第17話 リョウちゃん、割刳処に行く。

 衆合地獄が一つ、割刳処かちこしょ


 読んで字のごとく、割って、えぐところ


 かつては口に釘を打ち、頭からそれを貫通させ、抜き取り、今度は口から耳へ貫いて、また抜き取り………という嗜虐の限りを連続でやり続ける刑罰や、溶けた赤銅を口から注ぎ込んで内臓を焼く拷問があったという。


「なぁ、なにも割ったり刳ったりしてないんじゃないか、その刑。刺して抜いてまた刺して溶けた銅を流し込んでるだけだよな? 刺貫銅流処しかんどうりゅうしょとかにすりゃいいのに」


「おお、ネーミングまで!」


 東雲は急いでメモを取る。


「で、ここは何の罪で来るところなんだよ」


「口を使い、性行為した罪ですね」


「え!?」


 そんなの、ほぼすべてのプレイヤーが一度は必ずプレイするであろうメジャープレイだ。リョウだって幾度となく何人ともそういうプレイを致してきた実績と経験がある。


「………そうか。俺はここに落ちる可能性が高いのか。どういうところかちゃんと見なきゃな」


「いえいえ、山内さんは一切根滅処いっさいこんめつしょ無彼岸受苦処むひがんじゅくしょでしょうね」


「そこはどんな………」


「先々ご案内します。まずはこの刺貫銅流処しかんどうりゅうしょをご案内しますから」


「おい、それは俺が適当につけた名前だぞ」


「いいネーミングだと思います。獄卒の中では秘密裏に割刳処かちこしょなんてやめて、刺貫銅流処しかんどうりゅうしょと呼ぶことにしましょう」


「そ、そりゃ勝手にやってくれていいけど。で、昔は刺して抜いてまた刺して、溶けた銅を流し込んでたけど、今はなに?」


「こちらです」


「またプレハブ小屋かよ」


「はい。この小屋の中で、これを陰部に当てて刺し貫いて、抜いて、また刺し貫くという責めを自分で自分に行います。最後は体内から湧き上がってくる熱いものを流し込んで1セット終わりです」


「オナホールかよ! さっきのとこで出てこなかったかと思ったら別地獄だったのかよ!! 女はどうすんだよ!!」


「こちらに張形タイプもありますので、それで自身を刺し貫いて、抜いて、また刺し貫くという責めを………」


「なぁ、ちょっといいか? 衆合地獄ってさ、美人の鬼が亡者に酒飲ませたりしてぼったくる、とか、怖い獄卒が出てきて俺の女に何してくれてんねん、とかな色町風の場所じゃないのか? いまんところ全部【一人でできたー】系なんだけど」


「ほほう。そういうのが人の世界で流行ってるんですか。なるほどなるほど」


 東雲はメモを取りながら、ふむふむ、ほうほう、と自己完結した。


「さて、次は脈脈断処みゃくみゃくだんしょです」


 なんか随分可愛い名前の刑場だな、とリョウは笑みを浮かべてしまった。

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