ウケモチシステム:17
電脳の多くは回線で直接つながっているわけではない。これも同様だ。だから、すんなり外れた。回路のほとんどが焼けているが、目立った点は何も見られない。ごく標準的な電脳だ。
『サブユニットで全部解体できそうだけど、やってみる?』
「一応何か出るかもしれないな。サブユニット起動。電脳を分解してくれ」
≪了解しました。サブユニットを起動します≫
電脳メンテナンス用のユニットが起動して、解体用のアームが伸びてくる。その時に文成の視界に電脳メンテナンス用のユニットの中が見えたのだが、
「なぁ、ソフィー。ユニット内の電脳の数が多くないか」
1ダース以上の電脳が収まっていた。
『それは私の本体の予備。並立稼働させた電脳ほど優秀なコンピューターは他にないわよ?』
「なるほど…」
『うーん次は胴体を分解したいところだけれど、胴体は傷つけずに分解するのがちょっと難しいのよね。全身義体は大きく分けて二つあって、分解の仕方が違うのよ。メーカーの違いだからそんなのなくしてくれた方が助かるんだけど、そうもいかないのが辛いところよね』
「何か方法はないのか?」
『そうねぇ……腰にエコーテストかけてみてくれる?何か分かるかも』
「了解。腰にエコーテストだな」
『結果は……わかった。分解するのに皮を剥がさなくても良い方だった。普通に「解体」ってボタン押して』
「皮を剥ぐ必要のある義体があるのか?」
『あら、文成の義体もそうよ?そっちの方に友達がいるからちょっとだけ安く使えるの』
文成は分解のボタンを押した。メンテナンスユニットからドライバーのようなものが伸びて、NEの肉体に刺さる。義体の四肢が外れ、ユニットから伸びたアームが四肢を持つ。
「初めて他人の義体のメンテナンスを見るが、中々興味深いものだな……」
人間の肉体にしか見えないものが、機械によって、普段は隠されている機械の面を晒す。本来であれば電脳もスリープモードになるだけで、言うなれば生きたまま義体の全てが分解される。
『世の中には分解された義体フェチなんてフェチも存在するわよ?興味ある?』
「いや、あまりない。四肢の断面に変わったところはあるか?」
『うーん何も見つからないわね…。もうちょっと分解しないと』
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