第15話美味し過ぎるおやつ
【天空路家のベッドルーム】
えーっと、シャツはこれで、スーツは…
「ありゃ…」(汗)
《LapisとRutileがベッドの上に置いて有る遊のスーツの上に寝ている》
「Lapis、Rutile…パパちゃんのお洋服屋ちょうだい」
「ニャー(パパちゃんお出かけ?)」
「(またお留守番ね。私がRutileの面倒見るから心配しないで)」
「ラピちゃ~ん…」
動かないか。
仕方ない、他のを来て行こう。
あー、シャツまで着替える時間無いな。
ネクタイだけ変えて…
スーツは、これかな。
「Lapis、Rutile。パパちゃんおちごと行って来ましゅ。良い子たんちててね~」
【Lapis夢が丘店】
「麻里愛、私がオーナーに聞いてあげるわよ」
「え?良いわよ、別に」
「良くなーい。麻里愛っていつも素直なのにおかしいわよ」
「だって別に好きじゃないもん」
「本当に?」
「………」
「おはよう」
「あ、オーナー来たよ」
《少し横を向いて俯く麻里愛》
【カウンター】
「昨日あの後麻友とどっか行こうと思ってたのにさ「遊ちゃんに送ってもらうから良いわ」って…送って行ったんだろ?」
「うん」
「それからどうした?」
「それだけ」
「まあさ、麻友は遊ちゃんの事弟みたいにしか思ってないからな、何か有る筈ないけどさ」
そうですそうです。
羊里君が心配するような事は何も有りませんでしたよ。
僕だって、夜遅くに女性の部屋に上がり込んだりしないさ。
それに、麻友さん何だか疲れてたみたいだ。
まあ、この時期忙しいから、本店は大変だろうしね。
「オーナー」
「うん?」
「好きなタイプは?」
「え?何の事?」
「女の子のタイプです」
「またその話しか。昨日俺が聞いただろ」
「真理絵」
《麻里愛は「やめて」と言いたそうに真理絵の袖を少し引っ張る》
「良いから、良いから。ちゃんと聞いてみようよ」
昨日の続きだね。
「どんな人が好きですか?」
「自然体で素敵な人って居るよね」
「そう言われてもね…もっと具体的には?」
「自分を良く見せようとすると、それは無理してるから続かないでしょう?慣れて来たら「あれ?こういう人だっけ?」ってなる。だからね、自然体で素敵な人が良い」
「そっか。じゃあ「こういう人嫌い」って有ります?」
《麻里愛がハッとする》
「そうだな…おっとりした人が好きだからね」
「ガチャガチャした女は嫌いだよな」
「ガチャガチャって?」
「早口でお喋りする人は苦手だね」
「ふむふむ、それから?」
「仕事が早いのは良いんだけど、ガチャガチャ音をたてるとか嫌だな」
「それ私だ」
「要するに、おしとやかな人が良いんだよな、遊ちゃんは」
まあ、そうだよね。
「今時そんな人居ます?」
「マーサさんが理想の人ですか?」
「性格が良いって言ってだけど、どうしてわかるんですか?」
「Twitterで時々お話ししてるからね」
「え?ウソー?!芸能人て普通無視でしょう?」
「若手の声優さんフォローした時、無言は失礼だと思って「フォローさせてください」とか一言書いたけど何も言って来なかったね」
「そりゃそうですよ」
「でもマーサさんは違ったんだ」
「まさか、返事くれたとか?かなりの大御所ですよね?」
その言われ方あの人は好きじゃないかも知れないな。
「お返事くださったんですか?」
「うん。凄いびっくりした。それから時々会話してるけど、お忙しいからご迷惑にならないように、なるべくリプはしないようにしてる」
夜も遅いだろうから、通知音で起こしたりしないようにTwitterは9時過ぎてから見るようにしてるんだけど、結構早く起きてるんだよな。
睡眠時間短いと、心配になる。
「リプしないでどうやって会話するんですかあ?」
「普段はイイネだけしてるけど、気になった時だけ引用リツイートするんだ。それなら忙しい時無理に答えなくても良いでしょう?そのリツイートに時々リプしてくれるんだよ」
「うわあ、気さくな人なんだ」
「優しい方だよ。会話する前は、あれだけ綺麗な人だし、ちょっと良い気になってたりしないのかな?なんて思ってたけど、とっても謙虚でびっくりした」
「マーサさんて真沙子さんて人ですよね?随分年上じゃないですか」
「父より少し上だね」
実はオヤジが大ファンで、それで僕もね。
「麻里愛。大丈夫、大丈夫ハ、ハハ…(本当に大丈夫かね?)」
???
