第27話 仲良くグッスリンコ

 ベッドに連れて行くと、今日は服を脱がなかった。

 まあ、あの時ほど酒は飲んでないからな。


 寝顔を覗くと、あの時と同じ可愛い顔をしてる。

 あの時は、私も一緒に寝て朝までグッスリだったよな。

 それなら、今夜も寝れるだろうか。

 美味い飯と酒に酔った。


 あどけない寝顔を見ながら、2年前の彼女を思い出していた。

 彼女は、いったい誰なのだろう。

 どこの大学の学生なのかは分かる。

 私が卒業した大学だから。

 でも、声楽には知り合いは居ない。


 「ん…」

 友明が寝返りを打つ。

 ゾクッとする声だ。

 いやいや、私はノーマルだ。

 あの時は、どうして抱こうと思ったのだろうか。


 人肌というのを感じるのは、久しぶりだ。

 いつぶりだろう。

 そう思っていたら、いつの間にか寝ていた。


 iPhoneのアラーム音が鳴るまで、ぐっすりと寝ていた。

 朝食は私が作るか、トーストだけど我慢してもらおう。

 まだ寝てる友明の頬にキスをして、らしくもないことをしたせいか照れ隠しに足早にキッチンに向かった。


 その月の中旬に、大学から連絡があった。

 「そっちの病院に実地に行きたいという学生がいるが、良いだろうか?」


 それは打診であって、その電話にOKを出すと正式に大学から通知が来る。

 名前を聞くと、「5年生の福山友明」。

 えっ、まさか…。


 その名前に驚き、思わず言っていた。

 「でも、この病院は経験者のみで、新卒は要らない。

 申し訳ないが、他の病院に当たってほしい」

 そう言うと、「だよな。私もそう言ったんだけどね、聞くだけでもという事だったので打診させてもらった次第です」

それでは、と電話は切れた。




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