253日目 秋の味覚と害獣


 せっちゃんは酔わないようにシュゴビーではなく木の実のジュースを飲んでおり・・・・この調子だと酔った勢いで変な事にはならないだろうとハルトはせっちゃんにまずは今後のお昼の差し入れはにしていいと語ると。

せっちゃんはさらにズンと深く落ち込みだし・・・・言葉を発したハルトをメルトたちが睨みつけせっちゃんを慰めるかのように頭を撫でていた。



「ったく・・・ハルトは全くせっちゃんの気持ちがわかってないわねぇ。

これだからクソハルトは駄目なのよ。

いい??タダより高い物はないって言うの知ってるかしら??

まずせっちゃんはおにぎりを無料で食べて欲しいとは一言も言っていないの!!

だからせっちゃんは食べた分の報酬が欲しいのよ!!!ね、そうでしょ!?」

「そ、そんな事思ってない・・・けど・・・・うん。

ただ・・・自信作を作って美味しくないって言われたのがショックなのと。

ハルトたちから直接味の評価をされてないからモヤモヤしてるの。」

「そう言えば言ってませんでしたね。

魔王の食べた謎にぎり以外は全て当たりでとても美味でしたよ。

メルトや魔王の作るゲテモノ料理と比べるとかなりの差がありました!」

キルりんの例えに納得できなかった魔王とメルトは自分たちの料理は程よく美味しいと語ると、魔王は魔王で自分の作った料理は時間と手間がかかっているというと。

魔王は何かに気付いたのか今日のチョコ握りの件について謝罪をし始めた。



「せっちゃん・・・その・・・わざわざ作ってもらったのに美味しくないと言って悪かった。

そうだった・・・料理というのは味以外にも大切なモノがあったんだ。

だからせっちゃん・・・私たちのために作ってくれてありがとう。

だが・・・次に作る時はシンプルな味付けが私は好ましい。」

「それって遠回しに凝ったものは駄目って事でしょ??

なんか料理と矛盾してない??それでいいのせっちゃん??」

「え、あ・・・うん・・・そうだね。

こうやって感謝されるのって初めてだからなんか嬉しくて・・・

だけど今回の原因は私にあるみたいだから美味しくない人がいたらハッキリ言っていいから・・・・うん。

で、ハルトたちはどうだった??」

「俺のおにぎりはそうだな・・・うまかった・・・・あぁもう!!お前らそんなジロジロ見んじゃねぇ!!!

美味かったよ・・・ほら、コレでいいだろ??次はメルトだろ??」

ハルトは全員に見られながらに評価が恥ずかしかったのかすぐにメルトに話を変えると。

メルトは味付けは自分の物よりかは劣るが美味しかったと語り、次に作る時は酒に合うおつまみを横に添えるようにと付け加えると。

せっちゃんは悩ましげな顔をして深く考えだし。

次の機会にでもやってみると言うと、ハルトは今回の一件で壊れてしまった事を説明し・・・ハルトはせっちゃんにタッパを差し出した。

するとせっちゃんは笑顔で受け取りまた今度コレに料理を詰めて持ってくると笑顔で答え今回の話し合いは無事に終了しハルトたちは夕食を食べ始めた。



「よし・・・今日はこのくらいにして家で休むとするか。

せっちゃんもゆっくり休めよ~」

「ありがとう・・・それじゃ私もコレであがるとするか。

それじゃ・・・メルトたちもお休み。」

「んへへぇ~~お休みィ~~ヒック・・・」

「全く毎回毎回飲み過ぎだと言う事をいつ理解するのですか??

本当に連れて帰るのが面倒です・・・・」

「だがここに置いておくと私たちが出禁を喰らってしまうから捨てては置けないしな。

私も片方を持つからハルトも手伝ってくれないか??」

ハルトはササっと店を出て行くせっちゃんの笑顔を見送ると。

面倒な表情をしつつ魔王たちと協力してメルトを引きずって家に運び入れ・・・いつものようにメルトを廊下に置いてハルトたちは自分の部屋に消えていった。



それからまた、月日が少し流れ・・・冬が近づいてきているのか秋よりも少し肌寒い季節になり。

ハルトたちは肌寒さを感じながらいつもの依頼をこなしていた。



「おい、そっちに言ったぞ!!!芋ドロボーだ!!!

クソッ・・・コイツ、マジで手癖の悪さと逃げ足の速さが尋常じゃねぇ!!」

「任せてください!!!さぁアサシン流のやり方で芋ドロボーを確保して見せましょう!!!

さぁ・・・このお芋ルアーに引っかかるのです!!!!」

「さすがにそれでは無理ではないか??

幾ら好物の芋だったとしても・・・・それはさすがに・・・・」

「ちょっと待って!そうでもないらしいわよ!!!

ほら・・・あの芋ドロボー・・・何かを探し始めてキルりんの方向に向かったわよ!!いける!!キルりんやっちゃって!!!もう泥んこ塗れは御免よ!!」

メルトは顔についた泥を吹き飛ばしながらキルりんに叫ぶと。

キルりんは格好をつけてグーサインで答えるが、芋ドロボーがルアーに食いつくとどどう字にそのグーサインは一瞬にして消え去り。

キルりんは土の中に引きずり込まれていた。



「ちょッ!?アイツが釣られてんじゃねぇか!!!!!

おい魔王!!手を貸せ!!!このままじゃキルりんが畑の肥料にになっちまう!!

そんなことになったらが悪くなっちまうからな!!」

「それは一大事だ!!早くキルりんを助けてやりたいが・・・・どうすればいい!?

キルりんとモグラは土の中だぞ??」

「そう言う事なら私に任せておいて!!!

モグラは地震に対して敏感って聞くから私の魔法でこの畑に振動を加えるから。

出て来たところを2人がキルりんとモグラ両方いっぺんに確保よ!!!

それじゃやるわよぉ!!!アーーースクエイクッ!!!!」

メルトの魔法が地面に放たれると、ハルトたちも立っていられないくらいに地面が揺れ。

その衝撃は地中にも伝わっていたのかモグラが勢いよく飛び出し・・・・そのルアーのついた紐の先には

は泥まみれとなったキルりんがぶら下がっていた。



「大人しくしろ!!!ハァッ!!!」

「よし・・・魔王がモグラを大人しくさせて確保したのはいいが・・・・

キルりん??もしも~し・・・・生きて・・・ッおわ!?」

「誰ですか!?私を肥料にすると野菜が不出来になるとか言った愚か者は!!

言ったやつを探し出して八つ裂きにしなければ!!!

メルト!!!誰が言ったのか知りませんか!?」

「そりゃ・・・・ハルトよ?あったりまえじゃない。」

メルトの口を塞ぐのが間に合わず、ハルトは今日もキルりんのナイフの餌食にななるのであった――――――――――

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