Long December Days:14

「ふーみん。励ましてくれたお礼にいいものあげようか」

悪戯っぽい笑みを金髪の少女は浮かべる。

「いいもの。それはどんなものなんだ?」

「いいものはいいものだよ。青銅の鍵よりもっとずっといいもの。誰でも喉から手が出るほど欲しがる、『本物の魔法使い』しか持ってないもの」

少女は満面の笑みを浮かべている。

しかし、文成は少女の提案に対して悩むことなくすぐに答えた。

「とても魅力的な提案だと思うが、僕には必要ない。青銅の鍵だけで十分だ」

「どうして?」

少女は再び口をとがらせる。

「具体的に教えてくれないということは、何か大きな罠があると考えるのが自然だろう。まぁ、こちらの理由はごく小さなものだ」

「じゃあ、大きな理由は?」

「青銅の鍵だけで持て余すほどなんだ。それよりもいいものをもらったところで到底使いこなすことはできないだろう。身に余る道具は自らを苦しめる。僕は経験と技術の及ばないところにまで手を伸ばすほど愚かではないんだ」

「そっか。ふーみんはそう言うんだね。ネタばらしするとね、いいものってなの」

そう言いながら、少女は悲しそうな顔をした。

「永遠に生きることは、呪いなのか?」

「そんな当たり前のことを言っちゃって」と少女は声を出して笑う。

「呪いだよ。NEになるということは終わりを失ってしまうということなの。全ての生物に許されているはずの権利を失ってしまうんだよ?それが呪いでなくてなんだって言うの?」

少女はやはり笑っているが、その笑いには自嘲するような響きが含まれていた。

「今の地球では技術の発達による当然の帰結だと判断されているせいかな。僕にはそう悪いものには思えないんだ。僕にとっては無用の長物に過ぎないが」

「悪いものじゃないのに欲しくないのはなんで?」

笑うのを止めて、責めるように少女が言う。ただ、それでも目と頬は笑ったままであるのを文成は見逃さなかった。それに合わせて、文成も笑って答える。

「自分の力を伸ばしたいという気持ちが永遠に続くほどの熱量を秘めたものだとは思えないからだな。僕はそれほど強い人間ではないから」

「嘘つき」

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