234日目 モルガーンの手料理
ハルトたちは遠くに消えて行ってモルガーンらしき人物が本人なのか魔王に尋ねると。
魔王はにんまりと笑顔になってハルトの頬をふきふきとしながら「そうだ」と語り。
言葉の最後にアナタとムズムズするような言葉が混ぜ込まれていた。
「なんだ・・・もう演技スタートかよ・・・モルガーンが出て来てからじゃないのか・・・・ったく・・・マジで大丈夫なんだろうな??
ってか俺は魔王って呼べばいいんだろ?」
「そ、そうだ・・・・私はハルトの事をアナタと呼ぶ。
その方が自然でいいからな。
で、メルトは長女役でキルりんが次女役だ。
2人ともしっかりと頼むぞ?」
「任せなさいよママぁ~~少しワガママさせてもらうけど、親のすねかじりは子供の特権よね!!!
だったら朝からシュゴビーを注文しても・・・・」
「ダメですよ・・・そんなことをすれば完全に出来上がってバレてしまいます。
で、私も魔王と1日だけ付き合う約束をしましたので今日は魔王の事を言われた通りママと呼びましょう。
少しムズかゆいですが仕方のない事です・・・・それからハルトの事はダメオヤジと呼びますね。」
キルりんの付けた名にメルトもゲラゲラと笑いながら納得して連呼し始め。
ついにイライラを超えたハルトは2人にグリグリを繰り出して鎮圧すると。
食事も終えた所で家に戻ると・・・・・
「あ、モルガーン・・・久しいな。
――――――――――元気にしていたか??」
「私は・・・そこそこに元気よ。
その隣にいるのが・・・・手紙に書いてあった娘さんと旦那さん??
初めまして、私はモルガーン。」
「はじめましてね!!私は長女のメルトよ!!」
「私は次女のキルりんです・・・・よろしくお願いしますモルガーン。」
「そ、それじゃ・・・・家の中に入って話でもどうだ?
なぁ・・・魔王・・・ん?魔王??」
魔王は演技とはいえ自分の夫がハルトと言う事に意識しすぎて顔を真っ赤にしており。
ハルトからモルガーンの声によってやっと意識を取り戻すと家の中に入りリビングで最近の出来事や思い出話が始まった。
「へぇ・・・この街って面白そうな町だと思っていたけど本当に面白い街ね。
で、旦那さん・・・えぇっと・・・ハルトさんでしたっけ?
ハルトさんは・・・その・・・異国の方だと聞いておりましたが・・・どんな国から来られたのですか?
私、本やそう言ったモノに目がなくて・・・・良ければお話ししてもらえると嬉しい・・・です。」
「なんだろ・・・魔王と違ってお淑やかと言うか女性らしさがあるんだが・・・・ゴクリ・・・・
別に構わない・・・どうせ俺の住んでいた世界は消滅しちまったかこの星だからな。」
そう言ってハルトは自分の住んでいた星の特徴や発展した文明について語るが。
やはりこの世界よりも進んでいることを話しているせいか全部が全部信じてもらえるとは思っていなかったが。
モルガーンはハルトの手をギュッと握りしめて「信じる」と目を見て語っていた。
「コッホン!!!んんん~~あぁぁ~~その・・・アナタ!?いつまでモルガーンに手を握られている気なんだ!?
モルガーンもモルガーンだ・・・・うちの旦那を魅了しないでくれないか?」
「ご、ごめんなさい・・・そんなつもりはなかったの。
その・・・話はどれも面白くていい故郷だったのに亡くなった悲しみを少しでも和らげれたらなって思って・・・・本当にごめんなさい。」
「や、優しい・・・・この暴力の化身である魔王よりも人よりの心をもっていて手もスベスベじゃねぇか・・・・」
「な~に、ニヤニヤしちゃってんの!
