第63話 恋人との初夜

 やっと自分の気持ちを告白できて、恋人となった。

 その日は、恋人になっての初セックス。

 お互いの身体を貪りあって、蜜を飲みあったりしたが、自分のを飲まされる羽目になるとは思いもしなかった。アレは、本当に不味かった。もう、二度と飲みたくない。

 シャワーも浴び、風呂場でもヤッタが、頭を縫って凹んでるのが見えた。

 その凹み部分を触ろうとしたら、いきなり倒れてきたのには驚いた。

 だけど、本人は眠ってるだけだ。

 そうか、そういえば運動全般はストップ掛かってたなと思いだし、そのまま中に放った。少しばかり繋がったままでいたが、しばらくすると残滓をシャワーで流してやり、バスタオルで包んで寝室まで連れて行った。


 一緒にベッドに横になり寝顔を見ていた。

 変形し縫合された頭と、整ってたのに所々欠けてしまった月の表面の様な顔を胸に抱きしめて心の中で罵っていた。

 (あの可愛さが売りな顔が、こんなにブサイクになって…。でも、皆に可愛がられて、その度に嫉妬するよりは良いかも。6年間、ずっと大学1位でボスと呼ばれていたのに、その頭がこんなになって…。中身はどうなったのだろう、パーになってないだろうか。元気に合気道をしては活発だったのに、ストップ掛かると心身機能は落ちる。二度と、居合が出来ないのか…)

 それでも、自分にとっては変わらずの存在だ。

 一緒にいるだけで癒される。


 昨日までは、キスをしたくても我慢してきた。

 だけど、今日からはキスしようと思えば我慢しなくてもいい。

 勇気のいる事だったけど、自分の気持ちが言えて良かった。


 友明。

 これからも、ずっとそばに居てくれ。

 お前は、温かいよな。

 睡眠不足の私だが、お前が居ると安心して眠れる。

 不思議だよな…。


 おでこか、頬か、鼻かと迷ったが、結局は全部にキスをした。

 「おやすみ」

 そう言って、腕枕をして胸に抱き寄せる。


 明日は、朝一で役職会議があり、打ち合わせランチが入ってる。

 ここは親の持ち物らしいから、私の方に移ってもらおうか。



 急に、友明の言葉を思い出した。

「エッチし放題ね…」と苦笑していると、眠気がきたので瞼を閉じた。

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