120日目 キルりんの両親

キルりんのお茶は出ないのか発言に対してハルトはキルりんの口をぐいぐいと引っ張っていると。

キルりんは遊んでいる暇はないとハルトの手を振り払い潜んでいた理由をお腹を鳴らしながら話し始め・・・・・


「ぐぐ・・・私が潜んでいたのには理由があってですね――――――――」

「そりゃ理由がないと困る。

理由もなくそこに腹を減らしながら張り付いていたとなると何かしらの病気か何かだろ・・・・で、こんな所で張り付いて待っていた理由は何なんだ??」

鳴りやまない腹の音に恥ずかしさを感じながらキルりんは本題に入った。


「そのですね・・・口の堅さは信頼できるハルトだから言うのですが・・・・私宛にこの手紙が届いたのです。

内容は自分の目で確かめてください。」

「だけとか言うな・・・・んじゃ、読ませてもらうぞ。

何々・・・拝啓キルりんさん・・・さま?

字が汚ねぇな・・・・えっと――――――――――

頭は悪く・・・体は悪くしていませんか??こちらは以前と変わりなく健康です・・・この手紙を宛てたのには理由があり。

キルりんを我々の元へ戻そうかと貴方の父であると考えて宛てさせていただきました。

この手紙を読み次第、至急連絡をください・・・・あなたの母より・・・・って・・・・お前・・・コレ・・・ウソとかじゃなくてマジなのか??」

ハルトは手紙をキルりんに返しながら尋ねると・・・キルりんはコクリと頷き。

この内容に対してやんわりと傷つけない方法で拒否しつつ永遠に手紙が来ないようにする方法をハルトに頼んで来たのだが。


「そんな滅茶苦茶な手紙書けるわけないだろ!!!

それにお前の両親も心配しているんだろ??

だったら少しくらい顔を見せて・・・戻ってきたらいいんじゃないか??」

「イヤです!!!!

私を暗殺スクールに追いやっといて何が親ですか!!!

自分の部屋でいつものようにぐうたらしていたら兵士たちに連行されて暗殺スクールに入れられたのですよ!?

そんな血も涙もない親の元に誰が戻る・・・・ハルト??ちゃんと聞いてますか??

私はですね・・・ここから、ハルトたちのいるこの家から離れたくないのです!!!」

キルりんがどうして暗殺スクールに通っていたのかをやっと知ったハルトは。

何とも言えない顔をしながら本当に親の顔を見たくないのかと尋ねると。

キルりんは・・・少し黙り込み。

数分間の沈黙から答えが出たのか・・・キルりんはハルトたちが一緒に両親の所に付いてきてくれるのなら行ってもいいと答えると。

ハルトはキルりんに地図を渡し、移動先と魔王たちに説明する内容を考えるように言いつつ皆が納得すればキルりんの親の所について行くと言うと・・・キルりんは張り切りながら感謝の言葉を述べつつ地図をもって出かけてくると言って部屋から飛び出して行っが・・・・飛び出したのは窓からであったが飛び出すキルりんの顔は・・・なんだかいつもより嬉しそうであった。


そして、翌朝・・・・何事もなかったように時間は過ぎ。

魔王たちと合流して酒場に向かうと・・・キルりんが地図をバンとテーブルに叩きつけ。

魔王とメルトに特別なプレゼンをすると言ってどこかしらから眼鏡を取り出してクイクイっと眼鏡を上げながらふふんとハルトを見て笑っていた。


「つまり・・・私たちはキルりんの護衛役と言う事か・・・

どうするメルト???私はやってもいいと思うのだが・・・・キルりんのご両親に挨拶もできるし。」

「そうね、でも一つだけ納得いかない事があんのよ・・・・・」

「あぁ~~言わなくてもいい・・・どうせ下らねぇ事だろ??

当ててやろうか??はいくらかって事だろ??」

「はぁ!?仲間を護衛するのにお金を巻き上げる気ですか!?

