第19話 リョウちゃん、悪見処に行く。

 悪見処あくけんしょ


「他人の子供に性的虐待を行った者が落ちる、クズの地獄です」


 東雲は自分の家族写真を取り出した。


「私の家族を殺した狂人は、妻と娘を死ぬまでレイプしたんですよ。死ぬまでですよ? どんなひどい仕打ちをされたことか………」


「………その犯人はここにいるのか」


「あちこちの刑場を回っています。犯した罪が一つや二つではないので」


「そうか。ここはどんな罰なんだ?」


「自分の子供が陰部から串刺しになる様子を見せられる刑、だったんですが…………ここに落ちる糞どもには子供がいないんですよね。圧倒的に」


「なんで本人じゃなくてその子供が罰を受けるんだよ」


「もちろん子供は幻覚ですよ。下手なバーチャルリアリティよりリアルすぎてドン引きするくらいのやつです」


「子供相手に性的虐待するような糞どもが、それくらいのことでへこたれるのか?」


「もちろん、その上で亡者の肛門に熱した銅を注いで


「でたよ、銅────いました? 過去形か?」


「ええ、獄卒たちには不人気でして。どうして野郎どものケツの穴かっぽじって銅を入れる作業をしなきゃならんのか、と」


「そりゃそうだろうよ」


「で、山内さんならここをどうします?」


「俺だったら………自分の3倍くらいありそうな鬼だかなんだかの怪物に性的虐待され続ける地獄にするかな。もちろん死ぬほど無茶苦茶にされ、死んだとしても蘇ってまた性的虐待されるのを繰り返すんだ」


「ほほう。ヤッたことをヤラれる感じですね」


 東雲は「ふむふむほうほう、それなら猿猴えんこう、いや、蚩尤しゆうもいいですね」となにやらメモを取っていたが、その手がピタリと止まった。


「山内さん。あいつですよ。私の家族を惨殺した亡者、後田うしろだ実乗みのるです」


 ふてぶてしさが顔ににじみ出ている亡者は、ルーティンワークをこなすやる気のない労働者のように、岩場の間に消えていった。


「身に余る借金、繰り返す不倫、死んだ両親の金を他の家族に無断で使い込み、弱い者には吠え、強い者には媚びへつらう。その挙句に全く面識もない私の妻を見つけて家に押し入ってレイプ。たまたま学校から帰ってきてしまった娘も。そして金品を強奪して逃走。妻から奪った銀行のカードで引き出した金を使ってソープランドでハッスルしているところを逮捕され、裁判でも一切反省の色を見せずに投獄。刑務所でも散々な態度で、他の投獄者からリンチを受けて死亡。そしてここに堕ちてきた後は悠々自適の生活をしているという、まさにクズの中のクズです。ここが本来の地獄であれば私がこの手でやつを………」


「なぁ、亡者同士ならなにしてもいいんだよな?」


「ええ。罪の業が増えてしまいますが、止める者はいません。しかし、私ならそれは罪ではない、崇高なる意思のもとで行われた亡者への罰であると進言するでしょうね。あの後田実乗みのるをどうにかすることができるのなら」


「その恨み、晴らしてやんよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます