261日目 足枷のエルフ、エイン
エルフはちらちらとハルトを警戒しながらこれまで人に危害を加えていたことを語り、それらの行為には意味があったと必死に伝えると。
メルトたちはそれらの情報を元にエルフが嘘を言っているのか本当のことを言っているのか協議し始めたのだが――――――――
「オイちょっと待て、エルフの善悪とかロープを解くとか結論を出す前に俺の妙な濡れ衣を取っ払えよ!!!
見ろよエルフの目・・・・俺が性的犯罪者のような目で体を守ろうとしてんじゃねぇか!!
どうすんだよ・・・・このまま俺があのエルフによって魔物たちの間で変な意味で有名になっちまうだろ・・・・」
「それはそれでいいんじゃない??
有名になりたかったんでしょ??だったらまずは魔界からよね??
でもってお次は人間界をハルトの異名で・・・・あいたッ!?
もう・・・冗談が通じないんだから。」
「ですがハルトの変態的な目つきだけでエルフが全てを語ってくれましたが。
魔王はこの内容をどう思いますか??
私は自分がこの状況でも隙あらば逃げるか消えるなりするのですが・・・・」
「だが、エルフがそうしないところから見るにさっき言っていたことは本当だッたのだろう。」
と、魔王たちが語るのも・・・エルフの足には大きな足かせが付いており。
自分が売られる直前で姿を消して逃げて来たらしく、行く当てがないままこの森で密かに村人から食料や生活用品を奪って生活していたという内容で。
ハルトの目つきによって怯えていたのは売買された時に感じた視線による恐怖から来ているのでは?という魔王の推理が正しそうでハルトは変な目をせずにエルフにこれからどうするのかと問うと・・・・
「えっと・・・私を殺さないの??
それとも売買した人に引き渡して私を本来の役目に戻すの??」
「いや、俺たちは教会からの依頼で森の見えない異常事態を調べて解決することがメインで合ってそう言う内容は聞かされていないからさ。
エルフ・・・えぇっと・・・名前はあるよな?」
ハルトはエルフに恐怖を与えないようにできるだけにっこりと笑顔のまま話しかけると。
エルフは警戒を少しは解いてくれたのか、自分の名前を語ってくれた。
「私の名前はエイン・・・人間さんの名前は??」
「エインか・・・良い名前だな。
俺はハルト・・・で、こっちのイカれた魔術師はメルト。
こっちのサキュバスは魔王でそこら辺にいる石ころみたいに小さいヤツがキルりんだ。」
「おい、自分だけ良い様に自己紹介しておいて私たちはゴミ扱いですか??
いい度胸ですね~~~これは久々にナイフいっときますか??」
「いや、ナイフでは足りないだろう・・・・ここはこの大剣で一思いにぶっ刺してやらんと私の気が収まらない!!!」
「いいえ、ここは丸焦げよ!!私の炎で焼き尽くしてあげるわ!!!
―――――――――ハルトよ滅却するがいいわ!!!」
次の瞬間にはキルりんや魔王たちからの攻撃を浴びて軽くモザイク状態になっており。
エルフは急に仲間をヤッてしまったメルトたちに対して警戒し始めると魔王たちは真顔でハルトの特性について説明し――――――――
「え・・・ハルトは不死身なの??
冗談でしょ??永遠の命はエルフの長老も言っていたけど誰も手に入れられないって言ってたのよ??」
「だが・・・そのまさかだ。
永遠の命とかそんなシャレたモノかわからないが俺は不死の体を持ってんだ。
イテテテ・・・お前らマジで本気でやる事ないだろ。
こんだけやられても痛みだけで回復する体はどう考えても不死の体だと思わないか??」
「チッ・・・やはりハルトはゴキブリ並みに生存しますか・・・・
今度はもう少し致命傷になるようにアレを切り落として・・・・」
「そこの自称暗殺者はなに物騒なことを言ってるのかしら??
で、魔王も気が済んだのなら続きを話しましょうよ。」
「おっとそうだったな・・・ついついハルトの悪ふざけに乗っかってしまった。」
ごちゃごちゃと語りながら時間が経ち・・・ハルトの体が完全に元に戻ると。
それを見たエインはハルトの体に付けられたはずのキズを服をめくりあげて確認しはじめ。
エインは傷がないことを確認すると目をキラキラと輝かせながらハルトの手を掴んでぶんぶんと振り回して喜んでいた。
「わ~すごい!!!本当に不死の力を持つ人がいるなんて長老も目を点にして喜びます!!
はッ・・・失礼しました・・・本当にハルトさんは不死なのですね。
体中は魔法で焼かれナイフと剣で貫かれたはずでしたのに・・・・
こうも見事に回復されているとは・・・・この世界の神秘を見たような気がします。」
「神秘って・・・こんな回復するだけの力を神秘とか言わないだろ??」
「そうよねぇ~こんな実験モルモットの代用品みたいな能力が神秘とか魔法で辺り一面を火の海にする方が幾分か神秘だと思うのだけれどね。」
「いやいや、私の暗黒魔法と剣技がやはり世界の神秘だろう。」
「はぁ??魔王はただのサキュバスでありおっぱいで男を魅了することしかできない淫乱ビッチでしょうが!!!
何が剣の扱いが上手ですか・・・・男のとある聖剣しかうまく扱えないの間違いではないですかね??
それにメルトも火の海に帰るくらいアサシンの技量があればお茶の子さいさいですよ??
本当に2人は全くアサシンの神秘性を1つも理解していない・・・・・」
キルりんの散々な暴言に基本的には穏やかな魔王も我慢の限界といった様子でキルりんの頬をぐい~っとつねって引き延ばし始め。
メルトたちを放置してハルトはエインにこれからどうするのか尋ねると・・・・
「これからですか??私・・・逃げている最中なのでやっぱりここで細々と村人から食べ物を分けてもらって生活するしか・・・・」
「だからその方法に目を付けられたんだろ・・・・
あぁ~~仕方ない・・・厄介な相手なら討伐する予定だったが話の分かる相手だとわかったら教会に駆け込むのが一番だな。
と、言うわけでバカ力の魔王はエインの足枷を取ってやってくれないか??」
「だ、誰が馬鹿力だ!!!私は少し他よりも力が強いだけだぞ!!!
全く・・・キルりんもキルりんだがハルトもハルトだ・・・ぷんぷん。」
魔王は頬を膨らませて怒りながらもエインの足枷を力任せに引き千切って外すと。
これからの事を決めるためにエインを連れて教会へと向かうのであった。
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