ウケモチシステム:6

「ぷでぃんぐ。機械に対して魔法をかけることはできるのか?」

『かけられたことのある人間が言うセリフじゃないだろそれ……。その件に関してはソフィー・システムのアンテナをばらした酔狂な輩の論文があるんだが、まぁかいつまんで言うと微弱な魔法の力がソフィー・システムのアンテナには使われているらしい。奴がある程度の電波障害を無視して通信回線を確保できるのはそのせいなんだとかどうとか。信憑性のかけらもない妄想の塊みたいな論文なんだけどな?』

更に言うと、と一言区切ってからぷでぃんぐが更に続ける。

『ヨルムンガンドのいくつかの区域にもおれの力じゃどうにもできない区画が存在するのは確かだ。古今東西試せるだけの道具と材料で試してみたが全く直らねぇってんで捨てるしかなかった区画がな。案外西暦の時代から科学技術を超えた魔法ちからってのは身近なもんなのかもしれん』

「同様の技術がウケモチシステムには使われていると?」

『ああ。そんな技術にお目にかかれたら、面白いとは思わないか?』

「確かに面白いが、体積のかさばるものだったらどうする。僕たちに搭載しようと思っても今の義体からだを捨てて『デブ』になるんだとしたら我慢できない」

「デブ」の部分に力をこめて、文成が言う。

『頭かったいなー、文成。かさばるんなら小さくしちまえば良い。それに、もしもウケモチシステムがその名前にあるように食料を生み出す能力なり、NE向けに電力を無限に確保する永久機関なりだったら使い道なんかいくらでもあるだろ?直に金に目がくらんだ連中が『ウケモチシステム搭載のNEが逃げ出した―』って情報を手に入れてきっと騒ぎ出すぜ?連中、どこに目つけてんだか極秘情報だろうがなんだろうがあっという間に見つけちまうからな。名前だけでもワクワクする名前だからな』



†同日14時 白雪文成宅

ぷでぃんぐとの会話も終わり、一人事務仕事を片付けている文成の元に、陽奈から通信が入った。

『ねぇ、ブンセー。知らなかったらいいんだけどさ。『ウケモチシステム』って、知ってる?なんかソフィアさんがたぶんブンセーなら知ってるかもーって言うんだけどさ?』

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