第53話 リョウちゃん、復讐を助ける。

 「コルトパイソン357マグナム」


 新川くんは、その銃を持たなくても銘柄を言い当てた。


「よかったな。誰かの落とし物らしいぞ」


 リョウは東雲の真似をしてと笑おうとしたが、いまいち上手く行かなかった。


「うーん、これよりS&WのM19の方が……これって当たらないことで有名なんだよね。フレームに問題があって激鉄が落ちる前に引っかかって初弾がぶれて外れる確率が………」


 サバゲー好きにありがちな「本物を撃ったこともないのに聞きかじった知識で本物を語るサバゲーオタク」な発言をしたとき、リョウは眉を動かした。


「こうすりゃ絶対当たる」


 リョウは銃を手に取ると、躊躇せず新川くんの額に銃口をくっつけた。


 その冷ややかな眼差しと、今にも引き金に指をかけそうな雰囲気に、新川くんは「こいつは本当に山内リョウなのか……?」と声なき唇の動きでつぶやいていた。











 鳩殺しと猫殺しは蘇ってきた犬殺しと合流していた。


「さっきのやつはなんなんだ!?」


 犬殺しは、亡者に殺されたことに動揺していた。今までこんなことは一度もなかったし、地獄に落ちて死んだのは今のが初めてだ。


「あのチキン野郎新川の仲間っぽかったぜ」


 鳩殺しは舌打ち混じりに言った。


「後ろに獄卒もいたよな?」


 猫殺しも同調して話を始める。


 そんな二人の会話を犬殺しは黙って聞いている。


 犬殺しは怒りに満ちていて会話できる風ではなかったので、触らぬようにして会話は続く。


「獄卒って、あのスーツのやつか? ありゃただの獄卒じゃないぞ。閻魔大王の近くにいたのを覚えてる」


「マジか。ってか、俺も知ってるぜ。司命と司録っていう書記みたいな役割の獄卒だろ?」


「ちがうちがう。あのスーツ、そいつらより上段にいたから」


「マジか。そりゃ、ちょっとわかんねぇわ」


「そういや、獄卒にも階級があんだろ? 阿傍羅刹あぼうらせつとかってのが獄卒のリーダーだってさ」


「叫喚地獄の阿傍羅刹って、あの赤いのか」


「そうそう、あの赤くて金髪の………」


「あー、思い出した。なぁ犬殺しの旦那。あんたを殺したあの亡者がその赤い金髪阿傍羅刹と一緒にいたとこを昨日見たぜ」


 鳩殺しは犬殺しに話を振ったが、無反応だったので話を続けた。


「いやさ、髪火流処はっかるしょで飲もうと思ってうろうろしてたら、亡者と仲良くあの赤い金髪が会員制の店から出てきたんだわ」


「ほぉ………あの野郎、亡者の振りした獄卒か」


 犬殺しは歯ぎしりした。


 その機嫌を取るように鳩殺しが続ける。


「亡者に手出しできないもんだから変装でもしたんだろうよ。そうじゃなきゃあんな馬鹿力を人間が出せるはずもねぇ!」


 調子に乗ってきた鳩殺しを押しのけるように、猫殺しも話に乗る。


「そうだそうだ。天国にチクリいれてやりゃあ、天国に頭が上がらねぇ獄卒は一発でご退場だろ」




「どうやって?」




「「「え?」」」


 ここにいる三人以外の声に三人が固まる。


「どうやって亡者風情のお前らが天国様と連絡取るんだ? 担当者のSNSとか知ってんのか?」


 リョウが仁王立ちする横で、新川くんはコルトパイソン357マグナムを構えていた。

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