177日目 第1回目の優勝者


 せっちゃんが黙々と食べ始めてから90皿目に突入した所で・・・

メルトとキルりんは特性のジュースと言ってせっちゃんに飲み物を持ってやってくると。

ジャージーはその行動を見過ごすことができず、その飲み物を取り上げて匂いを嗅ぐと―――――――


「ジュースじゃ・・・ない?

これは・・・クンクン・・・匂いからしてロイヤルシュゴビー?」

「チッ・・・あと少しというところで・・・そうよそうよ。

喉が渇いていると思って持って来たのよ。

それとも注文を受けないと上げちゃいけない決まりでもあるのかしら?

私の飲んでた残りだけど別にいいでしょ?」

「そうですよ~たあ私たちはせっちゃんに美味しいお酒を飲んでもらおうと思って持って来ただけです。

何も悪い事も卑しい事も考えてないのでそれをせっちゃん上げては駄目でしょうかね?」

「何だか怪しいな・・・魔王、一応このシュゴビーに何か細工がされていないか確認してくれないか?魔法か何かで探れるだろ?」

「あぁ、私も気になるから全力で確認しよう。

―――――――――ハァッ!!!!

ふむ・・・どうやら毒や呪いといったものはないただのシュゴビーだな。」

魔王がそう語ると、ジャージーは2人にグラスを返し・・・せっちゃんに与えることを許可すると。

すぐにせっちゃんに与えた。


「んごんご・・・ンンッ!?このシュゴビーすっごく美味しい!!!

その・・・悪いのだがもう少しこのシュゴビーをもらえないかな?」

「お、今日のせっちゃんは食べもするけど飲みもする口ね!!!

いいわ!!私が大切に呑もうと思ってた1本を持って来たげる!!!」

そう言ってメルトは厨房にある1本のロイヤルシュゴビーを持ってくると。

せっちゃんにじゃんじゃん飲ませると・・・持って来たシュゴビーはすぐに空となり。

残り6皿と言う所でせっちゃんはシュゴビーによって眠りに落ちてしまい。

その光景を見たメルトとキルりんはガッツポーズをとり・・・ハルトは2人の側に近づいて何がしたかったのか尋ねた。


「お前ら・・・せっちゃんに酒をもって眠らせて何がしたいんだ?

大きな荷物が増えて面倒が増えたじゃねぇか・・・・」

「何を言ってるのハルト!!

せっちゃんをなかったら私たちの夕食が無くなっちゃうところだったのよ!!

それに私のロイヤルシュゴビーを生贄にして止めたのだからご褒美の1つをくれてもいいんじゃないのかしらね!!」

「そうですよ!!!私たちの行為にハルトと魔王は感謝するべきですよ。

夕食が食べられなくなる状況を回避した私たちに感謝してください!!!」

「ん~褒めるべきか怒るべきか。

2人の考えもわからなくはないからストレートに怒ることもできないが。

客であるせっちゃんを酒で落とすのはどうかと思うな。

だが・・・これだけ皿が稼げたのなら私たちの優勝で間違いないだろう。

ジャージーはどう思う?」

魔王の問いにジャージーは皿を数えて考えると。

自分の計算でも何とか勝利していると踏み・・・・全員で片付けに入ると同時にジャージーはメルトとキルりんにせっちゃんを家まで運ぶように頼むと。

2人は嫌な顔をしながらせっちゃんを荷台にべたんとせっちゃんを乗せて運びだしたのだが・・・その光景は女をどこかの国に売り飛ばすように見えていた。


「何だろう・・・善意なんだろうがあの運び方はないんじゃないか?

