第3話 リョウちゃん、地獄に落ちる。

「山内リョウ、地獄めぐりの刑」


 即、決定。


「なんでだよ!! 俺なんかしたか!! ふざけんな!!」


 リョウは大声で怒鳴った。


 相手は閻魔大王だ。


「はいはい、またこのパターンな。なんかしたから地獄行きなんだよ、御前」


 閻魔大王は次の書類に目を通し始めた。


「理由! 地獄に行く理由はなんだよ!!」


「蚊を殺した。ゴキブリを殺した。蜘蛛を殺した。その時点でもうアウトだから」


「はぁぁぁぁぁ!?」


「殺した理由はなんだ? ブンブンうるさいから? 血を吸いそうだから? 見た目がキモいから? そんな自分勝手な理由で殺生したんだ。地獄が当然だろ」


「そんなこといったら全人類地獄行きだろうが!!」


「相殺できるくらい良いことやってればそうでもないけどさ。お前他にも罪があるじゃん。たとえば邪淫の罪」


「う」


「やりまくりだよね?」


「お、俺独身だし、誰とやっても問題ないだろ!」


「相手が結婚してたらダメでしょ。まぁ、同時期に何人も────」


「他に悪いことはしてない!」


「おっと話題そらし? いいけどさ。他にも悪いことしてるよ」


「はぁ!?」


「たとえば駅の改札で割り込んできたサラリーマンの踵をわざと蹴ったよね? 歩いているやつが突然立ち止まって進行方向の邪魔した時もわざとぶつかったよね?」


「小さい! そんな小さいことで地獄行きとか、俺の良いとこのほうが上回るだろうが!」


「うるさいよ足立区のリョウ」


「!」


「随分ブイブイ言わせてたみたいじゃないか、ん?」


「あ、足立区のリョウじゃなくて足立のリョウだ………」


DQNドキュンって言うんだっけ? しかも大学デビュー。なんならここで言うといろんなところに支障があること、言おうか?」


「う」


「地獄行きね」


「………はい」


 リョウが力なく肩を落とすと、東雲が嬉しそうに現れた。


 中年サラリーマン風の黒スーツ姿で現れた東雲は「おめでとうございます~♪」とリョウの肩をポンポン叩いた。


「なにがめでたいんだよ………」


「ま、行けばわかりますよ。地獄も住めば都ってやつですよ、多分」






 山内リョウ 享年27歳


 死後、地獄に落ちた。

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