232日目 魔王の勝手な作り話・・・
・・・・・・そして、次の日
ハルトたちは回復したメルトを連れて害獣討伐に出かけており。
今回の依頼はテディーベアというクマの害獣を追い払う依頼なのだが・・・・
受けた当初は簡単だろうと踏んでいたのだが、いざ向かって出会うとそれはテディーベアという名からかけ離れた凶悪な体と肉付きをしており。
ハルトはそのテディーベアにぎゅっと凶悪的なハグをされていた。
「ぐばはぁッ!?ぎ・・・・ギブッ!!!ギブギブギブギブッ!!!出ちまう!!!何か出ちゃいけないヤツが出ちまうから早く何とかしてくれ!!!」
「あと少しだけ準備をさせてください!!!
コレが終わればこのクマ多い払う匂いが出せるので!!!
どうしてこういう時に火がつかないのですか!?
もうこうなれば・・・・メルト!!!これに火をつけてください!!
でないとハルトだったものが本当に大変なものになっちゃいます!!!」
「あぁぁ~~ハルトの体から聞いたことのない音が聞こえ始めたぞ!!!
ぐあぁ・・・このクマ・・・何て言う怪力だ!!!これ以上力を入れれば無傷で退却させないといけないこのクマに傷を付けてしまうし・・・早くしてくれ!!」
「しょうがないわね!!!本当に私がいないとなんにもできないダメダメポンコツPTなんだから!!!さぁ~燃え尽きちゃいなさい!!!
――――――――ファイヤー!!!」
メルトの放った魔法で対象物に着火させることに成功すると。
それから煙と共に匂いが辺りに広がり、その匂いを嗅いだテディーベアは涙目になってハルトを捨てて森の奥へと消えて行った・・・・
「ヨッシャーーーこれで依頼完了よね!!!
私の魔法は小さなことから大きなことまでこなせる万能なのよ!!!
さぁ私の弟子か配下になりたいものはいないかしら!!!」
「いる訳ねぇだろバカメルト!!!危うく俺はひらきにされてせんべいになるとこだったんだぞ!?
なんだよ・・・この世界のテディーベア―は・・・女の子がぎゅっとハグしたくなるような可愛いフォルムじゃねぇのかよ・・・・」
「可愛いワケないじゃないですか・・・どこの世界にクマをハグしたいと言う子供がいるのですか??クマとは力の象徴であり危険な生物の一種ですよ?
あのテディーベア―はたまたま数の少ない特別保護対象ですが基本的にクマは危険なのでそう言った甘い考えは命とりですよ?
まぁハルトは死なないので痛みだけですからいいんじゃないですか?滅多にいませんよ?あんな巨大なクマのハグを受けて無事に立てるなんて。」
「そうだな、クマに襲われた場合は手足か命が無くなると言われてるくらいだからな。
それこそハグをされたと言うのなら・・・全身の骨は粉々で臓器は破裂・・・脳にも致命的なダメージを受けて即死は必須。
それをハルトは無事に耐えたと言う事はすごい事だ。
まぁ・・・痛みに叫んでいたところから察するに全身の骨がやられているのは間違いなさそうだな。」
3人の見ている先にはハルトが転がっており・・・体中の骨がボロボロになっているからなのか立ち上がることができずに倒れたまま話しており。
ハルトが回復するまで魔王たちはその場で回復を待つこと数十分後・・・・
「あぁ・・・・やっと立てるくらいに回復したが・・・・急に抱き着くわ噛むわ舐めまわすわ・・・マジで今回の件でクマが嫌いになっちまった。
折角のテディーベアーがこんな風だとか異世界って言うのはマジで怖いな・・・・」
「ハルトが立っているって言う事はもう大丈夫、平気って言う事よね?
だったらすぐに街に戻って報酬をもらいましょ!!
