355日目 2人の協力戦
糸でぐるぐる巻きにされて捕まったキルりんを茂みの中から見ていると、ハルトの背をチョンチョンと誰かがつついており。
ハルトは見つかったかと思いそのつつかれた方向を見ると・・・それはゼェゼェと息を荒くして逃げていたメルトで。
ハルトはお疲れと言いながら現状掴まったキルりんの事を説明しこれからどうするかと話し合ったのだが・・・・
「私はこのまま逃げ回って人間の恐ろしさをばら撒くわ。
そうするとすぐにでも街へ帰れるじゃない??
それにそろそろ糸と子グモとのお遊びも飽きて来ちゃったところなのよね。」
「ぶっちゃけ過ぎだが今回は大目に見るとして魔王はどうしたんだ??
さっきから全然声もしなけりゃ気配も追われている様子もないんだがよ・・・・」
と、ハルトは魔王の事をメルトに問うと。
メルトはそっと空を指さし魔王のいる場所をハルトに語り、魔王はどうやら空を飛んでいるらしく。
通りで声もしなければ子グモたちが魔王を追いかけようとしていないのかと理解したハルトは魔王にどうやって連絡を取るかと考えている間に茂みの中に子グモが舞い込んで来るや・・・伝える事を考える前に逃げることが優先され。
ハルトたちはまず落ち着いて連絡の取れる場所を目指すこととなった。
「えっほえっほ・・・ハルト、こうなったらまた二手に分かれて逃げるって言うのはどうかしら??
相手はどうやら1匹のようだし数が増える前に分かれてどちらかに向かわせた方が寿命は延びるでしょ??
だからココはそうした方がいいと思うのよね!!!あと恨みっこなしで!!!」
「いいぜ!!!だが言っとくが万が一メルトの方に子グモが行ったとしても文句を言うんじゃねぇぞ!?
それじゃ俺はこっちを逃げさせてもらうぜ!!!!」
「・・・・・・・・・・・・」
子グモは二方向に逃げ出したメルトとハルトをどうやって追いかけるか考えだし。
両方を追いかけると言う答えが導き出され。
子グモは小さな鳴き声を上げて子グモを呼び出しハルトの向かった方とメルトの向かっていった方に子グモたちも分かれて追跡し始め。
ハルトとキルりんは互いに追いかけてこないと休んでいると後方から子グモの群れに襲われ更なる過激さを増していた。
一方その頃、魔王は・・・・
「ん~~空で待機しているようにとキルりんに言われるままいるにはいるのだが。
やはり子グモたちは私に気が付くこともないか。
それにハルトたちは随分と楽しそうに逃げている事だし私も地上戦に戻るとしようかな。
あのまま空にいたとしても戦いになる事も無いだろうしな。
―――――――――よっと、どうこう言っている間に子グモたちに追われるハルトを発見!!!」
「んあ!?マジか!!!魔王!!!何で空から戻って来たんだよ!?
あのまま空にいればお前の独り勝ちだったのによぉ!!!
くそぅ・・・このままじゃ人間とサキュバスチームが負けちまうじゃねぇか!!!!
―――――――――うわ、何をす・・・・ぐべはッ・・・・」
魔王は急にサキュバスというワードに過剰反応して見せ・・・ハルトを大剣で叩き飛ばすと子グモたちはそちらの方へ向かっていき。
子グモたちは身動きの取れなくなったハルトをいとも簡単に捉えるとキルりんと同じように糸でぐるぐる巻きにして運び、残るは魔王とメルトだけとなりこのまま全員が掴まって終わりになってしまうのかと不穏な空気になりつつも魔王は気配を頼りにメルトを探し出し合流するとメルトは高い木の上に隠れており。
ハルトが掴まった事や魔王がその件に関与していることも知っていると言う事から説明は不要だと言うも魔王は必死に自分は悪くないと強く語り。
メルトはその言葉を適当に流して答え子グモたちがどのあたりを移動しているのかを探っていると・・・・
「おい、メルト・・・この木に子グモが数匹登って来ているが大丈夫なのか??」
「あぁ??まさかさそんな事は・・・・ッ!?マジなの!?
あの子グモたち木登りも得意だなんて聞いてないわよ!!!
あぁ・・・魔王このままじゃ掴まっちゃうからジャンプして地上に降りてすぐにダッシュ移動よ!!!」
「ギチギチギチギチ・・・・・」
子グモたちはメルトと魔王を捕まえようと糸をピュルピュルと出しながら隠れているだろう場所にやって来るとそこには人影はなくメルトたちはその反対方向から飛び降りており子グモたちを何とか撒くことに成功していた。
「ハァハァ・・・何とか逃げることに成功はしたけど足がジンジンビリビリでもう走れないわ・・・・あんな高い所からのジャンプは人間にはきつすぎたのね。
出も相変わらず規格外スペックの魔王は何ともなさそうね。
その体は一体どういう作りをしてるのよ・・・・」
「いや、私の体も基本的には人間と同じなのだぞ??
ただ・・・そうだな・・・鍛え方が少し違うだけだ!!!
そう、鍛えた分だけ強くなる・・・・だから私の足もそれだけ鍛え込んであると言うわけだ。
あと・・・子グモたちは私たちを見つけたのかこちらへ向かって来ているぞ!!
さぁ駆け足ダッシュ開始だぞ!!!ん?どうしたのだ??」
魔王はたったっと走るポーズを取ってメルトに移動をしようと呼びかけるがメルトの足はがくがくと震えており・・・先ほどの衝撃が未だに抜けきっていないと座り込んでしまいここで終わると呟くと魔王はメルトを背中に抱えて走り出しメルトはその行為に意味はないと呟くも魔王は仲間を置いて自分だけ逃げることはできないと勇者のような言葉を吐いてメルトを助けると。
メルトの足が治るまで落ち着ける場所を探し・・・灯台下暗しの応用でハルトとキルりんの掴まっている場所付近に隠れてメルトの足の容体を確認すると。
足の骨にひびが入っている様で少し曲げた辺りでメルトは小さな声で痛みを呟き。
魔王はこのままでは続行できないと言ってリタイアを指示するもメルトは最後まで捕まるまでは止めないと強く意思表示を魔王にすると。
その言葉に強く言っても意味はないと魔王はそっと手を足に当て・・・魔王式治癒魔法をかけて子グモに見つからないようメルトに見張らせながら治療に専念し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます