94日目 予想通りの流れ
ギガノドレイクを何とか打ち倒し、バキバキになったシールドを解くと。
メルトは魔王の胸に飛び込むが・・・魔王は激しく抱き着くメルトを無理矢理引き剥がすが手遅れで、メルトの顔が付着した部分には涙と鼻水でべとべとになっていた。
「うわぁぁぁぁ・・・怖かったよぉ・・・・あんな囮役誰がさせたのよぉぉぉぉ・・・・こんな危険な依頼もぅやんない!!!!
うわぁぁぁぁぁん―――――――」
「完全にダメルトになっちゃってますね・・・・まぁ何とか討伐できたので狼煙を上げておきますね。」
「あぁ、頼む。
おい、この依頼も囮役もお前がやりたいって言ったからやったらこのザマなんだぞ??
次はもっと身の丈に合った依頼を選ぶぞ?わかったな??」
「いやぁ~このギガノドレイクは中々に耐えてくれたが。
全力を出すことはできなかった・・・・・ヨルムンガンド戦でも私はあまり活躍で来ていないし。
素直に言うと私はもっとエクストラハード級でも全然平気だぞ!!!」
魔王は魔王でやる気満々といった平常運転で・・・泣きべそをかくメルトを連れてギルドに戻ると。
魔王は1人で少し手強そうな依頼を受けてくると言って、バクサクヒュドラと言うとんでもない魔獣討伐を受けて出て行ってしまった。
「大丈夫なのか・・・あんなウキウキして狩りに出て行ったが・・・・
あと、言ってたバクサクヒュドラってなんだ??ヒュドラって事は首が沢山ある奴か??」
「良く知ってますね。
そうです・・・バクサクヒュドラは8本の首にそれぞれ異なる属性を持った大暴れヒュドラの事で。
1日あれば山の生き物全てを喰らうほどの食欲と凶暴性を持ったとんでも害獣です。
魔王が1人で受けて行ってしまいましたが・・・あの依頼は傭兵団クラス・・・つまり・・・およそ手練れが32人以上必要な危険度です。」
「うぐぅぅ・・・わだじ・・・ガエルゥゥゥ・・・・」
話に興味を示さず、家に戻ろうとするメルトにキルりんはバクサクヒュドラの報酬金額を言うと――――――――
「討伐報酬金額は3200万ゴールドって聞いた覚えがあります・・・・
でも、傭兵団で受けて分けるので1人数百万といった所・・・・」
「何々!?お金の話してなかったかしら!?でもって3200万ゴールドとか言わなかったかしら!?
そんなマジウマな話をどうして黙ってたのよぉ~~で、それは何をすれば手に入るの??」
「お前・・・金額的な部分以外を聞いていなかったのか??
魔王がさっき1人で向かったバクサクヒュドラを倒せば出る報酬だとさ。
言っとくが・・・追いかけるとか言ったらグリグリ100回は考えておけよ??」
メルトはハルトが警告しなければ言っていたと思わせる口の動かし方をしながら手で口を塞いで顔を横に振っていた。
「報酬金額が高い分危険度もあんな魔獣の類とは比べ物にならない程に高く。
儲けだけを見て受注したハンターや冒険者がどれくらいバクサクヒュドラのお菓子になったことやら・・・・」
「そこまで言うのなら!!なおさら私たちが援護しないとヤバいんじゃないの??
魔王も一応女なのよ??」
「それは分かっているが・・・あの魔王だぞ???
だが、この戦いで魔王の力の度合いと言うのがわかるかもしれないな・・・・
バクサクヒュドラが強いのは分かったが、魔王自身の強さは未だに未知数。
このバクサクヒュドラを1人で狩れるとなれば魔王の株も急上昇。
逆に敗退したとなれば魔王の限度がわかるし・・・見に行くだけって約束できるか??」
ハルトの考えがちゃんと伝わっているのか定かではないが・・・2人は魔王の邪魔と戦闘の参加をしないことを条件に魔王が向かったバクサクヒュドラの住処に移動を開始した。
そして、指定ポイントに到着すると・・・魔王とバクサクヒュドラが激しい戦いを繰り広げていた。
「ハァァァアァァァ!!!!!!!」
「グギャァァァァァ!!!!!!!」
「こりゃ・・・ダメだわ・・・私たちじゃ一瞬でやられちゃうボスよ・・・
それと対等に渡り合ってるって・・・魔王のスペックはどうなってんの??」
「そりゃ、魔王の血筋ですからね・・・相当な魔力と力量を秘めているのでしょう。
この戦いぶりを見ると私の想像が甘かったですが・・・・」
「よ、よよよよよし!!!俺たちはもう少し後ろの方で見学しよう!!!
こんな激しい戦いだ・・・流れ弾とかシャレにならん。」
ハルトのフラグを回収するかのようにヒュドラのブレスがメルトの近くに着弾し。
大きな穴が出来上がるのを見ると。
メルトは無言のまま一目散に後方の岩に移動してお山座りをして耳を塞いでいた。
「おい、メルト大丈夫か??
あとさ・・・あの強靭な強さを誇る魔王がまだ戦っている状態だが・・・コレは大丈夫なのか??」
「あと10センチ・・・・10センチずれてたら今頃・・・・ガクガク・・・」
「・・・・・・・・・・・・メルトはショック状態ですね・・・・
魔王の方ですが・・・なんだか楽しんで戦っているように見えるのですが。
見間違い?それとも気のせいでしょうか??」
キルりんの目で見た魔王の表情は激しい戦いに喜び燃え荒々しくも魔王と言う風貌を見せており。
ヒュドラの激しいブレス攻撃を空中で避けながら大剣で首を1つまた1つと切り落とし。
キルりんの言っていた通りに楽しんでいる様であった。
「さぁ・・・残す首も全て
このまま無様に何もしないままやられるもよし・・・無駄に抵抗して死に散るのもまたよし!!!!」
「グギャァァアァァァァァ!!!!」
「んなッ!?あれってヤバい攻撃なんじゃないか!?
おい、メルト!!!ココも危険だ!!!こっから離れるぞ!!!おい、聞いてんのか!!!!」
「いや・・・今出ると巻き込まれる可能性の方が高いわ!!!!
私の安全スペースはここなの!!!誰にも不可侵なの!!!!
わかったら私の盾になりなさいよ!!!バカハルト!!!」
「あ、さっきのメルトの声にヒュドラが感ずいたようですよ???」
ハルトはキルりんの言葉が嘘であってくれと願いながらヒュドラの方を向くと・・・残った首のすべてがこちらを睨みつけ。
凶悪的な光を放つブレスをこちらに向け始めていた。
「何ッ!?ハルトたち!!!どうしてこんなところに来ているんだ!?
ここはすでに超々危険な戦場と化しているのだぞ!?」
「いや、悪い・・・メルトがどうしてもって言うからさ??」
「えぇ!?全部私のせいなわけ!?それはずるいんじゃない???
ハルトだって魔王の負けるところがとか言ってたクセに!!!」
「メルトも魔王もここは言い争ってる場合じゃないです!!!
刻一刻とヒュドラのチャージが溜まって来ていますよ!
私たちはすぐに撤退しますので・・・魔王はヒュドラをお願いします!!!」
キルりんがそう言うと・・・メルトの腕をハルトとキルりんが掴んで走り出し。
魔王はこの状況はマズ過ぎると・・・自身の持つ最大の魔力を使って魔法障壁を作ると同時にヒュドラの神々しい光のブレスが魔王の魔法障壁に直撃した。
「グギャァァァァアァァァァァアァァ!!!!!!!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!!!!
ぐぁぁ焼ける・・・焼け落ちてしまいそうだ・・・・最後の最後でこんな結末とは・・・私の運も尽きたか―――――――」
「何を1人でブツブツ言ってんだ??
少し露出度の高くなった魔王さんよ。」
魔王がブレス攻撃を耐えている間にハルトは魔王の足元に戻って来ており、魔王に自身の服装の説明をすると・・・・
「何をバカなことを言っているんだ!?
下らない事を言うために戻ってきただけならば早く逃げろ!!!これ以上は私の障壁でも持たないぞ!!!
それに・・・今逃げる機会を失えばメルトにキルりん・・・王国が・・・全てヤツに食い尽くされてしまうぞ!!!」
「だったらそこは逃げろじゃなくて手伝えじゃないのか??
あの2人なら全速力で逃げたから問題ない。
それよりも魔王がこんなマネをするのも俺たちが悪いしな。
だから俺は帰れと言われても手を貸すぜ!!!!
これからイマジンでスキを作る・・・だから魔王は障壁を解いてアイツにトドメをしろよ!!!
――――――――――――イマジン!!!!!!!」
魔王の言葉を待たずにハルトはイマジンを発動し、ヒュドラの頭上に巨大な岩塊を出現させると・・・・魔王は奥歯を噛み締めながら障壁をその場に残してヒュドラの元に飛び立つと。
魔力の供給が止まった障壁は糸も簡単に砕け散り・・・ハルトはブレスを全身で浴びた。
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