仲間を何だと思っているのですかメルトは!!!」

メルトは御名答と言ってハルトに正解者の商品と言って飲みかけのお水をプレゼントする様子を見てキルりんは・・・このままではハルトたちが付いてきてくれないと焦り。

次の手段に出た・・・・


「あ~あぁ~~報酬は払えないですが・・・きっと屋敷にはとっても豪華で高級なロイヤルシュゴビーがあると思われるのですが~~~残念ですねぇ~~~本当に残念残念・・・・・おわッ!?」

「行く!!!私絶対にキルりんの屋敷にイクイクイクイク!!!行っちゃうわ!!!」

「おい・・・そんなに連呼するなって!!!周りの冒険者たちに誤解されたらどうすんだ!?」

「ハルトは何を焦っているのだ??行くと言っているだけだと思うのだが・・・・

だが、これで話は決まったな!!で・・・いつ向かうのだ??」

「え?ですよ??そこに馬車をご用意しました!!!」

キルりんが酒場の扉を開くと・・・本当に馬車が待っており・・・・メルトはありったけの食べ物を口に捻じ込むと・・・馬車に乗り込み。

ハルトはキルりんが親との面会を済ませるだけの辛抱だと覚悟し・・・魔王と共に馬車に乗ると。

キルりんの指示した屋敷に向けて馬車がパカラパカラと音を立てて走り出した。


「んで、キルりんの両親が済む屋敷ってどこにあるんだ???

そうですね・・・アップダウン王国から少しだけ離れた所に最近できた屋敷があるみたいです。

そこに今は済んでるとか何とか・・・・」

「ん?どうしたのだ??浮かない顔をしているが・・・・両親に会うのが本当は嫌とかそういうアレか??」

「ん~でもそうよねぇ・・・ぐうたらしてただけで暗殺スクールに住まわされて通わされたら親を見捨てたくもなるわね。

でも・・・その甲斐あってキルりんはエリートアサシンになれたのなら良かったんじゃないの??何が不満なワケ??」

「そうだな・・・ぐうたらしてたやつがエリートになったんだ・・・・大出世じゃないか。

ん?どうしたんだキルりん??」

キルりんはぐうたらしていただけではないと・・・ぼそぼそっと聞こえない声で語り出し。

ぐうたらしていた事以外にも・・・色々と両親にやらかしていたらしく。


「で、一体何を両親にしたんだよ・・・キルりんを暗殺スクールに入れるほどだろ???

――――――――お菓子の万引きでもしたか??」

「そんな女々しい犯罪をするわけないでしょう!!!

私が少しねだれば大人買いならぬとかしてましたし??

そうですね・・・私が小さい頃・・・胸ではありませんよ?体がって言う意味ですよ??ハルト・・・切り刻まれたいのですか??真剣に聞いてください。

コホン・・・私の思い通りにならなかったたびにモノを投げつけて怒りを表現していた時期があってですね。

いつものようにモノを投げつけていた際に投げたペーパーナイフが父の大事な所にクリティカルしてしまいまして・・・・それで入れられた可能性があったのかと・・・・」

「ん?大事な所??想像つかないのだが・・・・メルト・・・男性の大事なところとはどこなのだ??メルトは何でも知っているのだろ??教えてくれないか??

キルりんの言う男の大事な所という部位を!!!」

「え、魔王・・・・本当にそう言った知識がないのね・・・どう考えてもチン・・・・・もごもごもごご!!!

―――――――――――ぶはぁッ!?何すんのよ!?え!?着いたの!?」

メルトの口を塞ぎ、黙らせ・・・窓をチラッと見ると・・・キルりんの言っていた屋敷が見え。

メルトに話を切り替えるように屋敷が見えたと伝えると・・・メルトは一目散に窓から覗き込んでいた。


「ふぅ・・・危ない所だった・・・・危うく下ネタ大会になるところだったな。」

「ムゥ・・・この件はメルトに直接聞くとして。

実に立派な屋敷じゃないか!!!本当に見事な作りだ!!!

お、あそこにいるのはメイド長と執事長ではないか??」

「いえ、アレは・・・私の両親です・・・・・」

「へぇ~~王族とか聞いてたけど結構普通な格好をしているのね。

キルりんの血筋だからもっとこう・・・見栄を張りそうな気がしてたんだけど・・・・買い被りだったのかしら??」

「おぉ~~やっと戻って来たか・・・・!!!」

「でその方たちが速達の手紙で書かれていた現在の召使という方たちなの??

どうも、こんにちわ・・・私は母のヴァリス・キールライト・アマリリスです。

―――――――――――召使の方々お見知り置きお。」

キルりんの母からの言葉に考える間も必要としない動きでハルトはキルりんの頬を引っ張り上げて怒りを表していた――――――――――

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