176日目 炊き出し大会:午後の部
ハルトたちが協力してヒーヒーライスを振舞い始めてから数時間・・・
やっと客の足が落ち着いてくると。
ジャージーはここで一度店を閉め・・・準備中の看板を立てて大きな休憩をとることとなった。
「みんな、午前中の部はお疲れ様~
午後の最終結果発表までに全部売れるように今のうちに休んでおいてね。
あと・・・魔王さんにハルトさんたちも十分な休憩を取っておいてね。」
「あぁ・・・そうさせてもらう・・・
何だ・・・いつもの依頼よりも忙しくて大変なような気がするの俺だけか?」
「いや・・・私も今回ばかりはハルトと同意見だ。
それに比べてあの2人は楽そうでいいな――――――――――」
「ちょっとキルりん・・・そんなに泡を飛ばさないで!!!
こ、この!!!お返しよ!!!」
「ぶはぁッ!?ちょっとメルト!!!それはやりすぎですよ!!!
お返しのお返しです!!!」
疲れている魔王とハルトは皿洗い中であるはずの泡遊びをする二人を見て。
元気だなと感じていると・・・・
ハルトたちの頭上からいい匂いがすると思えば―――――――
「休憩になったからこれでも食べてよ。
今回の炊き出しのヒーヒーライスだけど・・・体力も付くから午後もよろしく頼むよ。」
「ありがたく頂戴しよう。
それではさっそく・・・・ンム!?ヒぃ~~想像以上に辛い・・・だが何だこの止まらない感じは!?モシャモシャ」
「辛くてうまい・・・か・・・ヒーヒーライスは俺のいた世界で言うカレーライスだな。
色とか材料を除けば・・・・」
そう言ってハルトは魔王がヒーヒー言いながら食べているヒーヒーライスをに口を付けると。
あまりの辛さにハルトもヒーヒー言いながらも止まらない食欲にやられ・・・・
最後の最後まで食べ・・・メルトたちも同じようにヒーヒー言いながら食べ終え。
それからしばらくしてからメンバー全員がジャージーの号令に集まり・・・午後の部も協力して頑張ろうと円陣を組んでガッツを入れると同時にアナウンスから午後の部の開始の放送が流れると。
再び店の中には客が溢れかえっていた。
「はいよ、3人前で来たよ~」
「あいよ~コレ何番テーブルだっけ?」
「それは・・・あそこの12番テーブルよ。」
「にしても・・・本当に人が多いわね。
そんなにヒーヒーライスが美味しいのかしら?
それともまた別の用件で来てるとかが考えられるのだけれど・・・もしかしてマジのマジで魔王を見に来たワケ?」
「そのまさかかもしれませんよ?ですが・・・他の客はジャージーたちも見てる人もいますね。
それに・・・ここには教会の看板娘であるジャージーにサキュバスの魔王・・・エプロンを着たバカ乳の料理長リード・・・この3人を見るだけにヒーヒーライスを食べるこの客たちの神経が不明ですが。
間違いなく3人が目当てなのでしょうね。」
と、2人はジャージーや魔王たちを狙って来ている客たちの話をしながら芋や玉ねぎの皮を剥いて下ごしらえをし終えると。
ジャージーに頑張って下ごしらえをした褒美にロイヤルシュゴビーを呑んでもいいかと尋ね。
この忙しさから手伝って欲しいとジャージーは思っていたが、面倒を起こされるよりかお酒を飲んで大人しくしていてもらう方がいいと感じ。
了承すると、メルトは大喜びでロイヤルシュゴビーのある厨房へキルりんと共に消えて行った。
「はぁはぁ・・・やっと人数が減ってきたな・・・
後どのくらいだ?皿が無くなれば終わりんなんだろ?」
「その予定なんだけど・・・あと100枚近く残ってるかな。
どこかにいっぱい食べる人はいないかな??」
「ジャージー・・・ちょっといいか?
