136日目 キルりんの手間のかかった料理

ハルトが風呂から上がると、変わるように魔王が風呂場へ消えて行き。

びしゃびしゃで帰ってきたハルトに何があったのかメルトが尋ねると。

ハルトは魔王に魔法で氷漬けにされてこのザマだと言うと。


「それは災難ね、でも・・・ハルトが犠牲になったおかげで魔王の機嫌もよくなったようだし。

コレでよかったんじゃないのかしら??」

「機嫌は良くなったかもしれないがその代わり俺は氷漬けなんだぞ??

で、キルりんの調理はどうなってるんだ??」

メルトが言うにはキルりんはずっと台所で料理をしているらしく・・・ずっと何かを煮ていると言っており・・・


「で、この匂い・・・魔王の料理とは比べ物にならない程に美味しそうないい香りと思わない??」

「まぁ、アレと比べたらマシだが・・・・匂いだけでウマイモノがでるとは限らんから俺は食べるまで何も信じないぞ。」

「何を失礼なことを言ってるのですか??

ナイフで刺しますよ??私の事なら問題ありません。

しっかりとアクを取って味付けも完璧ですので。

これでも私はアサシンスクールのエリートですので調理くらい朝飯前です。」

なら、どうして害獣との戦闘ではああも使い物にならないのかと尋ねたいハルトであったが、ここは穏便に済ませようと夕食が楽しみと言うと。

風呂から上がった魔王が匂いにつられてやって来た。


「くんくんくん・・・何だこの匂いは??まさかコレがキルりんの作っている料理の香りなのか??」

「どうもそうらしい・・・この匂いだけならあの時の魔王の料理を遥かに凌ぐ感じだが。」

「感じも何も凌いでいますが何か??

まぁ、それも夕食までお預けです。

まだ時間がかかると思うのでハルトたちは教会でも行って懺悔してきたらいいのではないでしょうか??」

「私は別に懺悔する事なんてないわよ??

罪もなければハルトのようにでもないし??」

人を勝手に罪人にしたメルトの口を引っ張り上げながらハルトは時間つぶしも兼て魔王と共に教会へ向かうと・・・・


「今日も・・・料理??かしら??」

「いや、今日は別の用件なんだ・・・教会の懺悔室は使えるか??」

「だから私は懺悔する事なんかないっての!!!何回も言ってるでしょ!私はいつも清く正しいって!!!」

「コレは重度だ・・・早く懺悔させなければ。」

ジャージーは空気を察し、ハルトたちを懺悔室に案内すると。

嫌がるメルトを懺悔室に押し込んだ。

そして・・・騒がしいメルトが静かになったと思うと、メルトは懺悔室から出て来た。


「で、どうだった??懺悔室は??」

「そうね・・・ハルトとか魔王たちの悪口とか不平不満をボロクソに言ってやったわ!!!

だからかしら??すごいからだが快調よ!!!」

「コイツ・・・一体、ナニをゲロったんだ・・・

えぇっと・・・懺悔室にもこういう使い方があるらしいし。

魔王も入ってみたら・・・ん?アレ??魔王は??」

ハルトは魔王を探すと、メルトが魔王なら懺悔室に入って行ったと指さすと同時にドアが閉まる音が聞こえ。

それから懺悔が始まり・・・・そこから数十分間待つと魔王が懺悔室から出て来た。


「んん~~待たせたな2人とも。

いやぁ全てを告白すると言うのは実に清々しいな!!!

胸のつっかえもモヤモヤも全て消えたぞ!!」

「そりゃよかった・・・よし、帰るぞ。」

「何言ってんのよ・・・ハルトが最後に残ってんでしょうが。

―――――――ホラ、入りなさいよ。」

2人が懺悔室にハルトを無理矢理入れると・・・板の向こうから準備はいいかと声が聞こえ。

ハルトは仕方ないと椅子に腰かけ・・・始めてもらうように言うと。

壁の向こう側から悔むことや罪の告白などはないかと尋ねられた。

ハルトは最近の出来事で魔王の料理の味の悪さやメルトの頭の悪さにキルりんの絶壁の事まで聞かれてる以上の事を話すと。

逆に壁の向こう側からの答えが返らず・・・待っていると・・・・


「そ、そうなんですね・・・色々と大変なようですが仲間を大切にし、仲間と共に冒険を続け―――――――――」

「いやいや、待ってください!!俺はこのまま冒険を続けていけばきっと破滅します。

だからで待つ魔王たちとPTの解散をしようかと悩み考えています。

どうするのがベストな答えだと思いますか??」

更に長い沈黙から再び答えが返って来たのだが。


「えっと・・・そうですね・・・解散せずに皆で仲良く冒険をオススメしたいのですがダメでしょうか??最悪、魔王とキルりんは捨てても・・・よろしいので・・・」

「ハァ・・・何をジャージーに言わせてんだ!?そこから出てこい!!!このバカメルト!!!

