第21話 リョウちゃん、焼肉をする。

「うははははは!! ニィちゃん、酒強いな、お?」


「ははは。そんなことないんですよー」


 客から出された酒は全部飲むバーテンと違い、今はズルをしている。


 お互いのショットグラスにテキーラを注ぎ、飲む前に足元に捨てて飲む振りをする。野外だからできることだし、普段なら「酒がもったいねぇ」と思うから絶対にしないことだ。が、今は別だ。


「旦那も随分酒強いですね」


「ったりまえだのクラッカーってやつだ。俺はこう見えても若いときからブイブイいわせてきたんだ」


 後田実乗みのるは生肉を口に運んだ。


「へへ。地獄ならユッケも食い放題だ。現世じゃ規制されちまったからな。食中毒になったところで、なぁに、俺らは死人だ。なんてこたぁねぇ」


「へぇ、そうなんですね。ささ、もう一杯」


「おう。ところでニィちゃんはなにして地獄に堕ちた?」


「いろいろありましてね。お、良い飲みっぷりっすね。さ、もう一杯」


「おう。俺はな、そりゃあいろいろやってきたぜ」


「ほうほう、例えば?」


「女はあちこちに作ってきたからな。百は下らねぇぜ」

『5人位の馬鹿な女引っ掛けたけど、ほとんど金持って逃げられたけどな』


「ほうほう、さぁ、もう一杯」


「お、おう。それで……あとは、なんだ、ほら、あれだ、おう、ヤクザ相手に何度も立ち回ってなんとか会の総長にも一目置かれてたんだぜ」

『ヤクザの女に手を付けて転々と逃げ回ったけどな』


「ほうほう、そりゃすげぇ。さあさあ」


「お、おう、ニィちゃんも飲んでるか?」


「もちろんですよ。旦那に比べりゃ俺なんて酒弱いもんですけどね」


「けっ、だろうよ。俺は酒と女にゃ強いって巷じゃ有名なんらろ」

『くっそ、このガキ、全然酔わねぇ』


「すごいですね。テキーラと日本酒とラムをこれだけ飲んで」


「ったりまえだのクラッカー………どこまで話したっけか」


「人んちに押し入って人妻と娘を犯して殺したってところですかね」


「そうそう。ありゃあ面白かったぜ」

『そんな話……したっけか』


「是非聞きたいですね」


「おう。ちょっと俺が馴染みのコンビニでしゃけを万引きしてるときによ、いいケツしたおんにゃが買い物してたんで、つけたにょさ」


「ほう………」


「家に入る時一緒に押し入って、そのまま玄関で殴って殴って………ひひ、あんときのあの女の顔はたまんなかったなぁ」


「ほう………」


「そして服をビリビリにして大きな乳を鷲掴みにして、あとはほれ、俺の巨根で突いてやったらヒィヒィよがってよぉ。もうらめぇ、ってな。ぎゃはははは。ありゃ相当な売女だったぜ。締りも良かった」


「ほう」


「さんざかぶち込んでやってたらちょうど娘が帰ってきやがったんで、そいつの初物もいただいちまった。母親のほうがなんでもしゅるからやめてーとか言っちゃってよ。くけけ。うるせぇから目の前で娘犯して首の骨折ってやったら、ありゃすげぇな。すげぇ締ま────」


 後田は、いつの間にか目の前にいたはずの若造が自分の後ろにいたことに驚いた。


「糞外道が。本当の地獄に落ちろや」


 リョウは渾身の力で後田の髪を掴み、焼肉の網にその顔を押し付けた。



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