第24話 親友の死

 食後、少し休ませてもらってから服を借りて帰って、一時帰宅しては優介の所に行った。

 ピンポンと鳴らすと、すぐに誰かが出てきた。

 「トモ兄ー」

 と言って抱きついてくるので、それを制して優介の肩に手を置き、優介の目を見ながら言った。

 「優介、よく聞いてほしい」

 「うん、なに?」 

 「私は、まだ大学生だ。だから金もなければ、優介を幸せにさせる力もない。

 これからの事を考えれば、お前は親戚の所へ行く方がい…」

 それ以上は言えなかった。

 優介に顔を叩かれたからだ。

 「いやだ!トモ兄と一緒に居るの。ここで、皆と一緒にお父ちゃんを待つの」

 と泣きながら言ってくる。

 「康介は…、優介のお父ちゃんは、死んだんだよ」

 「バカ!!」

 と、思いっきり叩いた優介は家に入っていった。

 優介の言動を見ながら、私は思っていた。

 康介が死んだなんて、私もまだ信じられない。

 どれぐらいの期間が掛かるかな。

 あいつの死を受け入れる時がくるだろうか。


 弁護士になった同級生が寄ってきた。

 康介の葬式等の日取りが決まった、と。

 明日は通夜で、明後日が葬式だ。


 葬式も、無事に済んだ。

 優介は泣きじゃくって、私を睨んでくる。

「親戚の所へ行け」と、私が言ったからだ。


 今は何を言っても、聞いてはくれないだろうな。


 ひろちゃんに愚痴ったお陰で、卒業するまで頑張ろうという気になった。

 そうだよな、医師免許持っていても医者になってない人もいるからな。


 クリーニングに出してた服を、ひろちゃんに返さないと。

 連絡先を教えてもらってたので、メールを打つ。

 そしたら、2日後の夜ならOKという返事がきた。

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