43日目 銭湯城の主アルダ

馬車に乗ってから数時間・・・俺たちは夜行馬車に乗ったこともあって、到着した頃には日が昇っておりすっかり朝になっていた。

そして、馬車から降りた場所は・・・メルトが目指していた国の1つであるガイゼル王国であった。


「すごい人ですねぇ~トカゲマンに色んな人種がいますねぇ~」

「本当にゲームの世界みたいだ・・・・で、これからどうするんだ?」

「まずは・・・宿屋の確保とアルダの銭湯城への行き方を聞いて移動ね!!」

「よし、それじゃ・・・まずは宿屋の確保からだな。」

と、俺たちは宿屋の確保を目指して移動を開始し・・・街の中を探し回り、やっとの思いで宿屋を取ると早速アルダの銭湯城までの行き方を宿屋のおっさんに尋ねると・・・・


「ガッハッハッハ!!!この国に観光に来るお客さんは皆ソレ目当てだな!!!

ホラヨ、これが案内のパンフレットだ・・・おい、ここだけの話だ・・・アルダの銭湯城にはの特別プランがあるから楽しんできな!!!あと・・・・コイツを持っていきな!!!男性専用割引クーポンだ!!

っと・・・お嬢ちゃん達はゆ~っくり温泉に入ってもっとべっぴんさんになってきな!!!

――――――――――ガーハッハッハ!!!」

「何だか胡散臭い話をしていましたが・・・ハルト?そのパンフレット見せてくださいよ・・・・ん?ハルト??」

「よっしゃ、すぐに行くぞ!!!アルダの銭湯城までの道は完全に覚えた!!!!

待ってろよ!!!アルダの銭湯城!!!!」

「何よアレ・・・なんだかあのおっさんと妙にコソコソと話してたけど・・・何を企んでるのかしら?使い魔ハルトの分際で!!!生意気よ!!だから・・・置いて行かないでよ~~~」

「おい、ハルト!!メルトまで・・・まったく・・・・」

魔王とキルりんを置いて走り出してしまった2人を追いかけて合流すると・・・その足でアルダの銭湯城に移動すると―――――――


「すっごい大きな風呂屋ですねぇ・・・・蒸気とかがブワァッと出てますね。」

「うむ、それと張り合うようにゲンジィの新居がアレか。」

「そんなのは後でいいのよ・・・で、ハルト・・・もちろん入浴するんでしょ??」

「も、ももも・・・もちろんだろ!?少しドキドキするが・・・さぁ行くぞ!!」

「いらっしゃいま―――――――」

扉を開くと・・・受付の魔種に出迎えられると、リアルすぎる絵に思わず扉を閉じてしまい・・・より入り辛くなり、代わりにとキルりんに先頭を行かせるとガチガチに緊張してナイフを構えだし・・・コレは駄目だとメルトに変えると、メルトはメルトで黒い髪をバカにされたようで・・・魔法を唱え始め、すぐに安全そうな魔王と交代して入ると――――――――――


「い、いらっしゃいませ・・・ご入場は4名でよろしいですか??」

「あぁ・・・魔のモノが1名と人が3名だ。」

と、慣れた風に魔王が受付に話すと・・・奥からバスタオル一枚の金髪の女がやってきた。


「あらあら、アナタ・・・ね~いらっしゃ~い!

そうだった、自己紹介が先ね~私はここの銭湯城の主でよ~よろしくねぇ~ん。

でさでさぁ~滅多に魔王クラスがここに来なくて滅んじゃったかと思ってたんだけど・・・・まだ外には魔王がいるようね。

安心したわ~~~アハ!!」

「ナニ、このキャピキャピした褐色ギャルみたいなの??

――――――――燃やしちゃっていいかしら?」

「だ、ダメですよ!!!さっき自己紹介で魔王とか言ってたので倒すには弱点を見つけないと不可能ですよ!!!

それに、攻撃的でもなさそうなので・・・ここは互いに穏便にいきましょう。」

「そうだぜ?俺たちは別に戦争をしに来たわけじゃない・・・ただの交渉とここの温泉を楽しみにきただけだからな!!!」

「アルダ・・・やはり聞き覚えが・・・ん・・・あぁ、幼稚園時代によくお漏らしをしていたおねしょのアルダか!!!」

魔王はアルダの知られざる秘密を吐いた瞬間・・・アルダは指をパチンと鳴らし、強制空間転移で俺たちを高級な部屋に飛ばし、アルダも服を着替えて転移してくると・・・・魔王に近づいて顔をジッと見つめ――――――――


「あ、アナタは・・・あの・・・私が犯した幼稚園時代の黒歴史の事をどうやって知ったのかしら???

