友達でイイノ!8話 海に行くために
海に行くために
「この水着などうでしょうか?」
「う~ん」
私は首をかしげる。
「あたしもそれは反対ね」
とエスキさんも反対する。
「そうですか……」
と詩織ちゃんがしょんぼりする。けど、
「だって、詩織ちゃん、スク水って、スク水ってぇ」
「機能性も抜群ですし、それに着たのがもう、5年前ですので……」
「へ?」
指と指をつんつんしながら、詩織ちゃんは言う。
「いえ、最後にスクール水着を着たのが、小学1年生の時ですので……」
何とも言えない沈黙が訪れる。そして私は
「じゃ、じゃあスク水でもいいかな?」
と私が言うと、エスキさんも、
「い、いいんじゃないかしら」
と言うと、詩織ちゃんは喜々として買いに行ってしまった。
「それにしても水着この時期でも売ってるんだね」
「そうね、種類は少ないけどね」
そう言いながら、エスキさんはすごい布の少ない水着に手をかけていた。
その後、海の近くの大型量販店でそれぞれの買い物を続けていると、黄色フードがいた。(何でフードかぶってるんだろう?)と再度思い、聞こうと近づくと、向こうから手を挙げてこちらに近づこうとして、近くのショーウインドウの自分の姿を見たようで、背中にズーンって出てるくらい暗くなって逆方向に走って行ってしまった。
「え? ちょっと待ってよ! お話ししようよ」
そう声をかけながら、走って追いかけたが、角を曲がったところで、相手との距離が遠すぎて諦めた。それをどこからか見ていたようで、詩織ちゃんが、
「相手の人は足が速かったですね、珠樹。私も先回りしとくべきでした」
と私の肩に手を置いた。しかし私は詩織ちゃん恰好を見て、
「……詩織ちゃん、すごい海楽しみなんだね」
その恰好はすでに膨らんだ浮き輪、イルカのフロートを持って、水中眼鏡をデコにつけていた。
その後、詩織ちゃんと別れ、買い物を続けていると、視線を感じて振り返る。するとまた黄色フードが居たので追いかけてみた、するとどんどん人気のない方へどんどん上へと向かっていった。そして、いつの間にか鳥居が大量にある空間にいた。
「ここどこ?」
きょろきょろしていると、苦無がこちらに飛んできているのが見え、急いでその場を飛びのいた。その方向を見ると黄色フードが居た。
「何で攻撃してくるの!?」
「五月蠅いよ偽物。さっきは騙されかけたけど、珠樹の格好でも僕は騙されないよ!」
さっき戦った黄色フードと別人? けど、確かに何か懐かしさを感じる。しかし攻撃は止まず、苦無をギリギリ回避しながら、会話しようと試みる。
「ねえ、話をしようよ!」
「五月蠅い! 五月蠅い!! ちゃんと戦え!!」
「わ、わかったよ」
なぜか周りが暗くなっているので、闇のサモンエッグに闇を吸収させ、刀を召喚。相手も、忍び刀を構える。
「行くよ!!」
攻撃を開始、ライターに火をつけ、火のサモンエッグを焙る。そこからサラマンダーを召喚し、黄色フードに向かって走っていく、しかし相手も右手を前に出して、そこから水の塊を飛ばして攻撃してくる。それによって、サラマンダーは消えた。それの煙の陰に隠れながら飛び、そしてすぐ降りて、そのまま直進して斬りかかる。すると上向いていたのにも拘らず、いきなりこちらに向いて、私の斬撃を忍び刀で防いだ。しかし今度は左手を前に出してそこに電気のようなものが集まっていく。そして、
(やられる!)
と思った瞬間、上から殴られた、上を見ると、エルピスさんが居た。
「何やっているんだ? 珠樹、しかもここ異世界化してるぞ」
「いたた、ってやっぱり、違うところなんだ……。あっ戻っていく」
周りの風景が元に戻り、黄色フードは目の前で倒れていた。フードに手をかけようとすると、エルピスさんが手を押さえ、
「見てはいけない」
そう言われたため、
「なんで? さっき見たけど、違う人かな? って思ったんだけど」
と、聞いてみる。
「ああ、それなら……わからんな。だが、今回はやめておいた方が良いだろう」
と言われ、私はしぶしぶやめることにした。
「ここは我に任せろ。悪いようにはしない」
「う、うん」
そして私は船に向かって帰って行った。
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