190日目 一目散に逃げるが勝ち!!


 翌日、ギルドでせっちゃんと合流したハルトたちはグランドシャークの依頼を手に取って最後の確認をすると。

その書かれていた難易度の高さにキルりんは大丈夫なのかと再度確認を取るが。

魔王とせっちゃんが自分たちがいるから大丈夫と言っていたが。

その言葉にハルトとキルりんは顔を見合わせて若干不安な気持ちになりながらも魔王とせっちゃんが無理矢理依頼を受け。

2人の手を引っ張って移動を開始した―――――――――


「で、何で水着になってるんだ?

俺たちの目的は害獣の討伐か捕獲だろ?

それにこんな薄着になったらマジで死ぬぞ?」

「私も同感です・・・もう二度と水着は着ないつもりでしたのにどうして魔王は私の水着まで丁寧に持ってきているのですか?

本当は魔王たち・・・水着で遊びたかっただけじゃないんですか?」

「なッ!?そ・・・そんなことはないぞ!!!

我々はそんな軽い気持ちでこの超危険な依頼を受ける訳がないじゃないか!

なぁ?せっちゃん!!」

「あ・・・えっと・・・うん・・・私も魔王と同じ意見だ。

ハルトが褒めてくれたからと言って水着を見せたかったわけじゃないんだからね!

――――――――――(魔王・・・これでいいの?)」

せっちゃんは習った通りに魔王へアイコンタクト送ると。

魔王もそれを聞いてグーサインで返し。

ハルトはそう言う事ならとすみやかに戦闘服に着替えるように語ると・・・・


「い、いや・・・その・・・あれ?魔王?話と全然違うんだけど・・・・本当にこの言葉で大丈夫?」

「ん~どうやらハルトには魔法の言葉が通用しないらしい。

さすがは不死者のハルト・・・こういう言葉では動じないか・・・・」

「いや、不死者とか関係なくツンデレは俺のストライクゾーンじゃねぇし。

せっちゃんに変な知識を植え付けるのは止めて・・・あのキルりんをどうにかしないか?」

「アハハ~~私の未来はこうボインボインになって・・・・くびれもこれくらいあって・・・・アハハ・・・・本当に早くみんながサメに襲われないですかね。

ハルトはついでにと考えて・・・魔王とせっちゃんは確実に消してくれませんかねぇ・・・・海に神がいるのなら少しくらい頼みを効いてみやがれ!!!

なんで毎回あの2人のボインを眺めて自分だけがどんよりしないといけないんですか!!!ドチクショーめが!!!」

キルりんは心の底から病んでおり・・・胸の豊かな魔王とせっちゃんがサメに食われろと呪いのように唱え始めており。

それを見たことによって2人もキルりんのの事について考え・・・

自分たちの胸を隠せばまだ大丈夫なのではと上着を着てキルりんの所に向かった。


「や、やぁ・・・キルりん・・・砂で何を作っているのだ?」

「ん?あぁ・・・未来の私ですよ。

未来の私はコレくらいナイスバディになって・・・ぐぅぅ・・・もう・・・土に還りたい。」

「ちょッ!?キルりんがついに限界を超えて泣き出したぞ!!

ここは魔王じゃだめだ・・・せっちゃん・・・キルりんを頼めないか?」

「えぇ!?私が!?ん~どうなるかわからないけど・・・試してみる。

その・・・キルりん・・・この前買ってくれた角の効果は出たのかな?」

魔王を引っ込めたハルトはダメもとでせっちゃんを向かわせるが・・・その口から出た言葉はキルりんに更なる追い打ちとなっており。

キルりんはサッと立ち上がって海の中に飛び込んで行ってしまった。


「ま、マズいぞ!!!行き場を亡くしたキルりんが暴走している!!!

早くなんとかしないとサメに襲われてしまうぞ!!」

「あれ?何気ない会話から話を弾ませるつもりだったんだけど・・・・」

「いやいや、あれは話が弾むどころかめり込んでるわ!!!