と、言うより・・・その言い方・・・アナタが幼稚園に広めた張本人ね!!!!

アナタのせいで私がどれだけ辱められ屈辱を味わいながら卒業したのか知っているの!?!?」

「そのことについては・・・小さきとはいえ、やり過ぎた・・・すまなかった。」

「魔王ってやっぱ・・・・しっかりしてるよなぁ・・・お前らと違ってな。」

「ハルトに言われたくないわよ!!!あんただって相当なへっぽこクソッカスじゃないの!!」

「メルト・・・口が汚いですよ?それ以上言えばこのハルトと同じようにミジンコゴミ野郎にまでレベルが落ちちゃいますよ???」

と、口汚く罵られると・・・久々にカチンと来た俺は、2人の頭にグログリを捻じ込んでいると魔王同士の話が弾んだのか酒盛りをしていた。


「アナタ中々話が分かってるじゃないの!!!気に入った!!!幼稚園から時は流れ、この銭湯で私と出会ったのも何かの縁だ!!!

きっとその男は喜んで私の提案に乗るだろう!!!

全員、にならないか??」

「アルダ、急に何を言い出すのだ?

私はハルトと共にあるのだ・・・ただ、その誓いがある限り私は他のモノになることはない。」

「そーよそーよ!!!私だってこのバカハルトの主なんだから、ちゃんと話を通してもらわないと困るわ!!!いだだだだ!!!」

「で、こうも魔王は真っ向から返すと大体は後者の力づくと言う事をするんですよね~~私は大体の流れを心得ておりますので存分にハルトをぶっ飛ばしてやってください!!!」

「ちょっ何好き勝手に言って―――――――――」

と、キルりんの発言と同時にアルダは俺の真後ろに現れ・・・ニコッと笑うと、ハルトの頭を掴み上げ・・・自慢の手で串刺して見せて放り投げて満足そうな顔を浮かべていたが・・・・


「アルダ、それでお前はハルトを殺したというのか?

だったら・・・アルダ・・・お前は永遠にハルトを殺すことなどできないだろう。」

「なんですって???人間と自ら言っていたあの男の腹を私の手が突き抜けたのよ?ホ~ラ、ピクリとも動かないじゃな・・・・いの・・・アレ?死んだはずの男が・・・・・立ってない?アレ??」

「ったくよぉ・・・人の体を燃やしたり腕をとったり腹を貫通させたり・・・この異世界の連中はガチなサイコパスかよって言いたくなるな全くヨォ・・・」

「早くこっちに来てごめんなさいしなさいよね!!!私たちは人間なんだから狙われると終わりなのよ!!!」

「大丈夫ですよ・・・こういったパターンでいくとハルトが死に絶えるまでああいう輩はハルトをサンドバッグにしますので。」

と、またまたメルトの言う通りになったというべきか・・・アルダは人間を殺す力ではなく魔王を相手にする力でハルトに攻撃をすると・・・攻撃した衝撃で部屋の壁やモノが弾け、衝撃によって飛び出たハルトを追いながら連続で攻撃を加え・・・ボロボロになるまで叩き、息の音がしなくなるのを確かめるまでもないというほどに渾身の力で攻撃し続け・・・次は5回ほど体を貫通させてから部屋に戻り、ハルトを転がすと―――――――


「で、アルダ・・・コレでオワリなのか??」

「当然でしょ!!!これだけ殴ってぐちゃぐちゃに引き裂いて魔法で痛めつけたんだから・・・死なないわけないじゃ―――――――

ウソ・・・マジ!?!?これ本当に人間なの??」

「そうですね・・・人間です・・・たあ、構造が特殊で彼は何をしてもされても死にません。」

「どう?すごいでしょ!!!さぁ、ハルト!!今度はあなたの番よ!!!不死者なんだから好きなだけ暴れちゃいなさい!!!!」

「いや、暴れることはしない・・・だが、ここまでボロッカスにした代償を払ってもらおうか???」

体の損傷が激しく・・・・ゆっくりと自然に治って行く体を見て、アルダは魔法で体中を再び貫通させるが効果がない事を悟ると、望みを聞こうと耳を傾け・・・

大声で「4人分の入浴料金をタダにしろ」と大声で叫ぶとアルダは急な声に目を回して気絶した―――――――――

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