今日は久々にシュゴビーを飲みたいわ!!!」
「先日まで二日酔いでダウンしてたのに懲りませんねぇ・・・
ですが帰っていると時間もいい感じになると思いますので夕食には丁度いいかもしれませんが・・・・魔王?どうかしました??」
「いや、何でもない。
私もお腹が空いてぼーっとしていただけだ。
――――――――――――――さぁ街へ戻ろうか。」
逃げて行ったクマが戻ってこないか心配した魔王であったがクマはハルトたちが戻る際にも襲って来ることはなく。
来た道を辿って街に戻り、いつもの流れでギルドで報酬を受け取って酒場で夕食をし始めた。
「すんませぇ~~~んシュゴビーのおわかりちょうら~い。」
「なんだかんだ言ってメルトはシュゴビーを飲むとすぐに酔っていますが・・・
また二日酔いにならないか心配なのですが・・・・」
「大丈夫だ、次に飲み過ぎたらここに置いて行くって言ったら変な汗をかいて注意するとか言ってたからな。
で、魔王はさっきから静かだが・・・・どうしたんだ?
いつもならもっと今日の出来事だとか明日はどうするとかサキュバスじゃないだとか叫ぶのにマジで静かで魔王の方が気になるんだが・・・・」
「なッ!?私がいつもサキュバスではないと言い返すのはハルトたちが私の事をサキュバスだと語るからだろ!!!
いや、コホン・・・今回の私はシリアスな魔王の私なんだ・・・こういう時はどうしたんだ魔王?悩みがあれば聞くぞ?くらい言えないのか?」
魔王は意外と悩みがあるような無いような言い方で、ハルトたちに聞いて欲しそうに語ると。
ハルトは魔王が言った通りにどうしたのかと問うと・・・・・
「いや、ハルトたちに聞いてもらうような大きな話じゃないのだが・・・・」
「そうか、ならいいな!!あのぉ~すんませぇ~~ん俺にもシュゴビーのおかわりを一杯・・・・うぉぉぉ!?うぉぉぉ!?揺するんじゃねぇ!?わかった!!わかったから落ち着け!!!」
「わかりやすい魔王ですねぇ・・・聞いて欲しいのなら勿体ぶらずに語ればいいんですよ。
って、メルトは完全に出来上がっちゃってますので連れて帰りますね・・・・
代金は・・・任せました!!さらばッ!!」
そう言ってキルりんは代金をハルトたちに任せてメルトを引きずって酒場を出て行き。
2人っきりになった空間に聞こえた会話はウェイトレスのシュゴビーを届けた会話だけで・・・魔王はもじもじとして一向に話を切り出さず。
面倒だと思いつつハルトは今日のテディーベアーの件について語り出した。
「今日の依頼のテディーベアーはマジできつかったよなぁ・・・って、俺だけか。
俺のいた地域じゃテディーベアーはぬいぐるみにされて可愛がられるマスコット的位置なんだが・・・・本当に異世界って言うのは変わってんな。」
「そ、そうか・・・・ハルトのいた世界はクマでさえも手名付ける優秀なモンスターテイマーなのか?それとも密猟で生活をしていたのか?」
魔王は不思議そうに問うが、どれも的外れすぎてどう答えればいいのかと・・・ハルトは適当に元々先祖は狩りをして生活をしていたからその名残だと言って納得させ。
本題の魔王の悩みを直接聞いてみることにした。
「で、魔王は何に悩んでんだ?
その・・・俺でよかったら・・・・えぇっと・・・話を聞くが・・・うわッ!?」
「そうか!!そう言ってくれると思って待っていた!!!
本当にハルトは頼りになる!!!実はな?
最近・・・私宛にハガキが来てだな・・・・これなのだが。」
そのハガキの内容を読むと、魔王の知り合いからのモノで。
内容は近々魔王の元へ遊びに行くからという内容であり・・・・ハルトは何か嫌な予感がした。
「で、だな・・・・この友人である魔人のモルガーンなのだが。
私の城が吹き飛んだことを伝えてはいるのだが・・・ハルトたちと共有している家を自分の物と言ってしまってだな・・・さらにに言うとハルトが旦那でキルりんとメルトを娘と語ったのはいいが本気にしてしまってな。
頼む!!!少しだけでいいから私の話に合わせてくれないか??」
「・・・・・・・・ハァアァァァアァァァ!?!?!?!?」
ハルトの叫びは酒場を超えて街中に聞こえる程に大きく響き。
魔王が言い出せなかったことを激しく理解したが、ハルトは面倒だと言って酒場を出ようとすると魔王はハルトの足を掴んで引き留めていた――――――――――
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