第13話クリスマスの準備
【Lapis夢が丘店】
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございますー。あれ?オーナーは?」
「本店行ってるよ。そろそろクリスマスのアクセ作るの忙しいってさ」
「こっちは全部ご注文だもんね」
「でもさ、もう少し飾り付けしない?」
「賛成」
【Lapis本店】
さてさて、まずは12月の誕生石で作りますか。
ターコイズと、ラピスと…
「タンザナイトで何作ろうか?」
「私ルースでペンダントトップ作りますぅ」
「タンザナイトとルビーのブレスも良いわね」
そうだね、勿論水晶は使うな。
「春陽ちゃんは、ラピスで何か作って」
「ラピスなら、ジャスパーか、赤珊瑚?」
僕は、ターコイズのピアスを作ろうかな。
【工房】
と、いうわけで、交代で工房に入って、クリスマス向けのアクセ作りだ。
ターコイズとホークスアイだと、糖尿病に効果が有るんだよな。
シトリンも入れたら完璧。
あ、でも、ホークスアイはインスリンやアミラーゼの分泌を促すから、インスリンを注射してる人は、お医者さんに相談した方が良いね。
石は悪さしないから、やり過ぎる事は無いと思うけど、インスリンが多過ぎると問題だもんな。
だから、検査して様子を見ながらだね。
「あれ?由良ちゃん。それは何?」
「小さな石でぇ、クリスマスリースのピアス作るんですぅ」
「なるほど」
リースだからその色ね。
グリーンの部分はロシアンアマゾナイトで、赤いのは赤珊瑚。
白に淡水パールを使ったんだね。
由良ちゃん器用だから、2mmや3mmの石を上手に繋いでる。
僕にはとても出来ないな。
あ、ちゃんと水晶入れてるね。
別に入れないといけないわけじゃないんだけど、何種類かの石を組み合わせる時、うちの店では出来るだけ水晶を入れるようにしているんだ。
本当に上手く調和してくれるからね。
他の石の良い所を更に引き出すし、強すぎる石でも水晶と一緒に持つと大丈夫だったりするな。
エネルギーを感じやすい人は、強い石を持つと石酔いの症状が出て気持ち悪くなったりする事が有るんだ。
それでもどうしてもその石が持ちたい、っていう時、僕は水晶を一緒に、多めに持ってもらう。
そうすると、ちゃんとエネルギーを感じて、身体の不調を治すけれど、石酔いしないんだ。
だからって、部屋に大きな水晶をいくつも置くのはあまり賛成出来ないけどね。
石って、本当に一粒でも効果が有るんだよね。
だから、願いを叶えたくて買い込んで、それでも叶わなくて、もっともっと買うのはどうかと思う。
その願い見直した方が良いのかも?
もっと大事な事が有るから、石は一生懸命そっちに働いているのかも?
それとも…
自分さえ良ければ他人はどうなっても良いという願いや、私利私欲な願いなら、石はサポートしたくないからね。
例えそういう願いが叶ったとしても、必ず報いが有る。
石屋がこんな事言ってはいけないかも知れないけど、僕は「運」て信じてないと言うか、嫌いと言うか…
ルチル持ったからって、お金は降って来ないし、インカローズ持ったからって、白馬に乗った王子様は現れないよ。
石のエネルギーで心身ともに元気になってやる気になったりして、自分が行動を起こすきっかけを掴ませてくれたりするからお金に繋がるんだよね。
インカローズを持てば綺麗になるし、そしたら自信が持てるだろうし。
石は、持つ人が自分では何もしないで願いを叶えてくれる魔法使いではないんだ。
ただ、石のエネルギーがチャクラと呼応して、滞っている気を通したりするから健康になったり、ホルモン系に作用して美しくなったり、内面の美しさを引き出したりするからね。
そうする事で持つ人が変わると、周りの状況や周りの人も変わるんだよね。
だから、うちへ来るお客様が、例えば「恋愛運に効果の有る石ください」と言われた時、詳しく事情を伺う事が出来ればお手伝い出来ると思うんだ。
例えば、自分に自信が無いとか、もっと綺麗になりたいとか、そういう理由だとすれば、使える石はたくさん有るよね。
でも、他の人から取りたいとかだと、石もサポートを嫌がると思うし、例え願いが叶ったとしても、その後ずっと幸せで居られるだろうか?
