第10話 桃尻 ~ももじり~


 ……――あなたとコネクトしたい――……


 

 トルコ石のように青い瞳に、ふと朱色が垣間見える。

 それは恋などではなく、色情的なそれが色濃く出ていた。



(あれ? これはあの夢か……)


 

 異世界『リトルフェスタ』に来る前に教室で見た夢。

 それが再び禎太の脳裏で再生されているようだ。



(ってことはこのあと……)



 ぼんやりとした顔の彼女は手を後ろへと回す。

 すると、無言の禎太の前でブラジャーのホックを外した。


 仰向けに寝転んでいた禎太の両足の間にそれは落ちる。

 視線を上げれば、そこには露わとなった程よい大きさの二対の乳房。

 バストトップは桜色に染まっていた。



(すげー綺麗なおっぱい。手から若干溢れる感じのサイズがまた……って、やけにリアルな夢だな)


 

 彼女は次に頭を下げると、禎太のお腹に口づけをする。

 そして口内から舌を出すと、そのお腹を舐めはじめた。

 舐め上げるたびに粘液が糸を引き、禎太の中でぞくりとしたものが込み上げる。

 

 その行為は徐々に上へと移動していき、そして胸もまた、より一層の舌づかいで愛撫され――。



(ち、ちょっとこれ、あのときの夢と違う展開だし、それになんか――ッ)

 


 ある疑念が過ったそのとき、形のよい乳房が眼前に迫り、プルンと揺れた。

 彼女が馬乗りになるかのように迫ってきたのだ。



(ちょっと待て……こ、これって――ッ!)




 ……――繋がって一つになりたい。禎太と一つに――……

 



 の火照った顔が近づく。

 そこにあるうるおった唇が、迷うことなく禎太の口を塞いだ。




(夢じゃないじゃんッ!!)




 禎太の脳は一瞬にして覚醒する。

 途端、柑橘系の香りが鼻腔びこうを満たして、それが現実のカチュアであることを決定づけた。

 禎太は咄嗟とっさにカチュアの肩を押して、触れ合った唇を離す。



「カ、カチュアっ!? 何やってんだよっ!」



 鼻の先に見えるカチュアの顔は欲望に染まっていた。

 騎士でもなければ町娘でもない、まるで色を売る娼婦かのようなそんな――。



「……ゴブリン女にキスされてたよね。だから私が消毒してあげる。私が丹念に消毒してあげる」


「いや、ちょっ――んぐっ」



 再びカチュアの唇が重ねられる。

 すると今度は、僅かに開いていた禎太の口に舌をねじ込んできた。

 デミトロ同様に、その肉質の器官は禎太の舌を捕食するかのように絡みついてくる。

 甘美な世界にいざなうかのように、それは執拗しつように。



「……ふふ、おいしい、禎太の口」


「おい、落ち着けってっ。な、何やってるのか分かってるのかよっ!?」


「分かってるよ。……まぁだ」


「ふぐ――っ!?」


 

 三度みたび口が塞がれて、カチュアの唾液が口内に塗りたくられる。

 デミトロのキスの消毒ならもう十分すぎるほどだ。

 いい加減に止めさせなければならないと、禎太がもう一度カチュアの肩を押そうとしたとき、彼女はようやく離れた。



「次は……こっち」


「え?」



 何が次なのか不明のまま、カチュアが体勢を逆にする。

 つまり顔を禎太の下半身のほうへ向けて、お尻を禎太の眼前へズイッと突き出した。

 

 ワンピースをたくし上げていることもあり、とても綺麗な形をした桃尻がお目見えする。

そしてそのお尻を包むパンツは、ラメ糸の輝きがアクセントとなっている刺繍ししゅうレース仕様であり、なかなかどうしてエレガントで――



(ん? 次はこっちって……)


「よいしょ、よいしょ……」



 カチュアが禎太のズボンを下ろしていた。

 デミトロの強引さがあればすぐにでも気づいたのだが、カチュアは静かに、そして素早かった。


 ズボンが下ろされて禎太のボクサーパンツが露わとなる。



「待て待て待てっ、カチュア何してんだよっ! ホントにちょっと――ッ!!」


「何って、コネクトの前に前戯ぜんぎは必要でしょ? 禎太の元気にしてあげるね。ふふ」


 

 そしてあろうことか、ボクサーパンツまでを下ろそうとするカチュア。

 テンパる禎太は、思わずこう叫んでいた。




「待てっ! パンツの上からにしてくれっ!!」




 間違えた。

 そうじゃない。

 しかし時すでに遅し。



「え? 分かったわ。まずはパンツの上から――ね」



 そう言うや否やカチュアは、


 デミトロとの一件から続き、無論これもまた人生で初めての体験であり、怒涛どとうのごとく襲い掛かる性の荒波に禎太は気圧けおされっぱなしだった。

 


(エエエ、『Eエロティックモザイクフィールド』発動だあああっ!!)

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