何が大丈夫なんだ?
「でもそんな素敵な人なら、私も気にして見とこって思っちゃう」
「とんでもない方向音痴だったり、可愛い人なんだ。あのね、最初に好きになった時「凄い綺麗なのに面白い人だなあ」って思ったんだよ。それでファンになったんだ」
「オーナーの話し聞いてたら、私もファンになりそう」
「それにね、地震の時とかTwitterで「揺れましたね」と一言だけ仰る時が有るんだけど、それで皆んなが警戒してくれたらという気持ちがこもってるんだよ」
「何でそんな事がわかるの?」
「前にリプくれたんだ。それで初めてその一言に込められた意味がわかった。奥ゆかしいから全て仰らないんだよね「余計なお世話ですね」なんて仰ってだけど、沢山の人が見るからとても良い事だよね」
「優しい方なんですね」
「(おしとやかで、奥ゆかしい人が好きなのね)」
【ドラッグストア】
LapisとRutileのおやつを買って帰ろう。
売り切れてないと良いんだけど…
あれを切らしたらLapis達大変だもんな。
「あら、天空路さん」
「こんばんは」
「ちょうど良かったわ。クリスタルのおやつ、どれが良いかしら?」
「うちの子達は、これが好きだよ」
「銀のスプーン三ツ星グルメ?」
「食べきりおやつ」
「日本各地の味わい…少しずつ8本になってるのね」
「凄く美味しいみたいだよ。うちのワガママ娘でも大騒ぎして食べる」
「Lapisちゃん?」
「うん。Lapisがあんなに喜ぶの珍しいよ」
「へー、じゃあ、うちもこれにしてみるわ」
18.19.20…
「え?そんなに買うの?」
「いくら食べても欲しがるんだ」
「だからって、そんなに沢山?」
「まあ、宴さんも、一度クリスタルちゃんにあげてみればわかるよ」
【駅前】
「(ああ、もう着いちゃったのね)」
「じゃあ、またね」
「ええ、ありがとう(今日は偶然会えてラッキーだったわ。本店に居た時は良く一緒に帰ったりしたのに)」
【天空路家】
《そろそろ遊が帰る頃かと玄関で待つLapisとRutile。遊の気配に…》
「ニャー(パパちゃん早く)」
「ミャー(早く早く)」
《玄関の鍵を開ける音。扉が開き遊が入って来る。待ち切れなくて飛びつくLapisとRutile》
「ニャー(抱っこ)」
「ミャー(僕も僕も)」
「ただいま~良い子たんちてまちたか~?」
《遊はいつものようにLapisを肩に乗せRutileを抱っこする》
「パパちゃんの大事大事。可愛い可愛い赤ちゃん」
チュッ、チュッ。
【ベッドルーム】
《ニャーニャーと遊の足にまとわりつくRutile》
「待ってね~」
前はLapisがこんな感じだったけど、お姉ちゃんになって我慢してるんだよな。
「Lapis「くっちゅいて」しても良いんだよ」
「(私はお姉ちゃんだもの、良いの)」
【キッチン】
「ニャー(早く)」
「ミャー(ちょうだい)」
「今あげまちゅからね~おやつを待ってたの?パパちゃん待ってたの?」
「ニャー(おやつちょうだい)」
「ミャー(おやつおやつー)」
「はい、どうじょ」
少し離して食器を置かないと、RutileがLapisの食べちゃうんだよな。
Lapisは結構キツいんだけど、Rutileには何されても怒らないんだ。
僕の所へ来る女の子達には容赦なく「シャー!」って言うのにね。
Rutileには一度も言った事無いよな。
「ニャー(もっとちょうだい)」
「ミャミャー(もっともっとー)」
もう食べちゃった。
初めて買って来た日は、一人で一袋食べたよな。
本当にきりがない。
「もう一つね~」
《2つ目も食べて催促するLapisとRutile。Lapisは遊の手に手をかけて優しくカリカリする》
「は~い、今日はもうこれで終わりでしゅよ~」
