187日目 見せられない限界


 せっちゃんはジャージーの指示でお題箱の中からボールを1つ抜き取ると。

そのボールには55と書かれており。

その数字を見たハイネはゴクリと唾を呑んでいた。


「では55番のお題の準備をお願いしま~す。」

「さぁ~どんなお題が出ようとも私の運動神経でクリアして見せよう・・・・ん?

こ・・・これは・・・フラフープじゃないのか?」

「俺もせっちゃんと同意見だが・・・・あれってただのフラフープだよな?

せっちゃんだけなんかお題が緩くないか?」

「いや、フラフープアレはあの格好だからこそ恥ずかしく・・・集中しずらい競技になるんだよ。

ハルト君もまだまだ分かっていない・・・・水着の格好でフラフープを全力で腰を使って振ればどうなると思う?」

ハイネの言葉にハルトはそっとせっちゃんの体をジロジロとみ始め・・・・

あのせっちゃんの格好でフラフープをすればすべてがぶるんぶるんと弾むのが必須と語ると。

ジャージーはそのフラフープでするべきことの説明をせっちゃんにし始めた。


「はい、それはただのフラフープですが・・・・せっちゃんは運動神経が高いということなので・・・・リザさんアレを頼みます!!」

「うあぁ~あぁ!!」

「うわぁぁ!?何だこれは!?ヌメヌメ??もしかして・・・・さっきキルりんが投げつけていたヌメヌメウナギの粘液!?

こ・・・こんな状態でフラフープなんて全力でやれば間違いなく滑って観客席に突撃してしまうな。

そ、そう言う事か!?程い速度で滑らないように回せということか!!!

くッ・・・・ここはすぐに終わらせて戻ろうと言う私の考えが甘かったと言うわけか。

だが!!!私はどんなキツイ事でも成し遂げて見せる!!!

あの魔王ですらクリアできなかったこの水着コンテストの優勝を目指して!!!」

「言う事だけはせっちゃんが正しいんだけどさ。

少しドジなのと・・・・たまに話の内容を聞き間違えている時があってだな。

暴走するときも魔王と同じくらいあって手が付けられないキャラの1人なんだ。

フラフープは安全なのかどうなのか不安だなぁ・・・」

「あははは!!!ハルト君!!何をそんなに心配しているんだい?

私たちはなんだよ?こういう時は後の事を考えるのではなくて・・・目の前のを楽しむのが先決さ!!!

ほら・・・見たまえあのたわわに実った果実を。

ジャージーには負けるかもしれないが・・・アレはあれで魅力的だと思わないかい?」

ハイネの目には曇りがなく・・・真剣にせっちゃんを評価しており。

その言葉を聞くたびにハルトは心の底では本当にこの司祭に関係する教会連中は大丈夫なのかと目の前のせっちゃんよりも心配をしていたが。

この場はハイネの言葉を信じて付き合うしかないと・・・・ハルトは灰ねと同じようにせっちゃんの全身をジッと見つめていると――――――――


「は、ハルト!!!そんなにジッと私の水着姿を見ないで欲しい。

この姿で出ること自体が恥ずかしいのに・・・ハルトに見られていたらできることもできなくなってしまうじゃない!!」

「へぇ~ハルト君って意外とせっちゃんに好かれてたりするわけ?

