第37話 性描写あります。ソフトなのか、な・・・?
実地に入り早くも1年が過ぎてしまい、6年生も6月になると早い人では内定の話しになる。決めないといけない時期が迫って来るが、まだ心が決まってなかった。
だから、まだ内定を貰ってない。
まだ申請してないのだから、貰う以前の話しだな。
その理由の一つは、甥っ子が生まれたからだ。
弟の優人には昨年の11月には双子が生まれ、今では2人とも自由にゴロゴロしてる。もう少しするとハイハイになる。
まだ20代の私は、その双子には「友兄ちゃん」と呼ばせるつもりだ。
甥っ子が2人生まれたお陰で、産科小児科に詳しくなってきた。
特に小児科には、色々な症状の子供たちが来る。
専科は病院勤務をしながら決めていくものだけど、まだ自分の形が見えてこない。
このまま都内での勤務にするか、福岡に戻るか。
もう一つの理由は、ひろちゃんだ。
あれから1年経ってるのに、何も連絡がない。
寝室のクローゼットを開けると、ひろちゃんの服がズラッと並んでる。
連絡がないし、寄ってくることもない。
それもそうだろう、あんな喧嘩をしたのだから。
悪いのは、私なんだから。
なぜか、ひろちゃんの事が気になるんだよな。
なら、これらの服はどうするつもりなんだ?
腹が立つので1着ほど着てみるかと思い、イタリア製のノーコンのスーツを選び着てみる。
インシャツは、どれもがシルク100%で手触りが良い。
インシャツはまだいい、問題はスーツだ。
このスラックスの長いことっ、それはひろちゃんの脚が長いことを指す。
そういえば、ひろちゃんと並んで立ってると、足の付け根は私のへその位置になるんだよな。
そして、スーツの上衣…。
手の先が、指が見えない…。
肩の位置も落ちる。
これは、ひろちゃんの体格が広くてガッシリしてて腕が長いっていう証拠だ。
そういえば柔道だったよな、体格が良かったよな。
ひろちゃんのアソコもデカかったよな。
何かモヤモヤとしてきた、ひろちゃんの声が聞きたいっ!温もりを感じたいっ、顔が見たい、と心底ひろちゃんを望んだのは、これが初めてのことだ。
数回エッチしただけなんだけど、クローゼットに掛かってるスーツ類を見ながら思い出そうとした。
俺様な喋り方、硬質な感じのする声、不器用な表情。偉ぶってる感がハンパなくて、紳士的でいて、どこか抜けていて…。逃げ足は早くて、お調子者っぽい感じもして、面倒見の良いところがある。すごく幸せそうな至福な表情もすれば、怒ると怖いぐらいに目が釣り上がる。そして、よく食べ、よく飲む。
気がついてたら、私の股間は完全に勃っていた。
自分でした事はないが、ひろちゃんのヤリ方を思いだしながら自分で握って上下に動かす。目を瞑り、ひろちゃんの顔を声を温もりを思いだしながら扱いていく。
「くっ……、ぅ… 」
どうすれば良いのか分からない。
いつまで動かせばいいんだ?
どうすればこの勃起してるのを抑えられるんだ?
誰か、ひろちゃんっ!
はあ、はあ、はあ…。
肩で息をしながら思っていた、どうやればいいんだ…と。
一日経った翌日、起きてみると股間の勃起は収まっていた。
一日経てば収まるのかと、なぜか不思議と納得してしまった。
寝室のクローゼットに置いてある、これらの服は自分には要らないので、返すことにした。宅配で送っても良いが場所は分かっても住所や名称は分からないので、持って行くことにする。
週末の土曜日の夕方、ひろちゃんのマンションにそれらを詰めたダンボールを自転車の荷台に括りつけて、持って行く。
エントランスの人に、そのダンボールを「福山博人さんに渡してください」と言うと、険しい顔で「中身を見せてください」と言われた。
それもそうだな、不審物だったら困るもんな。
ダンボールのテープを破って、中に入ってる衣類を全部出して見せる。
スーツもそうだけど、私服も下着も上質な衣類なのでパッと見れば分かったのか、「渡しておきます」とやっと言ってくれた。
「もう一ついいですか?」
「どんな事でしょう?」
「手紙も渡して欲しいのです」
と言ってレターセットを出して見せると、その場で手紙を書き、渡した。
『福山博人様
衣類を持って来ました。 友より』
と書いたのを見たエントランスの人は、「渡しておきます」と言ってくれたので、お願いしますと頼んでマンションを後にした。
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