370日目 妙な気配と微弱な魔力


 それからして準備が整ったと魔王の指示を受けたハルトたちはせっちゃんによろしく頼むと言って作戦が始まり。

せっちゃんは鬼の方向を上げて飛び出していき雪山の中を駆け回りだし・・・次第に音が1つ2つと増えていき次第には数えきれない数にまで増えておりそれはまるで雪崩のような勢いでハルト達の方へと向かって来ていた。



「なぁこの音ってヤバくないか??完全にせっちゃん俺たちを巻き込むように動いてねぇ??」

「いやそれはないと思いますが・・・それか魔王の結界に接触した動物がパニックを起こしてこちらに来ているのかもしれませんね。

という事で逃げますよ!!!巻き込まれると私は死んじゃいますのでお先に!!!」

キルりんはハルトにどこへ行くとも言わずに瞬時に消えるとハルトは音がする方向から逆の方へと走って逃げ出してはいたが元々動物と人間の走るスペックは大きく違う事からいつの間にかハルトの隣には獣の類がズラリと並び・・・その後ろからは目を光らせて咆えているせっちゃんの姿がありその姿は動物以外にも人間でもビビらせられそうな形相をしておりハルトは何も見なかったと顔を元の位置に戻しつつ動物とのラリーを続けていた。



「ゼェゼェゼェ・・・・へふぇ・・・うぐ・・・もうムリ・・・

せっちゃん後は任せた・・・ギョアァアァァアァァ!!!!」

「グゴアァアァァアアァァァ!!!!」

「ギギョォォォオォォォ(動物一同)」

ハルトはあと少しで結界の端に辿りつくところで体力が限界となって足を止めると害獣や魔獣の群れに呑まれ踏みつぶされており。

せっちゃんはそのハルトに気が付くことなく過ぎ去りキルりんは踏みつぶされてボロボロとなってハルトに対し木の棒でツンツンと突いていた。



「ハルト~大丈夫ですか??

走って逃げるなんて無茶ですよ・・・あの数ですから逃げきれたとしても戦闘に巻き込まれればハルトは捕食されるでしょうしこうなることが最善だったのかもしれませんね。

さぁせっちゃんがホワイトボアーを探していると思うので私たちも後を追いかけますよ。」

「そうしたいのは・・・・やまやまだが・・・体が動かねぇ・・・悪いが引っ張って連れて行ってくれ・・・・ガクッ・・・」

ハルトはキルりんに引きずってでも連れて行くようにと伝えると意識が再び途絶え。

キルりんはため息をこぼしつつもハルトの手を掴んでズルズルと引きずり歩いて行くとせっちゃんは鬼化を解除し害獣たちと戦闘を行っていた。



「ん~どこにホワイトボアーがいるのかな??

そこだッ!!!ん~また違った・・・・

本当にごちゃごちゃしてて全然わからないし全部倒してもいいかな??」

「ダメですよ!!冬場の狩りは一定以上の生き物を狩ることは生態系を酷く崩す恐れがあるのでやってはならないと国から指示が出ていますので控えてください。

それとホワイトボアーならこの中では見当たりませんね・・・やはり稀少という事だけあって危険の察知も他の害獣よりも優れているのかもしれませんね。」

「・・・・・・・・・・・・」

キルりんの言葉を聞くとせっちゃんは剣をしまい・・・怒り昂った害獣たちに再び鬼化を見せ、大きな咆哮を聞かせると瞬時に森の奥へと逃げ帰ったのだが・・・・



「すみませんハルト・・・ハルトの回収までは考えていませんでしたので・・・・その・・・大丈夫ですか??」

「この害獣に踏みつぶされている姿を見て・・・・大丈夫だと思えるのならお前は相当だぞ・・・」

「は、ハルト!?どうしてそんな所で寝転がって・・・まさか害獣にめちゃくちゃにされたとか??

と、言うよりもハルトはどこにいたのかな??」

せっちゃんは引きずられているハルトに気が付いていない状態で害獣たちを散らしたことによって被害を受けたハルトに平然と聞き尋ね。

キルりんがこの状態に至るまでの話をするとせっちゃんは深々と頭を雪に埋める形で土下座を見せ。

何とか立ち上がったハルトはせっちゃんに大丈夫だと力無い言葉で伝え魔王に作戦の中止を知らせて合流するとこれからどうやってホワイトボアーを探すかという作戦会議が行われた。



「そろそろ作戦もいい案が無くなりつつあるが魔王たちは何か考えはないのか??

それでもホワイトボアーを食べた事があるんだろ??だったらその・・・何か手掛かりとか何か知ってることとかないのかよ??

こういう時くらい魔王らしく知恵を貸してくれ。」

「それは誤解だぞハルト??私はいつも知恵を貸してはいるがハルトたちがいつもうやむやにすると言うか聞く耳を立てないのではないか!!!

私のことを事もあろうにサキュバスだとも言えば言いたくなくなるとは思わないのか??」

「そうですかね??私から言わせていただきますと最近の魔王を見ていましたらが板について来たのかサキュバスだと冒険家やハンターたちに言ってもあんまり反応しないように思えるのですが??」

「あぁ~そう言えばここに来る前に冒険家さんたちにサキュバスだと言われてたような・・・・」

と、色々とサキュバスが定着している魔王であったがその話は別として今回は特別にと知識を貸してくれるらしく。

せっちゃんが大暴れしていた際に微力な魔力を感じたと近くの洞穴に指をさし。

どうしてそれがホワイトボアーとわかるのかと問うと魔王は長年生きてきた勘と稀少な害獣は大きく表には出ないはずだと大きな声で断言しており。

今の魔王はメルトの暴走モードに近い状態にあり洞穴に向かうと言うまでは何も聞く耳は持たないと言ったような状態にハルトたちは他に案があるわけではないと魔王の言った洞穴を調べることとなり薄暗い洞穴の中を歩き始めた。



「やっぱり外よりも洞窟内の方が断然暖かいですね。

それにこれだけ暖かいと害獣に魔獣と何がいても不思議ではありませんのでハルトに限らず全員油断しないでくださいよ??」

「お、俺は油断も何も司令塔だし何かあれば守ってくれる頼もしい2人がいるから平気だ。

なぁ魔王にせっちゃん!!!」

「しょうがない奴だな。

自分の身は自分で守れるようにと剣技を教えてやったのに・・・・しょうがないここは私がハルトを守ってやろう・・・ん?どうしたのだせっちゃん??

ハルトは私が守るからせっちゃんはキルりんをだな・・・」

「大丈夫、私がハルトを守るから魔王さんはキルりんのカバーに入ってあげて。」

この状況でも2人はハルトの取り合いを始めだしキルりんは呆れて3人を置いて先へと進むとそこには白いたてがみを振るうホワイトボアーが待っていたぞと言わんばかりにどっしりと構えて待っていた。

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