それにせっちゃんが気分悪くしているように見えるんだが――――――――」

「あぁ・・・アレは間違いなく吐くな。

―――――――――――あ、吐いたな・・・・」

「吐いたね・・・には申し訳ないけど。

私たちは私たちのやるべき掃除をしないと。

今日中にお皿とか食器を片付けて教会に持って帰らないといけないから頑張ろうね。」

「一日のイベントごとの為にこんな大きなお店を作るとは・・・本当にお金の使い方が豪勢というか無駄と言うかだな。

一体だれがスポンサーなのだ?」

魔王の質問にジャージーは主催者のいる場所に指をさすと。

その方向は国王のいる城をさしており。

魔王はその方向からあの王様がスポンサーなのかと問うと・・・コクリと頷き。

ハルトたちはそれ以上の事を聞かずに呆れながら掃除を開始し。

しばらくしてメルトたちも戻り・・・全員で掃除を完了させてから広場に向かうと集計の結果が発表されようとしていた。


「みなさん、第1回炊き出し大会お疲れさまでした。

ただいま集計が終わったので3位から発表させていただきます。

まず第三位・・・下町のおばさま方のお店「隣のママ」です!!

何と言ってもここの店の売りは大人の魅力と昔ながらの味付けと安さで人気を呼び。

家族層から色々な客が足を運んでおりました!!!

そして、第二位は・・・・街の下はこの俺だと言わんばかりに冒険者やハンターに振舞っている酒場の店長率いるウェイトレスチーム「ぴんくリザード」です!!

ここの店長はムサくて人気はありませんが料理の腕はピカイチで。

それを補うようにキャピキャピウェイトレスの彼女たちのニューファッションが今回の順位を叩きだしました!!!

それもそのはず・・・その過激さに男性は首ったけでありました。

味よりも見た目に点数が高かった店と言えるでしょう!!

さぁ・・・頂点の第1位を発表するぞ!!!

第1回炊き出し大会のチャンピオンは・・・ハイネ司祭の不在の中。

愉快な仲間たちを使いに使ったジャージーたちハイネ教会の「ホーリーえんじぇる」だ!!!!

このお店の特徴は今回の店に合わせてプリースト衣装をイメチェンしており。

今までの清楚な彼女たちから想像もつかない大胆な服装と言い味付けと言い。

全てにおいて評価が高くてこのような結果となったぞ!!!

さぁ各店の代表は壇上へ上がって来てくれ!!」

こうして・・・無事に表彰を受け取ることができ。

ハルトたちの依頼もこれにて無事に達成すると。

ジャージーたちと荷台を押して教会に戻って来ると、約束の報酬とロイヤルシュゴビーにヒーヒーライスの残りを受け取り・・・ハルトたちはジャージーたちと別れ。

家に帰ると・・・すぐに米の準備を行い。

その間に報酬を山分けし、風呂をパパッと済ませ。

最高のタイミングで4人はヒーヒーライスを食べ始めた。


「ん~~本当にこういうのって少し置いた方が美味しいって言うのは本当のようね!!!

料理をしない私でもコレくらいの知識はあるのよ!!!どう!!驚いたかしら!

それにシュゴビーも最高にうまいわ!!!」

「そうだな、今日は汗を沢山かいて大変だったが・・・・

今日は今日で楽しかったな。

またこんな仕事があればやってみたいものだな。」

「いいえ、私はもう二度とこんな裏方の仕事はしたくありませんね。

何せ衣装は間違えて渡されるは男の店員と街がられるわで散々でした。

まぁ、タダメシを食べられるのであれば野菜を切るくらいの仕事くらいはしてやりますがね。」

「だからお前・・・客を適当なこと言って店裏に連れ込んでボコってたのか。

それを知ったらジャージーは怒るぞ・・・

まぁ・・・連帯責任になるから俺は黙ってるがな。」

今日の事をぐだぐだと語りながらハルトたちはヒーヒーライスを平らげ。

そのまま疲れが来たのか解散して床に就き・・・・気が付けば朝になっていた。


そして、ハルトたちは今日からまた特に変わることなく朝食を食べてからギルドに依頼を受け・・・害獣駆除に向かって行った―――――――――――

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