178日目 デッドエンドシティ入りしました

 害獣の討伐依頼に来ていたハルトたちは・・・戦っていた討伐対象の害獣に追われて移動しているうちに、廃村へと迷い込んできてしまっていたが。

何とか害獣から身を守ることができた。


のだが・・・・・


「おい、この村ってどこのだ?俺たちのいた場所近くにこんな村があるとか聞いてないんだが・・・・」

「私もこの村へ初めて気がします。

何せこの辺りの地域は私たちの庭のような物だったので。

それに・・・この看板を見ると・・・デッドエンドシティって書いてありますが。

何かのジョークですよね?」

「アハハ・・・マジ?

私、嫌な噂を聞いたことがあるんだけど・・・聞きたい?

私は話したくないんだけど聞きたい?」

「何をそんなにビクビクしているのだ?

何が出ても問題ではないだろう・・・あのネトネトな巨大ナメクジに捕食されることを考えると幾分かマシだろう。

だからこの村の事を知っているのなら噂でもいいから話して欲しい。」

魔王の答えにメルトはハルトたちに周りに誰もいないか確かめさせ・・・がない事が確認されると。

ますますメルトの表情は暗くなり・・・・この村の話をはじめた。


「このデッドエンドシティはね・・・昔にあった戦争でどちらの国にも属さなかった平和主義者の村だったらしいの。

でね・・・どちらの国にも属さないこの村人たちを生きたまま焼き殺したり惨殺して地図上からも消したらしいんだけど。

時々こうやって地上へ舞い戻って来るらしいのよ・・・・・

として・・・生きたモノを求めて―――――――――」

「な、なななな・・・何をバカなことを言っているのですか?

幽霊?ゴースト?サキュバスや魔王と言った類は見えてるので信じますが。

見えない幽霊やゴーストは全く信じがたい事ですよ?

何せこの村はこうして目の前にあるじゃないですか。

それに・・・ただの廃村は地図上から消えてると言うのも珍しい話でもないのでビクビクする必要はありませんよ!!!ね?ハルト。」

「そ、そうだな・・・実際こうして見てるわけだし?

他に見えちゃいけないモノが見えてるわけでもないし?怖くなんかねぇし?

つまりだな・・・早く抜け出して害獣をぶっ飛ばして帰ろうぜ。な?」

「あぁ・・・早くそうしてやりたいのは山々なのだが。

私はどうも見えてはいけないモノが見えているのか・・・その・・・なんだ?

アンデッドのようなヤツから背に剣を付けたモノまでゾロゾロとやって来ているのだが・・・私の見間違いか?それともアレは幻か?」

魔王の言葉にハルトたちは唯一の村の出口を見ると。

その周囲には魔王が言っていた通りにアンデッドが現れており・・・・

簡単には出られそうにない状況で、ハルトたちはバレないように廃墟の中で作戦を練ることにした。


「こうなった以上は何とかアイツらをどうにかして脱出するほかないだろうな。

つまりだ・・・魔王の暴力でいつものように吹き飛ばしてくれよ。」

「ぼ、暴力だと!?私はあくまで討伐のためや自分たちを守るために力を使っているだけでだな!!!暴力とは全くの別物なのだ!!!キルりんもメルトもわかってくれるだろ?」

「ん~でも言われてみれば魔王のこれまでの行動を思い返せばいつも暴力沙汰よね。

それに・・・今回はケースがケースよ。

つべこべ言わずにその無駄にある力を使いなさいよね!!!」

「魔王、今回ばかりはその暴力が役に立ってよかったですね。

いつもはやりすぎだとか制限しろと言われるよりか幾分かマシじゃないですか。

まぁ・・・ぶっちゃけますとヤツらが気付いたようなので早く片付けてくれませんか?」

キルりんは自分たちの方にアンデッドの群れがやって来ている事を魔王たちに知らせると。

メルトたちは青い顔をしながら振り返ると・・・不気味なアンデッドたちがすぐ近くまでやって来ていた。


「い、いやぁぁぁぁああぁ!!!!