い~ない~な~私なんて教会の子たちに触れようものならジャージーの妨害と阻害で全くスキンシップができないって言うのに・・・・

本当にハルト君は羨ましい限りだよ・・・・」

「い、いや!!!そうじゃない!!!俺とせっちゃんはそんな関係じゃねぇよ。

たまたま酒場で一緒になったり・・・たまたま依頼を一緒にやったり。

そう言うのが積み重なって親しくなっただけでそこまでの関係じゃない。

な?せっちゃんもそうだと言ってくれ!!!」

ハルトの大きな声にせっちゃんはコクリと頷き。

そのせっちゃんの反応を見せたハルトはハイネにそう言う事だと語るが。

ハイネは無理やり頷かせるくらいの仲だったのかと深く抉りだしたのだが。

それ以上は埒が明かないと、ジャージーは話を中断させ。

言っていなかったフラフープでの挑戦内容を語り始めた。


「せっちゃんさんにはそのフラフープを使って50回転してもらいます。

ですが・・・この周りとご自身の体は先ほどのリザさんの振り撒いた液体でヌメヌメの状況だから無茶はしないでね。

余りにも無茶をすれば・・・きっとその水着は遠心力でズルっと脱げてしまいますから気をつけて。

それと・・・挑戦回数は1度きりですので慎重に~~

では・・・話はこれで終わりですので後は自己判断で開始してくださいね。」

「内容はどうあれ・・・このフラフープを腰で回して50回回せばいいと言う事か。

つまり・・・早く回せば水着がポロリ。

遅く回せば男達に舐めまわすように見られる・・・・何と言う拷問のような競技なんだ・・・・

こんな水着コンテストで精神を鍛えられるとは思わなかったが・・・・

私は鬼の力を有するせっちゃんだ!!!こんなところで負けてなるモノか!!!

さぁ・・・見せてやろう・・・・鬼の力を!!!」

「うおぉぉ!?せっちゃんの額に角が!!!

マズイ・・・暴れるんじゃ・・・」

「いや、そうでもないみたいだ。

ほら・・・せっちゃんは鬼の力を使いつつも懸命に腰を振ってフラフープを回しているが・・・実に見事な揺れか―――――――――」

「ゴクリ・・・せっちゃんでこの弾みって言う事はジャージーのフラフープは・・・・」

「いいぞ~もっと激しく腰を揺らして乳も揺らせぇ!!!」

「いや、せっちゃんはあれ以上スピードを上げられないぞ!!!

何せ・・・腰と胸の水着を見てみろ!!!」

「な、なんだと!?

あのスピードにも関わらず・・・ずり落ちそうになっているのか!?」

せっちゃんは気にしないようにしていたが・・・次第に移動する水着に男達が反応を見せる度に気が散り。

胸の水着は何とか手で直すことができたのだが・・・腰の水着は動いていることから直すことができず、次第にずれていき。

最後の10回まで来たところでさらに水着がズレ始めていた。


「ぐぅぅぅぅ!?!?こ・・・これ以上は・・・あと少しでも腰を振り回せば男共に見せちゃいけないモノを見せてしまう事に・・・・

だけど魔王たちがクリアしていない状況で1人でも入賞することの方が・・・た・・たたた・・・大切・・・・ぐぅぅう・・・やっぱり私にはできない!!!」

「はぁ!?何で俺の方にフラフープが飛んできて・・・・ぶりふぁッ!?!?」

「チッ・・・自己犠牲で入賞を貪欲に目指すかと思えばあと少しという所でフラフープを投げて回避したか。

で、ハルト君・・・大丈夫かい?」

「あ~あ・・・本当にあと少しでいい者が見えそうだったのに残念だよなぁ。」

「あぁ・・・だが・・・良い乳揺れを見させてもらったぜ。

これは夢の中で自動再生だな。」

「せっちゃんさんがフラフープを投げたことによって・・・今回の挑戦は失敗となります!!

それにしてもいい所まで行きました・・・・本当に最後の最後まで回し続けたせっちゃんさんに盛大な拍手を送ってあげてください!!」

ジャージーの言葉で会場は拍手で盛り上がる中・・・

ハルトはリザさんに手当てをしてもらい、ステージの清掃が済むと水着コンテストの続きが始まり。

ジャージーは最後のチャレンジャーとついにアイツがやって来た。


「え?もう私?しょうがないわね!!!いっちょやってやるわよ!!!

さぁ・・・お題箱はどれかしら!最高にクールでテンションの上がる楽しいお題を寄越しなさいよ!!!」

「えぇ~メルトさん・・・その・・・水着コンテストで魔法を使うのは違反だから使わないでね。

だって・・・魔法があれば何でもがやりたい放題になるので・・・・

観客席の皆さんもそう思いますよね!!!」

「おう!!!俺たちは魔法を見に来たんじゃねぇ!!!

その水着の奥にしまわれたもんを見に来てんだ!!!」

「違うだろ!!!水着を見に来たんだろ!!!!」

男達の声と相まってメルトはそう言う事ならと・・・魔法は使わずに自身の力でやってやると言い返し。

お題箱の中から1つのボールを掴みあげた―――――――――

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