戦ってイイノ?4話 久しぶりの町
久しぶりの家
家に着くと鍵がかかっており、いつも持っている鍵で開け、家に入る。
「ただいまー」
しかし返事は帰って来ず、居間に入ると、机の上に紙が置いてあり、
〟今日から仕事場に戻るから、家の事は任せた、このカードは1日に3千円まで使えるが、足りなかったら連絡をしてくれ 兄より〝
というお兄ちゃんの書置きと、カードがあり、私は一人だけの家という事実に悲しくなりながらも、そのカードを持って、買い物に向かった。
ラボ
買い物をしようと、外に出た瞬間、通話ツールで神奈ちゃんに呼ばれたため、神奈ちゃんの家の前まで来た。
「神奈ちゃん、来たよ」
インターホンを押し、通話が開始されてから、声をかける。
「……よく来た。ロックを解除する」
ロックが解除され、私は中に入る。そこには、この前のメイドロボさんが待っていて、
「こちらです」
と言うと奥の方に有った壁の前に通される。
「え、壁の前に連れてこられても……」
「いえ、ここは秘密の部屋の入り口です」
と壁にある絵画を触り始めた。するとそこの下に階段が現れて、
「さあ、どうぞ」
その階段を下りて行った。中はすごく広く、しかし、研究機材と思われる物が大量で、狭くも感じた。そこにあるデスクの一つに神奈ちゃんは座っていて、
「……来たか珠樹、ビックリしたか? ここは私のラボだ。ここでいろんな研究をしている。そして今日珠樹を呼んだのは、この前、借りた永魔のリングの改造とサモンエッグの調査が完了したからだ。永魔のリングには変装機能を付けた。あと、少し改良を施したが、今まで通り使えるはずだ」
「ありがとう! でもなんで変装機能を?」
「……私達は各自変装能力を持っているんだが、珠樹はできないからな。変装しないと周りが敵になる時、装備がない状態で襲われることは可能性として否定できない。英雄は人の敵になる話は多いからな。っと監視衛星から入った映像によると、やはりあの大陸から攻撃は行われているようだ。私達の責任だな。だが沈んだ都の王は倒したはず、誰が奴らを指揮している?」
確かに、何故攻撃できるのか解らない。あそこには人は住んで居ないと聞いた。だから安全だと判断して帰って来たのだが……。
「……珠樹、ピコ・モンデナはどうした? 捕まえてないが……」
「誰それ?」
私は首をかしげる。
「……ああ、黄色のフードを被っていた奴だ。わかってるとは思うが、皐文ではない」
「うーん、どうしたかはわからないけど、分身だけで戦っていたから、逃げたんじゃないかな?」
「……成程、奴が復活させたとみていいだろう。となると……、少しその辺で時間つぶしてくれ、案内に005号を付ける」
「? うんわかったよ」
そう言うと、どこからともなくロボメイドさんが現れ、
「ではこちらに……」
ラボの中を案内してもらうことになった。
「こちらは、光学迷彩布、簡単に言うと、自分の姿が透明になるというものです。メタマテリアルの向上によってこれは可能になりました」
とロボメイドさんが言うが、そこには何も無い。私は手で触れてみようと伸ばすと、
「痛い!」
突き指をしてしまった。その突き指してしまった所を摘まむように持ち上げた。すると、下から、ゲーム機のような物が出てきた。
「これは?」
「こちらは……申し訳ございません、データに入っておりません。神奈様に聞いてみます」
「じゃあ私はあっちで色々見とくよ」
所々で何かに躓き、見ても何もない。そこで手で触れると、何かある。なんだろうと、持ち上げると布のように何かが落ちて、そこから出てきたのは、機械のパーツのようなものだった。
「もしかして、さっきから躓いてたのって、全部片づけられなくて、隠した物? 神奈ちゃん片づけ苦手だもんなぁ」
そして奥の方に進んでいくと、そこには何も無いが、何やら線がつながっているかのように大量の線が大量に途切れていた。
「ってことは、透明化の布があるのかな?」
少しづつ手を伸ばし何かぶつかる。それをつかみ、引っ張ると、
「何……これ」
液体の中に脳が浮かんでいた。
「……それを見たからには1D10でSAN値チェックだな」
ビックリして物陰に隠れてしまい、其処から覗くと、
「あ、神奈ちゃん! こ、これはなに?」
と指さして大声を出してしまった。しかし、神奈ちゃんはそれを咎める事も無く、
「……これは……、これが、私だ」
と近くに置いてあった椅子に座り、ロボメイドさんが私に椅子を持ってきて、
「珠樹様どうぞ」
と座るように促した。
「ありがとうございます。で、どういう事?」
「……昔、私は普通の、生身の人間だった。ただ、頭の回転が速いだけのな。しかし、ある人の手によって、機械と融合させられて、このありさまだ。その際に助けてくれたのが皐文、代美、詩織、安藤、島津だった。おかげで今はこんな体だが無事過ごせている。だから今を大事にしたい」
私は思い出した。私は贖罪のために戦っていたから、気付かなかったけど、皆は日常のために戦っているのなら、あの屋上で、代美ちゃんと皐文ちゃんが言っていた、英雄になりたくないって言うのも分かる。だから、
「そっか、だから代美ちゃんたちは、そう言ってたんだ……。あのね、今の私の気持ちは、なんで私はその場にいなかったんだろうって言うのと、皆と戦う理由が違うんだなって思ったの」
「……珠樹も大切な仲間だ。だから、その場に居れなかったことなど気にするな。それにしても戦う理由が違うとはどういう事だ?」
そこにロボメイドさんが、皐文ちゃんと代美ちゃんを連れてきた。そして、お茶を出して、私は一口もらった後に、言葉を紡ぐ。
「私は贖罪のために戦ってたのが多いかな……。ルシの口車に乗せられたけど、あの悪魔たちを開放したのは私だし、私があそこで余計なことしなければって思うと……」
すると、皐文ちゃんが、
「気にしない方が良いよ、珠樹。僕たちも大変なことしてるんだけどね、例えば10精霊を開放させたり、ルシフィーユの開放もそれだね。あとは、神奈ちゃんの屋敷を破壊したりもしたから、だからすべての始まりは僕たちなのかもしれないね」
「だから珠樹ちゃんもね~、一緒に~平和じゃなく日常のためにがんばろ~」
「ありがとう。けど、小麦ちゃんを助けるまで、そんな気持ちになれないかな、だってどう考えても私の所為だもん」
少しの沈黙、しかしそれを皐文ちゃんが、
「じゃあさ、六角を見つけるまでは、自分のためにがんばろうよ。まあ僕たちも、世界の敗北までは自分の為だけにがんばるんだ。だから……」
少し不安そうに、皐文ちゃんが見てくる。私は、自分のほっぺを叩いて、
「そうだね、休憩できるときに休憩しとかないとだね」
とにこやかな顔を作り答えた。
「……じゃあ作戦会議だ」
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