今は朝晩3つずつにしてるけと、一人(?)一日6個食べてるよな。
まあ、そのうち飽きて、ある日突然「それは嫌なの」って言うんだろ。
でも、何でもかんでも食べるわけじゃないからね。
買って来ても全然食べてくれない時はショックだよな。
美味しいおやつは、一度飽きてもまた忘れた頃に食べるんだ。
だけど、あのワガママ娘がこんなに僕に手をかけて催促するのは初めてだね。
【八峰美都のBAR】
「あ、宴いらっしゃい」
「私今日はスパークリングちょうだい」
「はいよ」
「先輩何か良い事有りましたね」
「素子鋭いねー。何が有ったのよ?宴」
「天空路さんとね、バッタリ会っちゃったのよ」
「前は私もそんな事有ったけど、夢が丘行っちゃってから、時間合わないもんねー」
「天空路さんの周り可愛い女の子ばっかりよね。うちのクリスタルの獣医さんの愛里さんとか」
「バイトの女子大生の麻里愛ちゃんと真理絵ちゃんもですよ「面接は僕じゃない」とか言ってだけど、絶対可愛い子選んで採用してますよね、あの石オタク」
「本店にも麻友さんと春陽ちゃん、それに由良ちゃんが居るしねー。うかうかしてられないわよー宴」
【天空路家】
《翌日》
LapisとRutileの朝ご飯は、パウチを一袋ずつ。
それから少しするとおやつのおねだりが始まるんだよな。
そして、今日も3つずつ食べました。
お水も替えたし、お留守番の間食べるカリカリを入れておいて、と。
【玄関】
「パパちゃんおちごと行って来まちゅからね~良い子たんちててね~」
「(お留守番寂しいな)」
「(私も本当は寂しいけど、Rutileの面倒見るんだもの。Rutile、お姉ちゃんが居るから大丈夫よ)」
【駅前の花屋】
《寿宴が店の開店準備をしている》
「おはよう宴さん」
「あら、天空路さん。今日は早いのね」
「今日は本店に顔出してから行くんだ」
「そうなのね」
「どうだった?クリスタルちゃんの反応は」
「もう、大変だったわよ。一袋ペロッと食べちゃったわ」
「そうでしょう」(ニコニコ)
「(この笑顔よ。皆んなこれにやられちゃうのよね)」
【Lapis本店】
「おはよう」
「おはようございます」
あれ?
何だか今、麻友さん恥ずかしそうにしたような…?
ま、気のせいか。
《麻友を気にする遊を少し離れた所から見ている春陽》
「やっぱりぃ、ここにオーナーが居ると良いですよねぇ」
「あ、そうね…でも、お昼には夢が丘店に行っちゃうのよね」
「春陽ちゃん、これ、ここで良いですかぁ?」
「うん、良いわね」
ディスプレイを春っぽくするんだ。
と言っても、桜の季節ではなくて、これからは卒業式シーズンのアクセだね。
和装に合いそうな簪(かんざし)やなんかを並べてる。
パールのアクセを、もう少し作ろうかな?
パールは女性を内面からも美しくするし、アレルギー性皮膚炎やなんかにも効果が有って、肌を綺麗にするんだよね。
パールが似合う清楚な感じの女性って、素敵だよね。
あ、つい麻友さん見ちゃったけど、似合うよな、パール。
【Lapis夢が丘店】
さてさて、この子達はどうかな?
「ポンちゃん、タマ。おやつだよ~」
チビ君達は、おやつが貰えるのわかってるから、早々と待ってる。
「はい、どーじょ」
「ウニャウニャ(美味しいな)」
「ニャニャ(何これ?美味しい)」
試しに食べきりおやつ持って来たけど、他の食べなくなると困るからね。
そんなに沢山はあげられないけど、やっぱり美味しいみたいだ。
「こらこらチビタマ。パパの取ったらダメだろ」
タマは優しいから、いつも取られちゃうんだけど、怒らないんだよな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます