279日目 幻の星色スミレを求めて


 ギルドにやって来たハルトたちはまず依頼を探しに依頼掲示板の前にやって来ると。

そこには見たこともない害獣の駆除や報酬の高い魔獣の討伐や下見等の依頼がずらりと張り出しており。

ハルトたちはその中でも端の方にある採取系の依頼コーナーで何か良い内容の物はないかと探していると――――――――



「ねぇねぇ・・・この星色スミレの採取はどうかしら??

花の採取ならキルりんとか得意じゃない??」

「いえ、私の野草採取スキルはそういう希少な花の採取ではないので手間がかかるると思いますよ。

何せその星色スミレは魔物除けにもなればアクセサリーとして加工するもよしという超レアな野草で・・・とても環境の整った綺麗な生態系にしか生息しない幻の華とされていると聞いたことがあります。」

「私もその花の話は聞いたことがある。

とある混沌の時代・・・人間と魔族との戦争の間に咲いたこの花は魔族を退け人間を勝利に導いたとされて人間側にとって勝利の象徴だとも言われてるとか。」

「そんな大層な花を1輪採取する依頼で報酬は・・・・300万ゴールド!?

なんつーべらぼうな額だよ・・・花だけで300万って・・・

この花を見つけるのに特別な能力とか何かが必要ないのなら探してみるのもいいかもしれないな。」

と、ハルトが花の採取依頼を受けようと語っていると。

後ろの方から聞いていたハンターや冒険家が数人現れ・・・ハルトたちに注意をした。



「その依頼を受けるのなら注意した方がいいぞ。

俺たちの仲間がその花を探しに行ったっきり戻って来てないんだ。

きっと・・・道中何かあったに違いないんだとは思うが・・・

その依頼を受けるのならそれ相応の覚悟をした方がいい。」

「そうだぜ・・・お前たちのような欲に塗れたデコボコPTだとすぐに・・・

いや、この際だから何も言わないでおく。

武運を祈ってるぜハルトとその仲間たち。」

「と、ヤツらは言っていたが・・・・あれだけ脅かされても行くのか??」

「あったりまえじゃないの!!!花を見つけて持ち帰るだけで金をくれるって言うのよ??

こんなのどんな危険な場所にでも探しに行かないといけないわ!!!

これも報酬と帰りに呑む旨いシュゴビーの為よ!!!」

「メルトの発言は半分以上はスルーしたとして・・・

そこそこに手練れた冒険家やハンターたちが行方不明になる程の難易度ですか。

コレは準備をしっかりとしておいた方がいいかもしれませんね。

何かあってからだと遅いので。」

「うむ、今回は私もキルりんの提案に賛成だ。

いくら魔獣が出てこないからと言って他の外部的要因がないワケとは限らないからな。

例えば後を付け狙い花を横取りしようとする者たちがいたり。

害獣や生物により邪魔が入る可能性だってあるからな。

―――――――――――花の依頼を受けるのであれば準備は万全にだ。」

魔王とキルりんの言葉から準備を整えて依頼を受けることにし、ハルトたちは装備を整えに一度家に戻って装備を整えてから依頼のポイントである森の奥にある秘境を目指して進んでいると。

数時間歩いた程度でメルトがもう歩けないと駄々をこね始めていた。



「もう歩けないわ~~~ちょっとこの辺で休憩にしましょうよ。

どうせもっと奥に進まないと花なんてないんだと思うし・・・・はぁ~~どうしてこんな面倒な依頼を受けちゃったのかしらねぇ~~」

「いや、お前が金の為ならとか言って受付嬢に叩きつけたんだろうが。

なんでその叩きつけた本人が被害者面してんだよ。

巻き込まれたって言うのならどちらかと言ったらこっちだろ。」

「それはそうと・・・魔王は気が付いていますか??

数人・・・いえ、数十人ほど私たちの後を追って歩いてきています。

旅人や商人の足音ではないですね。

これは・・・・私たちを追ってきているのですかね??」

「あぁ・・・きっとそうだろうな。

花を見つけた際に横取りをしようと狙っている連中だろう。

だが・・・あれだギルドで脅かしたのにもかかわらずこうしてついてくると言う事は相当な死にたがり屋なのかバカなのか・・・それとも本気で私をどうにかできると考えているのかと言ったところか。

で、ハルト・・・をどうする??」

魔王とキルりんの目の配り用から冗談ではないと察したハルトは魔王に近くにいるモノの場所を聞くと。

そこへ気合のこもった石を投擲した。



「ぐがッ!?チッ・・・・バレてやがったか・・・・

だがそうと分かればちまちまと隠れる必要はないな。

野郎ども囲め囲め!!!!」

「囲むのはいいが・・・・幾つか尋ねてもいいか??

命が惜しくないのか??この痴女1とまな板1枚にバカ1匹に見覚えはないか?

あと、どうして俺たちに付き纏うんだ??面倒何で止めてもらえません??」

「この状況で質問するとかコイツはとんだクレイジー野郎だぜ。

命が惜しくないか??お前たちの命なんざどうだっていいさ!!!

それにそこにいる女どもは見たことも聞いたこともないが・・・・言い値で売れそうだな!!!

で、最後の質問だったな・・・・お前たちの探している幻の星色スミレを先に横取りするためだ!!!あとは俺たちがこの辺を探して見つけるからお前たちは地べたで寝て待ってろ!!!!」

「ちょっといいですかね??

そこのマヌケなアンタらの相手は後でたっぷりしてやるとして・・・・まずはこのクソハルトをぶっ刺しますので待っていてください!!!」

「そうだな・・・私を痴女扱いするなど言語道断。

今ここで土の仲間入りにさせてやろう!!!!覚悟しろハルトォぉォ!!!」

「誰が馬鹿よッ!!!この2人に比べればマシかも知んないけど私はバカじゃないわ!!!世界にその名が知られわたる程の大・・・魔術師メルト様よ!!!

こんな私をバカバカ言うハルトの方こそクソ馬鹿よ!!!

これでも喰らって燃え尽きなさい!!!!」

3人はかか込まれた状況をスルーしつつ暴言の数々を吐き散らしたハルトに向けて攻撃を開始し。

ものの数秒でハルトを再起不能にさせると・・・・お次は誰かと盗賊共に視線を向けていた。

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