まだ死にたくないんだからコッチくんなバカ腐れアンデッド!!!」

「うぉぉ・・・こういう時は魔王もだがメルトも少しは使えるんだよな。

よし、メルトが作ったスキを使ってメルトを追いかけるぞ。

はぐれたらそれはそれで面倒だからな。」

「そうだな・・・私の力を無理に使わずに済んで良かったと今回はメルトに感謝しよう。

アンデッドもあぁ見えて一応は魔力によって生かされているモノだ。

だから無理に命を絶つのも気が引ける。」

「何をごちゃごちゃ言っているのですか?

この状況だと私たちが倒さないともれなく全員あのデッドマンの仲間入りですよ!?

あぁ・・・でも、今回はメルトたちと同じように逃げましょう!!!」

そう言って魔王たちもメルトが作ったスキを利用してメルトが逃げ込んだ納屋に身を潜めると。

1人で泣いているメルトと合流した。


「うぅぅ・・・もうヤダ~~~アンデッドにゴーストなんかいらないわよぉ。

あの類はクサイし何考えてるかわかんないし本当にもうお家に帰りたいよぉ~~~」

「いや、お前・・・偉大な魔導士とかいう威厳はどこに行ったんだよ!?

そんなに泣きまくるほど怖いもんなのか?それにゴーストはいないのが救い・・・ん?どうしたんキルりん??」

「い、いえ・・・そ、その・・・・・ハルトの上に何かが見えているのですが・・・・・何なのでしょうかねソレ・・・」

「コレはさっきのワードのアレじゃないか?」

魔王の問いにハルトは2人が脅かそうと冗談を言っているものだと思って見上げると。

首を吊った様子の青白い光の塊が見え。

ハルトはそのモノと目が合うと・・・・体が凍り付いて固まっていた。


「やはりゴーストだな。

すまない・・・そこの首つりをしたゴースト。

この村はどうなっているのだ?アンデッドの数もそうだが・・・村自体が時々現れる現象をご存知なら教えて欲しいのだが。」

「ん?何だい・・・お前ら・・・私が怖くないのか?

まぁいい・・・怖がらなかった褒美としていくつか教えてやるよ。

まずはそう・・・・アンデッドの数だが、その数は村人とここへやって来たモノ達の慣れの果てさ。

この村の秘密を解けなかったものは皆・・・アンデッドになるかになるかを選ぶ羽目になるってわけ。

で、どうして時々現れるかと言うと・・・・私たちも暇でさ。

こうして暇をつぶすために地上へ出るんだよ・・・迷い込む生きのいいものが入って来るのを待ってね。

でも・・・なんだ??生きのいいお前たちの内・・・妙にのはどういう事だい?

お前達の中にはネクロマンサーがいると言うのか?」

「いえ、その・・・そのハルトは少し特別性でしてね。

あと私たちのPTにはネクロマンサーはいませんが・・・自称偉大な魔導士ことそこで泣いているメルトがいます。」

キルりんは泣いているメルトに指をさすと。

ゴーストは気になり・・・メルトに話しかけた。


「そこの魔法使い・・・お前はサーチと言う魔法は使えるのか?

ひーこら人の納屋で鳴いてんじゃないよ!!!呪い殺すわよ!?」

「なッ!?人が怖がっているのをいいことに言ってくれんじゃない!!!

使えるわよそのレベルのひっっくい魔法くらいね!!!

で、そのサーチで何をしろってんのよ?

ハルトの秘密にしてる薄い本でも探せばいいのかしら?」

「ハッ!?だ、誰が薄い本なんて持ってるかバカ野郎!!!

それにアレは見つからないように・・・・いや、今はそんなときじゃねぇ!!!

話はちょこちょこ聞こえていたが・・・サーチで何をするんだ??」

ゴーストはサーチが使えるのであれば期待できると。

何やら納屋の奥に隠してある木の板をどけて見ろと言ってハルトたちは言われるがまま奥の部屋で木の板をどけると・・・そこには古びた布袋が転がっていた。

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