44日目 ドキドキ、スチームサウナ室!!

アルダは目を回し・・・回復するまでに間に体が治り切るのか心配になり、メルトの魔法は攻撃しかないと知っていたため・・・魔王に回復の魔法を頼むと、魔王は喜んで回復魔法を発動した―――――――――


「あぁ~~~生き返る~~~魔法での回復は初めてだが・・・結構いいもんだなぁ・・・・あぁ・・・・きくぅ~~」

「ハルト、なんだかおじいちゃんのような声が出ていますよ??」

「勝手に言わせておきなさいな。

で、このアルダとかいう伸びた魔王はいつ目覚めんの???

戦闘面は魔王クラスの強さだったけど・・・どうなってんのよ??」

「アルダの弱点がきっと・・・近距離からのなんだろう。

だからここまでの肉体的、精神的にダメージが入り・・・気を失ったと言った感じだろう。

よし、ハルト・・・傷の治療は完了した。

それにしてもハルトの自己修復は便利だな・・・回復する対象が身に着けた衣服まで再生するとは。」

アルダにボロボロにされた衣服も体の再生と同じように元に戻っており・・・アルダが目を覚ますと、ため息をつきながら机に向かい・・・何かを作り、投げ飛ばしてきた。


「そのパスがあれば私の許可したVIP扱いとしてこの銭湯のが楽しめるわ。

ちゃんと、魔術刻印も押したからスタッフには通じるし楽しんで・・・

まさか・・・この魔王の私がこんな若い子供に負けるなんて――――――」

「殺すだけが勝負ではないと言う事だ。

ハルトの声で気絶した状態なら、アルダの首を落とすくらいワケが無かったが・・・ハルトはそうしなかった・・・それはこのが欲しかっただけなのかもしれないが・・・結果は結果だが奪われなかったその命を大切にするといいんじゃないか?

おい、ハルト~勝手に行ってしまうんじゃない!!!」

「ハルト~待ってくださいよ~~~」

「そう言う事だから・・・あと、ゲンジィの新居の差し押さえの紙も回収させてもらうわ!!!ハルトってば肝心のコレを忘れて・・・どんだけ銭湯楽しみだったのよ・・・まったく――――――――」

メルトは散らばった紙の中から魔法でゲンジィに関係のある用紙を掴み、新居を差し押さえる内容と印鑑を確認してアルダから無理矢理奪ってハルトたちを追って走って行った――――――


「最後の黒髪の女は強欲にも程があるんじゃないかしら???

――――――それにしても、魔王の私を破るとは・・・少しだけハルトに興味が出て来たわ・・・・これは・・・先に手を打っておいてもよさそうね・・・フフフ。」

と、アルダは再びバスタオル一枚になると・・・指をパチンと鳴らし魔法陣に乗って転移して消えた。


「オラオラオラオラオラ!!!VIPの人間様のお通りだァ!!!道をあけぃ!!

――――――――――ひゃっほーーーーーー」

「お客さん・・・ウチは飛び込みは禁止なんで・・・ん!?VIP様でしたか・・・コレは失礼しました!!!」

キルりんたちと風呂場前で別れる前に・・・各自、自由に風呂に入り飽きたら宿屋に戻るという事を決め・・・俺は1人で温泉に入って満喫していると・・・・


「キルりんってば飛び込んじゃダメでしょ!!!

コレだからマナーの足りないは・・・・」

「何を言っているんですかメルト!!!男子風呂の方からハルトの飛び込む声がしたじゃないですか!!!私よりもハルトの方がもっと子供ではないでしょうか!?」

「50歩100歩だな。

お~い、ハルト~湯加減はどうだ~」

「お前らはもう少し静かに風呂に入れないのか??

風呂って言うのはな・・・なんだかこう・・・落ち着くって言うか――――――」

長い話になりそうと感じた魔王たちは風呂を移動し始めたのか・・・風呂から上がる音が聞こえ、声がしなくなっていた。


「ったく・・・話しかけておいてこっちが話しだしたら移動とか良い趣味してるぜ・・・・さて俺も風呂移動するか―――――――――

ん?特別風呂??なんだか面白そうだな・・・・コレに入ってみるか。」

風呂を探して歩いていると・・・看板に面白そうな風呂が書いてあり、移動してみると魔のモノに人気の風呂なのか、どこを見ても魔のモノで一杯で・・・邪魔にならないように間をあけて入ると、近くの魔のモノが話しかけてきた。


「よう、お前さんもしかして普通の人間か??」

「あぁ・・・そうだが・・・何か用っすか?

