悪魔になってイイノ?9話 家で合流

家で合流


私は神社の外に出て、自分の家で布団にくるまっていると、着信音が鳴った。スマホを手に取ると、電波は来ていないはずなのに神奈ちゃんからの電話だった。

『……珠樹、大丈夫か? 上空から見ていたらしい、サターンから話は聞いた。今どこにいる』

「わ、私の家だよ、ご、ごめんね私のせいで皆も私といたの見られてたから、あの神社に帰りづらいよね……」

『そんなこと謝らなくていいんだよ~、というか失礼しちゃうよね~! あの人たち全員追い出したいくらいだよ~』

と代美ちゃんが私のために怒ってくれている。

「ありがとう……、でも一人でいたいから少し一人にさせて」

そう私が言うと、

「ごめんもう着いたよ。大丈夫かい? 珠樹」

と皐文ちゃんが窓から入ってきた。

「ごめんね皐文ちゃん、稲さん守れなかったよ」

「珠樹が無事ならいいさ。それにあの人が何者か僕たちは知らないしね。それから、今からここを活動拠点にするよ。今代美と焔が結界を張ってくれている」

「ありがとう……、あの人は小麦ちゃんのお姉さんなんだ」

「そうなんだ」

「うん」

私はまだ布団に包まったまま顔だけを出して返事をする。窓から次は詩織ちゃんが入ってきて、

「大丈夫ですか? 珠樹。動けるなら屋上に来てください。今からお祓いをするそうです」

「う、うん、わかった」

私たちは屋上に向かった。そこではしめ縄で囲まれた空間があり、その中で、代美ちゃんがぐるぐる巻きにされた悪魔を大幣を使ってお祓いをしていた。悪魔に取りつかれた人は苦しんでいるが、少しずつ表情が穏やかになっている。それを私たちは少し見た後、

「やはり私たちが見ていると良くない気がしますね、珠樹の部屋に戻りましょう」

と言う詩織ちゃんの言葉と共に私の部屋に戻り、私と神奈ちゃん、詩織ちゃんと皐文ちゃんは席に着く。

「では、作戦会議です。先ほど探索してみてわかったのですが、狙われているのはやはりライル姉妹のようですね。ならば彼女たちを囮にして、悪魔の親玉を退治出来たらいいのですが……」

「うん……、けどそんな方法思いつかないよ。入れなくするとかなのかな?」

「……そうだな、私たちには情報が少なすぎる。あの姉妹に恨みをというか、エスキに恨みを持っている人はこの町には多すぎる。それだから、小麦とやらを悪魔の親玉だと決めつけるのは早いかもな。他の者が成っている可能性もある。篩にかける方法は少し私に心当たりがあるが、それにはやはり情報が足りない。だから少しの間、個人行動してもいいか? もしかするとこの世界にかかわる事実に近づけそうなんだ。後、悪魔達の親玉を探す方法だが……すまない思いつかないんだ」

そう言うと神奈ちゃんは私の家から出ていこうと、玄関のほうに向かう。

「神奈! 少し待ってください。こちらの話も聞いていってもらえると……」

そう詩織ちゃんが肩に手をかける。

「……ああ、分かった。だが少し実験所にネットワークを繋げながらにさしてもらうが良いか?」

「あれ、そういえばなんでネットワーク復活してるの?」

「……ああ、私は衛星を利用せずに動くことも可能だ。知識が乏しくなるが……。私は一度家に帰ったんだ。そして、ここには風がないわけではない、だから凧を上げた。三日間使える極小電池を内蔵した通信機器を乗せた凧を。それで私たちだけネットワークを使えるようにしたってわけだ」

「わかりました。で、皐文と珠樹はどうですか何か作戦は浮かびましたか?」

神奈ちゃんは玄関に向かうドアに寄り掛かった。

「とりあえず、作戦立てるにも、情報が少なすぎるよ。なら僕と珠樹で偵察にでも……」

「ですが、それをするにもどんな情報を探ればいいかがわからないのです。それにどれが親玉かも分かって無いです。こんな状況で偵察なんて……」

「……」

皐文ちゃんはまた考え出してしまう。私は少し思い付きで、

「あ、それなら、悪魔を捕まえて命令が来ている場所を逆探知……」

「さすがにそれは……」

と詩織ちゃんが言おうとすると、神奈ちゃんが、

「……成程その手があったな。だがそれにもあの事に確証を得なくては」

「あ、あの神奈は何を確かめるのですか?」

「……確証を得てないから言える話ではない。申し訳ない」

「では、作戦が決まりました」

「「そうだね」」

「……?」

神奈ちゃんが首をひねる、どうやら頭のいい神奈ちゃんでも解らない事は有るらしい。

「神奈ちゃんを全力で守って、その確証を持たなきゃいけないことを立証してもらうよ」

「その通りです」

「……分かった。ならば、私の家の警護を頼む」

「わかったよ」

そう決まると、エスキ姉妹とサターンさん、美智さんに

「ちょっとここの防衛を頼みます。私たちは神奈の屋敷に向かいますので」

と詩織ちゃんが声をかけて私たちは神奈ちゃんの家に向かった。

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