264日目 薬品研究所主任:メディエル
翌日、目が覚めたハルトたちは朝食を済ませたあとギルドへ向かい依頼を探していると。
いつものようにメルトや魔王たちが各々の受けたい依頼を持ってきており。
最後の決断を下すハルトは1人1人の持って来た依頼に目を通しながら今日の依頼を決めていた。
「ん~~メルトのはいつも通り報酬はいいが俺達じゃ普通にボコボコにされちまう危険度の高い依頼で魔王の依頼は報酬も普通で相手もいつもと変わらない平凡すぎる内容だし・・・・ましてやキルりんの持って来た毒物の実験体募集はもはや俺だけを生贄にしようとしてるだろ・・・・」
「そんなことはないですよ!!!ですが私たちに投与した場合・・・もしかしたら拒否反応から即死に繋がるかもしれないですし・・・ハルトの場合ですと即死はないわけで・・・・少し2,3日眠りにつく程度なので大丈夫ですよね??」
「いや、それは確実にダメな反応だと思うのだが・・・・
それならハルトはどれがいいんだ???
イヤイヤ言ってるうちに依頼の紙がそれらだけになってしまっているが???」
「本当ね、他の依頼ってなるともはや私たちみたいな数人で受けるような依頼じゃなくて団体用のメチャクチャ数のいる依頼ばっかりね。
こうなったら3枚のうちどれか一つを選んで受けましょうよ。」
メルトの言葉に同意した魔王たちは依頼の用紙3枚のうち1枚を選ぶようにハルトに差し向けると。
ハルトは勢いよく1枚の依頼の紙を引き抜くとメルトはすぐにその紙をもって依頼を受けに向かった。
「で、結局俺は内容を見ずに移動しているんだが・・・・
街の中って言う事は・・・もしかしてキルりんの選んだあれなのか??」
「ここまで来たのなら言わないでいるのもアレだしぶっちゃけるとそうよ。
でも安心しなさい!!依頼の内容は実験であって殺傷目的ではないって事だからハルトの安全は保障されたようなものよ!!」
「それに何かあれば私たちがハルトを守ろう。
そういう類には強いキルりんもいることだし問題とは思うが・・・・」
「大丈夫ですよ・・・私にだって人の心はありますので危ないと思えば助け出します。
ですが日頃の恨みもありますし少しは緩くなっちゃうかもしれませんが気にしないでください。
とかなんとか言っているうちに到着しましたよ。」
キルりんが指さす場所に依頼を受けた薬品の研究をしている施設があり。
その外観は他の建物よりも頑丈に作られており出入りする者はみな白衣を着ていた。
「すみません、この依頼を受けてきたのですが。」
「あぁ・・・それならこの研究所の奥にいる主任の元へ行ってくれ。
早くモルモットは来ないのかと駄々をこねていて手が付けられないんだ。
早急に対応してやってくれ。」
「よし!!!俺は急用を思い出したから帰ってもいいか!?」
「ダメに決まってんでしょ!!!ホラ・・・あんたも駄々をこねないでよね!!!
魔王ここは協力してハルトを連れて行くわよ!!
依頼のモルモット役をハルトの代わりに受けたくはないでしょ?」
「グッ・・・・そうだな・・・ここはハルトにもう少しだけ我慢していてもらおう。
そう言う事だからハルト・・・暴れないでくれ。」
魔王たちの言葉を聞かずに逃げようとしたハルトであったが、魔王のスペックに敵うはずもなくすぐに捕まってしまい。
メルトと魔王に両手両足を掴まれて運ばれ。
研究所の中は薬品の匂いで充満しキルりんに連れられて奥の部屋へと向かって行くと・・・・・
「すみませんここに依頼を出した主任とやらがいるとお聞きして来たのですが・・・・」
「あぁ、それは私だよ。
いやぁ~助かったよ!!あともう数秒遅れてたら研究員を代わりにモルモット役にしているところだった。
で、依頼の生きた人間で毒物や薬物に強いモルモットはダレ??」
「なによこのちっちゃい子供は・・・・
お嬢ちゃんそんな所で研究員ごっこは駄目よ??こんなところで遊んでると将来あのおっかないキルりんみたいになっちゃうわよ??」
メルトは主任にボソボソっと告げると、主任は大きな声で笑いだし・・・メルトににんまりと笑顔を浮かべながら自分がここの最高責任者の主任であり名をメディエルと名乗りを上げた。
「え、マジでこの子が主任で・・・・依頼主のメディエルなの!?
想像よりも小さくて驚いちゃったわ・・・・でもどうしてそんなに体が小さいワケ??」
「よくぞ聞いてくれたバカな魔導士!!
私の作った新薬のチジームVXは飲めば体が小さくなるという新薬で身長の高い者の悩みを解消する薬品だったのだけれど・・・・モルモット役がいないから自分で飲んでみたの。
すると見事に成功したの・・・だけど問題が発生したのよね。
時間が経っても戻らないし小さい体のままは不自由でね。
さっきみたいに私を子ども扱いしたりする愚か者が出てくる始末で・・・・
だから今回の依頼は逆の作用を起こさせるために作り上げたサンプルを使って欲しいと言う事なのよ。」
「つまりこの・・・ハルトを毒でジワジワとなぶったり殺すのではなく。
自分の作り上げた新薬・・・チジームVXの逆であるノビールとでも言うべき薬品を試したいと??
だが・・・この状態のハルトが薬を投与すれば体は巨人のようになったりしないか?」
「それもそうですね・・・・元々ハルトの体は通常サイズなのねですから・・・・ノビールαを飲めば必然的に大きくなりすぎますね。」
と、バカ扱いされたメルトであったが体の小さくなったメディエルの言葉だからとスルーしつつどうするのかとメディエルに視線をやるとメディエルは注射器を取り出してハルトの足にブスリとさし、薬品を注入すると・・・・・
「痛ッ!?ぐあぁ!?なんだコレ!?目が回る・・・・・・」
「な~に心配はいらんよ・・・少しチジームVXを投与しただけだから。
次に目を覚ますとハルト君だっけ??モルモットハルトの体は可愛らしいボクの姿になっているだろうから楽しみにしているといい。」
メディエルの言葉がだんだんと遠くに聞こえて行くと・・・・ハルトはついに意識が遠のき目の前が真っ暗となっていた――――――――
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