THE GROUND ZERO 間章1 野心を抱く者
間章1 野心を抱く者
「報告致します。ターゲットは車両に乗り込み、マグナブラを離れた模様。長官の指示通り、追跡班を二手に分けて追跡させております」
「ふむ、ご苦労。では引き続き、あれを使ってターゲットの行方を追いつつ、彼らの尻尾を掴んでください。おそらく彼らはまだ、我らがアレの開発に成功していることを知らないでしょうからね」
「ははっ……では失礼しました」
ギィ……バタン。
ギィ……。
「失礼いたします、長官……こ……この大穴は一体!?」
「君が気にすることではありません。それで、ボクに何か報告があるのでは?」
「あっ……ははっ! 実は先程、グリード様よりこれからの対策について、長官と話し合っておきたいことがあるとのことで呼び出しが」
「グリード様が……」
「なんでも長官を、マグナブラの国防大臣に任命したいとのことで」
「国防大臣……ボクがついに、この国の大臣になるのか……フフッ……」
「な……何か可笑しなことでも?」
「フッフッ……ボクはついこの前まで、ただの一介の兵士に過ぎなかった。しかし今となっては兵士達の頂点に立ち、そしてついに国の中枢にまで上り詰めたということだ」
「な……なるほど! それはその、おめでとうございます!」
「フッ……君はどうだい? 上に上りたいという野心はあるかい?」
「い……いえいえ、そんな滅相もございません!!」
「フッフッフッ……そうか。まあいい、下がりたまえ」
「ははっ!」
ギィ……バタン。
「フッ……そう、ただの一介の兵士ではここまでは辿り着けないさ。人を追い越せ追い抜き、蹴倒すほどの野心が無ければ……ね」
コツン、コツン……ザッ……ストン。
「ふむ……随分と派手にやってくれたものだ。修理にどれほどかかるか……いや、もうボクにその心配は必要ないか。何故ならもう、この部屋は、兵団の長官室はもうボクの部屋ではなくなる。これからは、国防大臣室がボクの部屋になるのだからな」
コツン……コツン……。
「では向かおうかな……新たな時代を祝して……」
コツン、コツン……ギィ……バタン。
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