その辺を通り過ぎて行った知り合いの大食いがいるのだが・・・呼んでもいいか?」
ハルトはその大食い特性を持つキャラに思い当たる節があり。
ジャージーのゴーサインを受けた魔王が戻ってくると・・・ハルトの予想が正しく。
魔王の隣には色々な食べ物を持ったせっちゃんがアイスを食べて立っていた。
「さぁ、せっちゃん!!ここのヒーヒーライスは絶品なんだ。
だから100皿程度食べて行かないか?」
「クンクン・・・そう言われてみれば・・・なんだか他の店とは違ういい匂いがする。
決めた!!今日の夕食はここにする!!さぁ!ここの商品をじゃんじゃん持って来て!!私すっごくお腹が減ってて食べても食べても足りないのよね。」
「オーダーオーダー1番テーブルにヒーヒーライス100人前~~」
「何!?1人で100人前とか胃がどうとかいうより人体に収納できるのか!?
だが・・・あの格好・・・もしかして酒場に時たま現れる化け物じみた胃袋を持つと言われる鬼の娘か?
クックック・・・そうと言うのなら話は別だ!!!
いいよ!!私のヒーヒーカレーの虜になりな!!
まずはジャブで25人前だよ!!」
リードはせっちゃんが食べれるか試すかのようにヒーヒーライスを25皿分作り。
ハルトたちに運ばせると、せっちゃんはスプーンを握りしめ・・・・
「それでは・・・いただきます・・・・
モシャ・・・んんッ!?こ・・・これは・・・ウマヒ~~~
辛さに中にある野菜のコクと肉のバランスが・・・イイッ!!!
コレは美味い!!!美味い!!!モシャモシャモシャ・・・・」
「うえぇ・・・キルりん見て見て・・・せっちゃんの喰いっぷり。
あれは絶対に太る食べ方よ?ほんとあんな大量に食べてどこに消えるのかしらね。」
「チッ・・・どうせ2つの果実に行くんでしょうよ・・・・
本当に私の周りには敵しかいませんね・・・そこのプリースト!!!私にも木の実のジュースを注いでください!!!
今日は飲まないとやってられない気持ちです!!!メルト乾杯!!!」
ガラスの向こう側ではメルトとキルりんがせっちゃんの食べっぷりを見ながらシュゴビーを呑んでおり。
ハルトは止めに行こうとしたがジャージーに止められ。
まずはせっちゃんの食べ終わった皿を運ぶのが先と言われて流しに持って行くと。
そこで初めてジャージーは2人に皿を洗うように頼み・・・
2人はしぶしぶスポンジを持って洗い始めた。
「さぁ~続けていくよぉ!!!
これで75人前だ!!!さぁあと25皿だが本当にあの細身の彼女は食べきれんのかい?」
「どうだろうな・・・こんなに食うやつは俺も見たことがねぇからな。
だが・・・せっちゃんならやってのけそうで怖い・・・」
「私もさすがにこの量は食べられないかな・・・
それにしてもすごいペースね。
ここまで全然ペースが落ちずにガツガツ食べてるよ。
本当にこのヒーヒーライスが気に入ったのかもしれないね。」
「2人とももっとじゃんじゃん持ってきて!!
残りの25皿も私がいただいちゃうよ!!ガツガツガツガツ・・・・」
「ねぇ、1つ思ったんだけどいい?
私たちの夕食ってこの炊き出し大会の余りよね?
と、言う事は・・・全部食べられちゃったら私たちの分はナシになるんじゃないのかしら?」
「奇遇ですね・・・私もそれを考えていました。
せっちゃんの勢いで行きますと。
間違いなく100皿の上限を超えてこの店の食料を食べ尽くすことでしょう。
つまり・・・今、手を打っておかなければ私たちの未来は酒場に行く未来しか見えません。」
「ん?さっきまで皿を洗っていたキルりんとメルトの姿が見えないのだが・・・
どこに行ったのか知らないか?」
魔王は仕事をしているか2人の確認をしたのだが・・・メルトとキルりんの姿はなく。
皿は綺麗洗え終わっているところからシュゴビーでも飲んでいるのだろうと放置して・・・再びせっちゃんの大食いに目を向けるのであった。
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