もしかして、魔の方専用の風呂でした?」

「んにゃ~そう言うわけじゃないが・・・お前の面が怖いからビビっちまってるじゃねぇか・・・」

「まぁ、俺たちは人間と距離を置いて生活してるもんでよ・・・人間を見るのが初めてでどんなもんなのか声をかけただけだが・・・迷惑だったか?」

魔のモノは意外と丁寧な話し方で接し・・・どんな話がしたいのか尋ねると・・・魔のモノは少しテンションが上がって色々と聞きたいことを考えて尋ねてきた。


「そんじゃ・・・人間の子供はどうやって作るんだ??」

「オイ!!!いきなり話しにくいワード出すなよ!!!それは健全に言わせてもらうと鳥が運んでくるんだ!!!はい、次!!!」

「人間の子供は鳥が運んでくるんか!?なんだか俺達とは全然違うんだな!!

そんじゃ次は何を聞こうか・・・・・」

適当に答えに魔のモノたちに少しウケ・・・次の質問を考え始め・・・・


「それじゃ、人間の趣味は殺し合いって本当なのか??」

「人間は別に殺し合いは好きじゃないぞ!!!ただ、国の王が命じたから戦って仕方なく殺している事もあるだけで・・・特にに暮らしている人間は殺しが趣味とかないから安心しろ。」

「そうけ~~んじゃ、お前さんはどちら側なんだ???」

俺は後者の普通の人間と言うと・・・笑わせる気は一切なかったのだが魔のモノ達は大きく笑い、最後の質問と言って尋ねてきた。


「長いこと尋ねっぱなしで悪いんだが・・・最後の質問させてもらうとだな・・・

お前さんたち人間は・・・俺たち魔のモノをどう思う??怖いか?憎いか?

別に、何と言われても俺たちはお前さんを殺したり何もする気はないから正直に話してもらえると嬉しいな―――――」

「急に難しい質問だな・・・・そうだな・・・俺はお前たちが怖いとも憎いとも思わない。

ただ、俺以外の人間はまた別だと言う事だ・・・・だが、誤解するなよ?

十人十色という言葉があるくらいだ・・・感じ方も答えも人それぞれだ。

だから、お前たちが人間を好きになれば全員とまではいわないが・・・ある程度の人間は仲良くしてくれるんじゃないか??」

と、綺麗な言葉で語ると・・・魔のモノたちは一斉に泣き始め・・・・俺に抱き着いてきた。


「うおぉぉぉぉおぉおおぉ!!!

お前、良いヤツ!!!すごくすごく親切でいいヤツ!!!」

「ぐすん・・・んだんだ、人間も噂で聞く程腐ってもなさそうだ・・・何か困ったことがあれば俺達に言ってくれよ!!!なぁ、兄弟!!!」

「お前さんは今日から俺たちと仲間だ!!!今日は宴会だな!!!」

「うぅううぅ・・・苦しい・・・お前ら・・・少しバックバック!!!」

魔のモノの感激の抱擁に危うく意識を持っていかれそうになりながら・・・何とか距離を離すと・・・俺は違う風呂に行くと言って魔のモノ達と別れ、この銭湯城名物であるスチームサウナ室に入ると目の前が見えないくらい湯気でムンムンしていた――――――――


「マジでスチームって言うだけの事はあるな・・・目の前が真っ白だ・・・・

――――――足元しか見えねぇ・・・・ん?誰の足だ?」

足元の案内を見ながら席まで移動すると・・・なんだかカラフルなマニュキュアを塗った足が隣に見え・・・気にせず隣に座ると、その隣から話しかけられた。


「さっきはどうも・・・・不死者くん♪」

「な、ななななな・・・・おまッ!?ここ男風呂だぞ!?」

カラフルな爪をした足の主は・・・先ほどまで戦い、気絶していたアルダで・・・・スチームサウナ室には特に男・女専用や混浴などと書かれたプレートはなかったというと・・・・アルダはきゃははと軽い笑い声をあげて顔を近づけてこう話した。


「私がこの城の主って事を忘れちゃいけないよ??

看板でも何でも思いのまま・・・つまり、ここは紛れもない男の風呂場にあるスチームサウナ室で間違いじゃないけど・・・・今はどうなのかなぁ???

あれ~おかしいなぁ~女風呂の賑やかな声がするね~~~きゃはは。」

「おまえッ!絶対さっきのひょいひょいってヤツで転移させただろ!?

クソッ!!!こんな場面・・・アイツらに見られでもしたら・・・仲間とかVIPとか関係なしに俺の人生が終わる――――――――――」

「メルト、メルト!!こんなところにスチームサウナ室がありますよ!!!

入りましょうよ!!!少しだけ!!!」

「しょうがないわねぇ~少しだけよ??」

「うわッ・・・すごいスチームだな・・・本当に目の前が見えないな・・・・さて、失礼して・・・・お~い、こっちに3人分の席が空いているぞ~」

キルりんたちが目の前を通り過ぎ・・・後ろの方の席に座ると、アルダはニヤッとこちらを見て楽しんでいるように見え・・・俺の事をどうする気だと尋ねると、アルダは少し考えてから俺の腕を指でスゥっとなぞる用に触れ・・・「イイコト」と耳元で囁いた――――――――――――

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