例えば、想いを寄せている人がモテモテでライバルが多いとかなら使える石も有るけどね。
そんなわけで、願い事の内容によってはお断りする事も有るよな、この店。
「出来ましたぁ」
「え?あ、可愛い」
「何ボーッとしてたんですかぁ?」
「うん、恋愛運で石をお求めにいらっしゃるお客様多いな、と思ってね」
「オーナーが接客するとぉ、皆んな健康からですよねぇ。恋愛も「心身ともに健康になって、内面も外側も美しくする」って言ってぇ」
「だって、そういう人って素敵でしょう?まあ、好みは有るだろうけど」
「オーナーはぁ、そういう人が好きなんですねぇ?覚えておきますぅ」
「え?」
「由良ちゃん。交代出来ますか?」
「はいですぅ」
覚えておいてどうするんだろう?
「何のお話しですか?」
「恋愛運の石」
「そうね、たくさん有るけど、自分に自信を持てるようになると良いんじゃないかしら?」
「ローズクォーツで、自分を認めてあげるとかね。勿論美肌効果も有るから、自信が持てるようになるんじゃないかな?」
「ええ、そうね」
で、麻友さんが作ってるのは、タンザナイトとルビーに水晶を入れたブレスね。
「この時期乾燥するからお肌に悪いのよね。私ももう若くないし…ブツブツ」
え?
麻友さんお肌の心配?
もう若くないって…
「お肌のトラブルにはアメジスト?」
「そうだね、あとは、細胞の再生を助ける石とか、ホルモンバランスとか」
「そうよね」
で…
はあ、並べてるな…
ロードナイトにローズクォーツ、アメジスト…それから、それから…
「パールもだね」
「あ、そうでした」
「あとは、新陳代謝の石が良いね」
「早く結婚しないと。子供欲しいし」
僕も子供好きだから欲しいけど、こればっかりは相手が居ないとね。
麻友さん羊里君と別れてだいぶなるけど、居ないのかな?そういう人。
僕も素子ちゃんと別れてから居ないけど。
「インカローズにお願いしようかしら?」
「ソウルメイト?」
「そうね、ソウルメイトと巡り会えたら素敵よね」
ソウルメイトならね。
ツインソウルやツインレイだと大変だけど。
「麻友さんの赤ちゃんかあ…」
「なあに?どうしてそんな嬉しそうな顔するのよ、遊ちゃんが」
はあ、つい顔が緩んじゃった。
可愛いだろうな、麻友さんの赤ちゃん。
〈それでもまだ緩んだ顔が元に戻らない遊〉
「もう、嫌ぁね。遊ちゃんも早く結婚しなさい。子供好きだから、きっと良いパパになるわ」
「相手居ないもん。麻友さんはどうなんだよ?」
「私も居ません」
「じゃあ、居ない同士で結婚しますか」
「嫌よ。そんないい加減なプロポーズ」
「いい加減じゃなかったら良いの?」
「一生に一度の事だもの。もっとちゃんとロマンチックなのが良いわ」
「ちゃんとなら、僕でも良いって事?」
「そんな事…」
「うん?」
「そんな事言ってません。遊ちゃんはダメなの」
はあ、またこれだ…
僕はダメって、いつも言うけど、何でダメなんだよ?
ちゃんとロマンチックなプロポーズって、どんなんだ?
「交代お願いします」
「はーい」
〈春陽が来て麻友と交代する〉
「どうしたの?ポカンとして」
「女の子って、どんなふうにプロポーズしてほしいのかなぁ、って」
「プロポーズ?そりゃ、ロマンチックなのが良いでしょう、やっぱり」
やっぱりか。
男は大変なんだぞ。
相手のご両親に会いに行って、ご挨拶するんだ。
お嬢さんとの結婚をお許し頂きたく参りました、とか何とか言って…
そこが一番大変かもな。
と、思ったら、プロポーズも良ーく考えなくちゃいけないわけね。
「お兄ちゃんがそんな事考えるなんて…」
「何だよ?」
「だって、鈍感で女の子の気持ち全然わからないお兄ちゃんの口から「プロポーズどんなふうにしてほしいか?」なんて出て来るとは思わなかったわ」
何だよ、それ。
僕ってそんな奴だと思われてるのかな?
