第27話 リョウちゃん、一切根滅処に行く。

「次は一切根滅処いっさいこんめつしょです」


 東雲は今までの中で一番のをしてみせた。


「ん………聞き覚えがあるな」


「はい。この前17話で、私が『いえいえ、山内さんは一切根滅処か無彼岸受苦処でしょうね』って言いましたからねぇ」


「………なんかメタ的なワードが聞こえた気がするが。で、俺が堕ちそうなそこはどんな所よ」


「女性の肛門を使って性行為を行ったら堕ちます」


「ちょっと待って? 俺やった? そんなことやった?」


「ええと、大学行かずにちゃらちゃら遊んでいたときに『ダメよそこは入り口じゃないの出口なのぉ~♡』って言わせるプレイしてましすね。そのあと尿道炎になって泌尿器科の医者から『お尻は出口です』って怒られてますよね?」


「な ん で 知 っ て る ん だ」


「お忘れですか? ここは地獄です。あなたの生前の行いは、記録されておりますので」


「えげつない………大学って、小中高と抑圧されてきた性が開放されて貪欲だった時代じゃないか! 若気の至りだろ!」


「はい。当時は自分のことをリスト、と自称されていたという記録も」


「ォォォォォ………」


「そう頭を抱えこまないでください。なんにしてもここに落ちると決まっているわけではありませんし、山内さんは地獄巡りを続けて頂きますので、今は見学だけです」


「あぁ………ここはどんな責め苦なんだ?」


「亡者の口を鉄叉かなまたで広げて熱い銅を流し込んだり、耳に溶けた白蝋を流し込んだり。鉄の蟻に目を喰われたりしながら、さらに刀の雨が降ります」


 東雲は先端が二股になった鉄の棒を取り出した。


 どこから出したのかは分からないが、中国の妖怪が持っていそうな武器だ。


「ふぅん。今までの合わせ技かよ。でもどうせ天国のアレでアレなんだろ?」


「ご明察です」


 東雲が指を弾くと、そこはピンク色の【一切根滅処】という看板が掲げられた、派手なネオンサインが眩しい一軒家だった。


「は?」


 今までにない露骨な風俗店オーラに、リョウは言葉を失った。


「まさかこれ風俗じゃないよな?」


「まさかまさか。ここは地獄ですよ?」


「いや、50分8000円ポッキリとか書いてあんぞ」


「ポッキリってなんなんでしょうね。どう見ても端数が出る数字だと思うんですが」


「いやいや、3Pとか書いてあるじゃないか。てか、なんだAFって」


アナルファッ────「うおおい!! やめろ! 皆まで言うな! なんで地獄に風俗店があるんだよ!! 亡者に快楽与えてどうすんだ!!」


「ははは。そこはご心配なく。ちゃんと地獄ですよ。服を一枚脱ぐごとに金銭を要求されますから、全裸になるまでに3万円は覚悟が必要です。それとプレイ内容もいちいち細かく金額を追加課金させられるので、巷では『たけのこ剥ぎ』と呼ばれている極悪な刑場です。もちろん希望すれば途中退場でするのですが、どうしてもその先に行きたくなるのですよ。恐ろしい地獄です」


「とんでもなく心弱いな、ここの連中」


「それに、なんといっても指名ができない! あれです。いま人間界で流行っているスマートフォンゲームの課金ガチャとか課金強要ゲームプレイみたいなものです、はい。ちなみに当たりは【傾国の美女】らしいです。私も引き当てたことはありません」


「お前もやってんのかよ!」


「あ、そうそう。亡者に男女の区別はありませんので、こういう店には男性女性どちらでも相手できる専属獄卒ふたなりも配置されています。ご要望があれば」


「ねぇよ。………てか、まぁ、ボッタクリされるってんなら、今までの中で一番地獄っちゃあ地獄だけど。ちょっと行ってみようか」


「お。ご興味が?」


「ま、まぁ、ちょっとは」


「そうですか。ちなみにここ、する方じゃなくてされる方ですけど」


「は?」


「もっと言うと入れる方じゃなくて、入れられる方です。お尻に」


「次行くぞ、次!!」


 リョウは尻がむず痒くなってきたので、次の刑場を促した。

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