒸発するように社さんの
残りの二体は俺がやる。
たぶんこの行動は間違ってないはずだ。
意外と
こいつはすでの寄白さんのツインクルで
社さんの
ほんと戦闘に特化した
意外だけどブラックアウトしたアヤカシでも戦局を冷静に見極めればそこまで恐れる必要はない。
只野先生が書いたホワイトボードにもあったけど今の俺は攻撃力も守備力も俊敏性も一般人より上なんだから。
俺の中の弱気が消えていく。
{{
せっかくエネミーが名づけてくれたんだから使ってみるか。
俺はそれをドッジボールの要領で遠隔操作で投げてみると意外と簡単にモナリザに命中した。
おお!!
視力も優れてる。
あっけない。
ブラックアウトした真野さんの最期もこんな感じだったけど。
それでも油断大敵、最後まで気は抜けない。
俺はこの位置から消えそうな
よし
混線して絡まるかとも思ったけど今の俺はふたりの
{{
ものすごい速さでモナリザに向かって直進していったと同時に俺が最初に放った消えかけの
やっぱり、なんかできる気がしたんだよな
これが死者の反乱のときにもっと早くできてれば寄白さんも九久津もあんな怪我しなくて済んだのに……。
よしっ!!
完全撃破。
これで五体のモナリザをぜんぶ退治できた。
※
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