「(麻友さんと何話してたのかしら?お兄ちゃん、本当はまだ麻友さんの事好きなのよね)」
さてさて、クリスマス向けのアクセはこんなものかな?
その前にセールが有るから、そっちの方も考えないとね。
クリスマスが終わったら、お正月の福袋か。
女の子って、アクセ集めるの好きだよな。
僕の母も、しもしないでたくさん集めてる。
この前何でしないの?って聞いてみたら「可愛過ぎて若い子向け」だって言ってた。
だったら買わなければ良いのに、それでも欲しいんだって。
持ってるだけで良いらしい。
春陽ちゃん、何だかたくさんイヤリングやピアスを作ってくれたぞ。
「これ、セールにどうかしら?」
「うん、助かる」
「お兄ちゃんの事だから、セールの事考えて無かったでしょう?」
「ちょうど今考えてたところ」
「やっぱりそうなのね、もう。クリスマス前がセールなのよ」
「はいはい、わかってますよ」
「(お店の方は忙しい時期だけど、クリスマスは二人で過ごしたいな。いつも誰かと一緒なんだもの)」
「今年のクリスマスはどうしようか?どこでやる?皆んなはどうしたいのかな?」
「ほらね、やっぱり皆んな一緒なのよ」
「え?一緒じゃまずいか?」
「(もう、お兄ちゃんたら…たまには二人でって言ってよ)」
「あ、どうせなら、夢が丘店の皆んなも一緒が良いよな、ね、春陽ちゃん?」
「…そうね」
【Lapis夢が丘店】
「ただいま〜」
「あ、オーナー。お帰りなさい」
「うわぁ、ディスプレイ綺麗だね」
「うふっ、そうでしょう?二人で頑張ったんです」
「おいおい、俺も手伝ったぞ。やれ、そっち持ってろとか、高い所の取ってくれとか、こき使われたんだからな」
「ははは、皆んなありがとう。お疲れ様」
【カウンター】
〈羊里が皆んなに飲み物を出す〉
「え?クリスマスパーティー?」
「どこでやりたいかな?」
「ミャーミャ(抱っこ)」
「チビトラ。抱っこでちゅか?」
〈遊はチビトラを抱っこする〉
「ニャニャー(僕も抱っこ)」
「チビタマちゃんは、こっちよ」
〈麻里愛がチビタマを抱っこする〉
あ、タマが見てる。
ポンちゃんもだ。
まさか抱っこはしないよな。
って、ポンちゃんが真理絵ちゃんの膝に乗った。
「タマ、来い」
「ンニャン(はーい)」
タマは羊里君に良く懐いてるな。
あ、ご飯貰ってる。
「どこでやるんですか?クリスマスパーティー」
「ここでやろうか?この子達も一緒に」
「そうね」
「賛成」
「そうだな」
それが良いね。
「んじゃあ、こいつらにも美味いもん作ってやらないとな」
良かったね、皆んな。
〈ニコニコして猫達を見る遊〉
「(本店の人達も来るのよね…皆んな良い人だけど…)」
〈猫達を見てニコニコの遊の顔見る麻里愛〉
うん?
何だ?麻里愛ちゃん。
あ、目をそらされた。
さあて、LapisとRutileにも美味しいおやつを探しますか。
【ドラッグストア】
これは、食べるかな?
最近Rutileまでワガママになって来たからな。
Lapisの真似して「それは嫌なの、もっと美味しいのちょうだい」って。
はぁ…
「あら、天空路さん」
「宴さんもクリスタルちゃんのご飯?」
「ええ、そうなのよ」
【駅前】
「一緒にやらない?」
「良いの?」
「良い、良い」
「じゃあ、美都と素子に言っておくわ」
「宜しく」
「じゃあね」
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