350日目 時間の有効活用法


 魔王に突き出されたシュゴビーの数々は綺麗に魔王の部屋に収納されたのだが。

メルトはこれだけは渡せないと神酒だけを自分の枕元に置いておくと言っていたが・・・この行為がどれだけ保てるのかと気にはなっていたがあえて口に出さずメルトに体調を問うと、メルトは顔をこわばらせて大丈夫と返答した。



「だが・・・かなり無理をしてるように見えるが・・・ダメそうならプリーストになってくれてもいいんだぞ??

家が酒臭くならなくていいし煩くなくなるしさ?」

「ちょっと待って!!!それって私が家にいると酒の匂いがプンプンしてるってことじゃないのタコ!!!

私はね偉大なる魔導士魔術師なのよ??そんなの魔術薬品の調合で匂う薬品と比べてどっちがマシかわかる??ねぇ魔王??あなたにはわかるわよね??」

「そうだとも!!完全に魔術薬品のニオイの方がマシだとも!!!

そもそも昼間っから体中をお酒の匂いを香水代わりに漂わされていたら私たちまで遊び人だと思われてしまうだろ?」

「それもそうですね盲点でした。

というより考えてはいましたが考えないようにしていたと言いますか・・・・

メルトが起りそうだったので言わなかった方が正しいのかもしれませんが。

そういうのもあるかなと私は思います!!」

メルトの意見からの返答を聞いた後の顔はさらにすさまじいもので。

自分の今まで体から漂わせていたニオイであるアルコールによる風評被害はとんでもないものだったのではないかと勘づくと同時にメルトは急ぎで何かを調合し始めそれを体に振りかけ・・・ハルトに嗅いでみるように言いつけた。



「どうせまた変な薬品を作ったんだろ??

まぁ酒臭くないものだったらかいでやるが・・・・クンクン・・・・

んなッ!?メルトから初めてであった頃ですら嗅いだことのないフレグランスな甘い香りだが・・・人体に影響とかないのか??」

「無いわよお馬鹿!!!私を誰だと思ってんのよ!!!

香水だって私は作れますから!!!それに・・・こういうニオイはハルト好みなんじゃない??

時々ハルトの吹くから匂ってきてるのを私とキルりんは知ってるのよ??

魔王はトレーニング帰りが多いから汗臭くてわからないかもしれないけど。」

「わ、私は別にいつも汗臭くなどはないぞ!!!それに・・・トレーニングをしてると汗をかくのは必須だろ?だからその点には触れないでくれ。

あとハルトが好みの匂いと言うのを勉強用に匂わせてもらえないか??」

「あ、私も匂ってみたいです!!

クンクン・・・あぁ~これはいいニオイですがこの匂いってキワドイ格好で踊る確か・・・ポールダンスのお店の匂いではないですか??もごごッ!?!?」

キルりんの鋭いコメントにハルトは力を込めてキルりんの口を塞ぎ・・・魔王を適当に誤魔化しつつもキルりんには裏でその系統の話はしてはいけないと釘をさすとともにキルりんの体の特徴を微妙な感じに褒めてそそのかすと。

キルりんは調子に乗って受け入れ間違いだったと言って流し・・・・魔王はそっと笑いながら大剣をしまっていた。



「で、私はお酒の代わりに何をして過ごせばいいのかしら??

こんなにも楽しみのない生活なんて数日も持たないかもしれないのだけれど??」

「確かにそうだな・・・メルトは依頼帰りに酒場へよって酒を飲む以外の楽しむことを知らないのか。

そうかそうかならば話は早いぞ!!私と共にトレーニング・・・・」

「魔術の本やそう言った書物を読み漁るのはどうです??

時間もかかる行為なので時間つぶしと知識が増えると言う完璧な内容じゃないですか??」

「依頼をして稼ぐって言う意見はないのか??

このままぐうたらして寝るだけとか言ったらぶっ叩くぞ??」

ハルトの冗談抜きの言葉にメルトはキルりんの言葉を採用し本を読むことを決意し図書館へ向かうも冬季休業でしまっており。

最近通っている古書にはあまりいい本がなく途方に暮れそうになっていると魔王がメルトの隣に現れトレーニングをしないかと綺麗な笑顔のまま伝え。

コレ以上スルーや拒否をすればダークな魔王になってしまうと言われたメルトは魔王の意見も聞いてみることにし・・・魔王のトレーニングという名の修行の場である今は使われていない王国の訓練場跡地にやって来ると。

雪がちらつく中を2人は新しい技を作ろうと独自に練習をすることとなったのだが。



「なぁどうして俺たちもここで見てるだけに付き合わんと行けないんだ??

こんな寒い中マジで元気だよな・・・・」

「魔王はきっと春夏秋冬いつも体も頭の中もぽかぽかしているので大丈夫なんじゃないですかね??

それにメルトの方は魔法陣から触手のようなモノが出ていますがそれは大丈夫な奴ですか??異形なモノを呼ばないでくださいよ??面倒事になるので。」

「あぁ!?今新しいいい技が思い浮かんだのにどうしてくれるのだ!?

くぅ・・・このままでは私の修行がはかどらないぞ・・・・どうしたものか・・・だがメルトの魔法陣から出てきている触手がこっちに伸びてきているのだが・・・・おぉ!?掴まれたのだが離してはもらえないか?」

「あぁ~~その先に謝っておくわね。

コレ・・・制御できなくなっちゃって・・・魔法陣消すの手伝ってくんない??」

メルトは冷や汗をかきながら宙ぶらりんになりつつある魔王とハルトたちに語りかけると。

ハルトとキルりんは無表情のまま立ち上がり・・・そっと魔王とメルトを置いて逃げ出すもメルトは2人を追いかけており魔王は魔王で宙ぶらりんのまま触手に掴まれながら移動し。

ハルトたちはついに観念しメルトの魔法陣を消す手伝いを行い魔王を救出した後に触手を完全に焼却し、綺麗に完結させたのはいいがこれから何か奇妙な事やストレス的な精神異常に悩まされないだろうかと嫌な事が頭をよぎるがそれはそれとして自分でもわからない魔法を使う事、作ることを禁止させたうえで魔王とメルトの修行を傍観しつつ隣で毒草を磨り潰していたキルりんの楽しそうな表情に目を奪われ見つめているとキルりんと目が合いキルりんはそっと背を向けて再び毒草を磨り潰す作業に戻っていた。

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