277日目 教会の新入り


 魔物の群れを倒し切り・・・念のために運送者に魔獣や害獣の回収をしてもらい・・・紙を受け取ってからハルトたちは疲れ果てた顔で街へ戻る際に今朝通った森を歩いていると。

ハルトたちの後方からミノタウロスとリザさんの声が聞こえた。



「うあぁぁ~ぁ??あぁ~あぁう!!」

「何だって???リザさんは何て言ってるんだ??」

「お帰り、今日はいつもより遅かったけどどうしたんだ?と聞いているな。

いや、今日はぷちベヒーモスの討伐に出かけていたのだ。

だが・・・以外にも力を入れすぎて返り血を浴びてしまってな。

ついつい無駄な殺生をしてしまった。」

「とかなんとか言いつつ魔王の方にいた魔獣とか害獣は全部魔王だけでバラバラにしちゃったじゃない。

しかも笑みを浮かべながらバラしてたあの表情は本当の魔王を思わせる残虐性あふれる顔だったわよ??」

「しかもあれだけ戦って置いてまだ足りないとか言い出した時は自分たちが着られるんじゃないかとヒヤヒヤしましたよ。

本当に魔王は血が頭に上ると我を失って怖いです。」

「そうか~ハルトたちは魔獣狩りをしていたのか~

ワタシたちはこの辺りのパトロールが終わったから戻ってる最中なんだ。

―――――――だからここから一緒に帰ろ~」

ミノタウロスはニコニコと笑いながらハルトの手を掴むとハルトの隣にはリザさんが何かをして欲しそうに見つめて立っており。

ハルトはそっと手を差し出し・・・3人仲良く手を繋いで街へ戻ると・・・・・



「それじゃワタシたちは教会に戻るよ。

また今度一緒に依頼をしようね~バイバイ~」

「うあぁ~あ!!あぁ~~あぁぁ~~」

「何だかわからないがメッチャなつかれてないか??

何だ・・・この嬉しいんだか嬉しくないんだかわからん感情は・・・・」

「そう言いながらハルト~手をにぎにぎしてた時の顔は意外と満足そうにしてたじゃないの~このこの~~」

「そうですよぉ~魔王というものがありながらいい身分ですねぇ~このこのぉ~」

「わ、私は別にそう言うのではない!!!

それに別にハルトがどんな相手が好きだろうとも私には・・・関係にゃい!!!

そ、そうだ!!早く今回の報酬をもらいにギルドに行こう!!!そうだそうしよう!!!」

魔王は何かを誤魔化すかのようにギルドへ向かうと、ハルトたちもその後を追いかけてギルドに入り紙を手渡すと。

受付嬢から害獣と魔獣の討伐分の追加報酬も入れておくと言って報酬の入った袋を受け取ると。

酒場に移動して山分けし・・・そのまま今夜のディナーをすることとなった。



「ウェイトレスちゃ~~~ん早くシュゴビーのおかわり持ってきてぇ~~~

あひゃひゃ・・・今日は本当に頑張ったからのどがカラカラでショゴビーがよく飲めちゃうわ!!!ンゴンゴンゴンゴ・・・・ぶひゃぁぁぁ~~~ウマイッ!!」

「お前・・・本当にこういう時だけ幸せそうだよな。

依頼中の時とか戦闘中の表情はマジでこの世の終わりかって言うくらい死んでるのに酒と報酬がもらえる時だけニコニコはどうにかならないか??」

「いや、無理ですよ・・・・メルトですよ??

こういうキャラは報酬や自分を満たすことがない限り笑みは出ませんし。

笑みが出るときと言えば悪い事を考える時かカエルの事を考えたときでしょう。

ですからメルトが笑みを浮かベたと思えば逃げることも大切かもしれません。」

「だとしても・・・今日は本当に魔獣や害獣の群れとのいい戦いだった。

互いに命を懸けた削り合いと言うのか??

やはり私はこういう激しい攻めの戦いが好きなのだと今日つくづく実感したぞ。

また今後ともこういう戦いに巡り合いたいものだ・・・ん?どうしたのだ??

どうして私を変な目で見ているんだ!?

私は別に狂ってもいなければ命を粗末にしたいというな魔王ではないからな!!!

ただ・・・戦いが好きというか・・・言葉にするのが難しいからこの話は終わりだ終わりッ!!!」

魔王は恥ずかしそうに手を振って話を強制的に終わらせ、メルトを見ると。

メルトはいつものように樽の上に乗っかって一気飲みを見せびらかしていた。



「お前らはあぁなるなよ??

人生なにがあるかわからないがアレだけはマネしたら終わりだ。

女と言う事も何もかもを捨てた愚行だからな。」

「承知してますよ・・・メルトの酒癖と金品の癖の悪さは一級品ですからね。

それにあの一気飲みをした後の満足そうな笑み・・・あんな笑顔私たちの前でした覚えがないのですが・・・そう感じるのは私だけですか??」

「いや、私もあんなに笑顔を私たちに振り撒いたことはない。

振り撒かせる方法なら知っているがそれにはそれ相応の金品が必要だろう。

にしても・・・・本当にメルトは酒を浴びるようにガブ飲みしているな。

実はあの中身・・・ジュースではないのか??」

魔王は軽快にグビグビと飲み干すメルトに不信感を抱きながら見ていると。

メルトは樽から降りてフラフラとしながらハルトの隣に座り・・・ぐったりとしてもたれかかっていた。



「あひゃひゃ・・・みんら~のんれるぅ??

あたひはひゃいこーにはいってるわよぉ~~~あひゃひゃ・・・・」

「これは駄目ですね・・・完全にネジが飛んでいます。

それにこの場に長居をすればメルトをまた引きずって返らないといけなくなるので早めに撤退しませんか??」

「それがいいだろう。

私もメルトを運ぶのは少々手間がかかって嫌気がさしていたところだ。

だからメルトが寝てしまう前に家に帰ろう。」

「んだな・・・んじゃ俺は会計してくるから先に戻っていてくれ。」

ハルトはそう言って魔王たちを先に家に帰し、会計を済ませてから家の方に歩いていると・・・何かにつけられているような気配を感じ。

速足で家に戻っていると・・・やはり誰かに付けられているようで振り返ると。



「・・・・・・・俺の気のせいか??シュゴビーはそれほど飲んでいないはずなんだが・・・・・うわッ!?」

ハルトが気を抜いて前を向くと、そこにはミノタウロスの顔が近くにあり。

思わず驚いた声を漏らしてしまい・・・ミノタウロスもハルトの声で驚いていた。



「びっくりしたよ!!ハルトは何をしてるの??」

「いやそれはこっちのセリフだ・・・・

俺はこの先にあるに戻る最中だが・・・ミノタウロスはどうしたんだ?迷子か?」

ハルトは逆にどうしてこの場にいるのかミノタウロスに問うと。

ミノタウロスはハイネ司祭からの命令で夜の街のパトロールだと言ってハルトについて行った。

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