人の懺悔を盗み聞きしておいてルート変更を指示するとかどんだけ必死なんだよ!?」

「いや、待て!!まだ私の要望が伝わってないじゃないか!!

それにメルト!!私とキルりんを捨ててまでハルトのスネをかじろうとは本当に意地が悪く汚いぞ!!」

「アチャ・・・・ハイハイ、出ればいいんでしょ?出れば・・・・」

懺悔室からはジャージー以外に魔王とメルトが出てくると。

どうしてこんなことをしたのか尋ねると、メルトはハルトに隠された秘密とかを聞き出して面白半分に広めるつもりで入ったと語る中、魔王はただの興味本意であり。

迷惑をかけるつもりはなかったと言ってからPT解散の件の話を持ち出してきた。


「でだ・・・さっき懺悔室で言っていたPT解散の件だがアレはウソだろ??

なぁ・・・ハルト??相談なのだが私はあの2人よりも使えると思うのだ。

だから・・・その・・・・・」

「あッ!?魔王ズルいわよ!!!なに自分だけ安全ラインに捻じ込もうとしているのよ!!!それにPTの解散なんて嘘に決まってんじゃない!!!ねぇ?ハルト?

ねぇってば・・・・ねぇ、ちょっと!!!なんで無言のまま帰るのよぉ!?

ウソだと言ってよぉハルト~~~~うわぁぁぁ~~ん捨てないでよぉ~~~1人にしないでよぉ~~~何でもするからぁ~~~」

ハルトは泣きじゃくるメルトを後方に従え、魔王と共に家に戻ると。

キルりんは何があったのかをハルトから聞くとメルトに対し――――――


「そんなことでメルトは泣いていたのですか??

本当にハルトがそう言う事を言ってたのならとっくの昔に解散していますよ。

そうですよね?ハルト??」

「どうだろうな、たまたま俺が計画していないだけだったかもしれないぞ??

それに今すぐ解散をする可能性だってな・・・・」

「私はハルトが解散しようがハルトの仲間だ!!!

誰がどういおうと・・・だ・・・だからそう簡単に解散とか言わないでくれ。

私にはハルトたちしかいなにゃいのだ・・・・」

と、つい悪戯し過ぎたのか・・・魔王を泣かせてしまい。

キルりんとメルトは2人がかりでハルトを責め、どうやって魔王を泣き止ませるのかと問い詰めると。

ハルトは魔王の頭をこれでもかとワシャワシャとして解散はしないとだけ言うと。

魔王は、涙を拭きながら笑い・・・お腹が空いたと言い出した。


「そうですか、では私の作った料理でも食べましょう!!!」

「ヨッ!!待ってましたぁ!!!さぁどんな料理が飛び出すのか楽しみだわ!!」

そう言って魔王たちは席に着き、キルりんは大きな皿を持ってやって来ると。

テーブルの真ん中に置き・・・蓋を解放すると。


「ん?これって・・・・お鍋??」

「そうですが何か??この時期は暖かいモノが良いと思って出汁から作ったのですからね!!!

具は色々な野菜をふんだんに使い・・・お肉とか色々入れましたのでお好みに合わせて食べてください!!」

「うむ、コレは美味しそうだ!!!ではさっそく・・・あちゅい・・・」

「コレは美味しいわ!!!見た目はそこまでいいとは言えないけど想像以上に美味しいわよキルりん!!!まさか料理ができるなんて見直したわ!!!

かしら??」

メルトがキルりんにそう尋ねると、キルりんは笑いながらしかできないと答え。

ハルトたちは何も聞こえなかった風に流し・・・目の前の鍋を黙々と食べ始め。

食事が済むと各自、自分の布団にもぐり朝を迎えた―――――――

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