そんな事よりも俺たちもキルりんを追いたいと言いたいが・・・・

2人は体が頑丈そうだからいいが・・・俺はどうやって行こうか・・・

ん?アレは・・・ボートか?しめた!!!俺はアレに乗って行くから2キルりんを探しに向かってくれ!!」

ハルトは自分だけボートに乗ってキルりんを探しに行こうとすると・・・2人はハルトを止めて自分たちもどちらかと言うとボートがいいと言い出して乗り込もうとしてきた。


「いや、待て待て待て待て!!!お前らこのボートの大きさとお前らの体系を考えたか!?

俺は小柄だが・・・お前ら割と筋肉との塊だろ?

だからこの船が耐えられるわけが・・・イデデデデデ!!!!」

「誰が脂肪と筋肉だるまだ!!!私だって乙女なのだぞ!!

もういい!!せっちゃん!!私たちはボートに乗らずに泳いでキルりんを探しに行こう!」

「え、でも・・・泳いでキルりんを探しにいくのはいいけどサメと出くわさないかな?それにキルりんが全然出てこないのを考えると・・・もう襲われてたりするんじゃ・・・・」

せっちゃんの言葉を聞いた2人は再度海に目をやると・・・息継ぎにキルりんが出てくる気配もなく。

本当に事案が発生したと感じ変な汗が噴き出した2人は・・・・


「うぉぉぉぉお!!!!待っていろよキルりん!!!!俺たちが助けてやるからなぁぁぁ!!!!」

「せっちゃん!!!サメは出会った時にでも考えよう!!!

だからまずは行動だ!!!」

「わかった・・・2人が覚悟の上だと言うのなら私も全力でキルりんを探そう。」

そう言って魔王とせっちゃんは海に飛び込みハルトがボートで海を移動していると。

近くからボコボコと息の上がる泡が見え・・・そこに全力でキルりんと叫ぶと・・・・


「ッ!!!!わ、私のせいじゃありませんからね!!!それでは!!!」

「って!?おい!!!どこに行くんだよ!!!

全然平気じゃねぇか・・・・心配して損した・・・・ん?魔王とせっちゃん?

どうしてあんなに急いで・・・・・」

「ハルト!!!逃げろ!!!やられるぞ!!!」

「このボートじゃ浜まで到底間に合わないな・・・仕方ない・・・今回は私たちだけで浜まで逃げよう!!!

ハルトがきっとになってくれると思うから!!!」

その言葉を吐き捨てた魔王たちは海の上を走ると言う技を見せ。

ハルトは3人でやって来た海の方を見ると、聞いたことのある音楽と共に巨大なヒレが見えていた。


「おい、マジか!?嘘だろ!!!お前ら今度は俺を見せてるつもりか!!!

いいぜ上等だ!!!ボートで浜まで逃げてやらぁ!!!

―――――――――うおぉぉぉぉぉお!!!!」

「ぜぇぜぇぜぇぜぇ・・・・は、ハルトがボートに乗っているように見えましたが・・・私の見間違い・・・・

じゃなかった!!!あわわわわ・・・あんな巨大なサメとか聞いてませんよ!!!

それにあのままだとハルトが食べられてしまいますよ!?」

「だが・・・今から助けに向かおうとしても間に合う可能性が・・・・

それにハルトは不死者だ・・・きっとこのくらいの逆境は自分で何とかでき・・・・」

「いや、できていないようだ。

サメに襲われてボートが変な音を立てているな。

それと・・・不死者と言っても体を丸呑みにされたら終わりなんじゃないのかな?」

せっちゃんは冷静に語ると・・・魔王は素に戻り。

急いで大剣を取り出してハルトの方へ全力で飛び出し・・・何とかハルトがサメに襲われる前に救出できたのだが―――――――――


「おい、ハルト!!!しっかりしろ!!!

ダメだ返事がない・・・ただの屍になってしまったか・・・・くぅ・・・もう許さんぞ!!!グランドシャークめ!!!」

「いえ、トップスピードの救出の際にハルトの首が変な方向に曲がっていましたよ?

こう・・・ぐぎぎ!!!って。」

「でも何とかサメからハルトを助けられたけど・・・

あの暴れ狂ったサメをどうやって倒すかだよね。」

目の前の暴れ泳いでいるサメを見ながらキルりんたちはどうやってサメを倒すか考えつつ空中でぶらぶらと揺さぶられているハルトを見ていた。

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