緩んだ顔を元に戻さないとママにボッコボコのぎったぎたにされちゃうわよ??」
「そうですよ・・・ママは浮気は絶対に許さないマンですからね。
現行犯だと間違いなく火あぶりに拷問のセットつきですよ?」
ハルトは2人の言葉から顔の緩み具合を直して魔王に謝るが。
魔王は何やらムッとしており・・・それを見たモルガーンはお土産を持って来たと言ってどこからともなく箱を取り出していた。
「その箱は一体どこから出したのよ・・・魔王とか魔人って言うのはみんな手品でも使えるのかしら??」
「それにこの匂い・・・・もしかしてケーキですか??」
「ふふ、私・・・こう見えて手料理が得意で・・・・その、口に合うかわからないけど食べてくれる??」
「魔王のツレの手料理・・・・コレは間違いなく危ないトラップゥの可能性が・・・・だが、何だ?どうして魔王はこんなに膨れてんだ?」
「・・・・・・・・・・フンッ!!!」
魔王はハルトと目を合わせようとせずにそっぽを向くと、箱の中がケーキと知ったメルトとキルりんは勢いよく箱をガバっと開けると・・・・・
「えぇ!?コレ・・・買って来たとかじゃないの??
本当に・・・モルガーンの手作りケーキ??」
「いやいや・・・ママの手料理があれだから中身はきっとすごい味なのかもしれませ・・・・・ペロッ・・・・!?
な、こ・・・・こここ・・・・これはメチャクチャウマイですよッ!!!」
「おい2人とも!!!私の手料理の味付けにまだケチをつけると言うのか!?
本当に・・・モルガーンは昔から手料理だとか家庭的な家事全般が特異なヤツでな。
こうして時々自分で焼いたケーキやらお菓子をもってよく2人で魔界の森へピクニックに行ったものだな。」
「魔界の森とか感じ的に全然穏やかじゃねぇが・・・そんな事よりもコレって本当にモルガーンの手作りなのか??
俺もこの作りを見るに店で買って来たようにしか見えないんだが・・・・・」
「フフ、ハルトさんってお口がお上手・・・ですね・・・・このケーキは私が焼いたもので・・・よかったら皆さんで食べてみて。」
モルガーンの言葉からハルトたちはケーキをキルりんに切り分けてもらい。
紅茶と一緒に食べ始めたのだが――――――――
「コレは本当にウマイな。
これが買って来たものじゃないって言うのが驚きだ。
2人もモルガーンを見習ってウマイ料理を作ってくれよ??」
「私だって本気になればコレくらい・・・・モグモグ・・・・」
「いつかアッと驚くようなものを作って見返してやりますから覚えていてくださいよ・・・・・」
「ぐッ・・・・いつ食べてもモルガーンのモノはウマイ・・・・
本当にこれが同じ魔界に住む者の味付けか??
で、モルガーンはいつ帰るんだ??魔界には早く帰りたいんじゃないのか?」
「その、帰りたいのは山々なのだけれど・・・・良かったら今日一日厄介になってもいいかな?
この街の料理の味や人とのふれあいと言うのを感じたくて・・・・ダメかしら?」
モルガーンの言葉にハルトはすすぐにOKと返事を返したが。
魔王たちはこれ以上一緒にいるとボロが出そうで演技できるかわからないと考え。
あの手この手と色々な根も葉もないことを言ってモルガーンを返そうとしたが。
その内容に俄然興味が湧いたのか・・・ますます帰りたくないと言い出し。
しまいには夕食も自分が振舞うと言うとさすがのメルトとキルりんもケーキの味からモルガーンに振舞ってもらう夕食の味を想像しただけでよだれが滴り出しており。
ハルトに次いで二人もOKを出してしまい、多数決の結果1日だけモルガーンのお泊りが決定すると。
モルガーンは夕食の買い出しをしてくると言って街へ出かけていくと・・・・・
「おい、ははナシが違うじゃないか!!!
今日一日でモルガーンを返して演技を終わらせる予定だったろ!!!」
「いや、最初はあんなにテンションが低かったモルガーンが頑張ってんだぞ?
1日くらいここに置いてやってもいいんじゃないか?」
「そうよ!!それにモルガーンの夕食もすっごく気になっちゃうじゃないの!!
あぁ~早く料理ご馳走してくれないかしらね~」
「そうですねぇ~あれだけ人がいいのにどうして誰もモルガーンに寄りつこうとしないのでしょうか??」
キルりんは何かマズイ事を言ったのか、キルりんの言葉を聞いた魔王は暗い顔をして自分の部屋に消えて行き。
その魔王を放っておけなかったハルトは魔王を追って部屋に入った―――――――
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