戦ってイイノ?6話 出航前

出航


4人で船の元に向かっていると、港で皐文ちゃんと代美ちゃんのお父さんに遭った。

「やあ、そこのお嬢さん方どこに行くんだい? おじさんに教えてくれないか」

と神主のおじさん、代美ちゃんのお父さんが尋ねてきた。

「え~っとね、お父さん、あたしたちね~、ちょっと国防をね~」

そう代美ちゃんが言いかけた時に、代美ちゃんのお父さんは、

「……代美には話してなかったが、僕たちの家系は国の占いを主な仕事としているんだが、先ほど占った結果、君たちを送りださないと、この戦い、長引きそうなんだ」

「それで、この坊主、俺の処に相談に来やがった。それでお前らが最近うろうろしているのを思い出して、もしかしてと思ったんだが、お嬢さん達、あいつ等の倒し方知ってるんだな?」

と人のよさそうなのだが、少し怖いおじさん、皐文ちゃんのお父さんが言葉をつなげた。私はどう答えたものかと考えていると、皐文ちゃんが、

「物理防御って分かる? オトン。物理攻撃、砲撃や銃撃、打撃、斬撃などを通さない魔法で作られた防壁。それが全部に張られているんだと思うんだ。だからオトン、多分、今の軍隊全部戦えないよ。神奈ちゃんが魔法技術をこっそり各国に流したけどそれも確立するのに何年かかるか分からないし。だから僕たちが行かないといけないんだ」

「ああ、それは知っているぞ。だがな、お前らの気持ちを聞きに来たんだ。戦いたいのか?」

「僕は戦いたいかな。家のため、国のため、自分のために頑張りたいんだ。それが僕の気持ちだよ」

「代美はどうだい?」

と少し心配そうに代美ちゃんのお父さんが聞く。

「え~っと、私はね~守りたいんだ~。私に力はないけどね~、友達を守り合えたらいいなって思うんだ~。このみんなと仲良くできる世の中をね~。そしてみんなと一緒ならどこまでも行きたいんだ~。皆と一緒に死ねるなら本望だよ~」

腕を組んで考えている代美ちゃんのおじさん。少し待った後、目を開いて、

「死ぬなんて軽々しく言うものじゃないよ、死なずにちゃんと帰ってくるんだぞ! だけど、わかったよ。じゃあ他の二人の話も聞かないとな」

私の意見を言おうとした時、神奈ちゃんが、

「……私は、元から死なない体だから、死ぬ気はない。だが私はあの大陸がどうなっているのか見てみたいんだ。それに私も日常を守りたい。だから行く。それに奴らは私達を狙っている節もある。だから守るだけではだめなんだ」

すると、少し、代美ちゃんのお父さんの目がきつくこちらを見ている。これって私は行くなって感じなのかな? 多分私が行かないって言ったら、代美ちゃんを引き留められるからかな……。けど、

「私は、世界が混乱に陥れられているのは私の所為だから……」

「そんな理由でなら行くな!」

と皐文ちゃんのお父さんが怒った。

「そんな後ろ向きな理由だと、他人のためだと死んでしまう! 自分のために、仲間のために頑張らんというのなら行かせられん!」

私はその声に、重ねるように、

「それだけではないよ。この楽しい時間が壊れてほしくないんだ。だって、戦争になったら……誰か死んでしまうかもしれない、離れ離れになるかもしれない。とても怖いよ。だから戦って終わらせて、楽しく過ごしたいんだ」

「意外としっかりした嬢ちゃんだ。何としても引き留めたかったんだがな……わかった。行ってこい。ただ、これだけは覚えておいてくれ、君たちは世界の平和のために戦うんじゃない。自分の仲間、何気ない日常のために戦うんだと、じゃないと、君たちは世界の平和という、重き荷につぶされるかもしれんからな。ただただ、自分のために戦え! また戦争に出て君たちだけでは力不足だろうがな」

と腕組みをして、後ろから火が出そうなぐらい気合を込めて、皐文ちゃんのお父さんが言った。そして、代美ちゃんのお父さんも、

「そうですね、日向さんの言う通りだ。だけどこれだけは約束してくれ、生きて帰って来てくれ。君たちが死んだら悲しむ人は沢山いるってことを覚えておきなさい」

「「「「はい」」」」

私達は船に乗り込んで船を出した。

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