18日目 魔王専用

JJソンソンを討伐し・・・ココノツ村の観光から帰ってから数日が立ち―――――

ぐうたらと生活をしていると、いつの間にか季節が冬になり・・・暖房器具を揃えたりすると、瞬く間に金が底をつき・・・コレはいけないと、稼ぎに行くことになったのだが―――――――


「な、なんじゃこりゃ!?害獣駆除依頼が掲示板に1つもないって!?

こりゃ、一体・・・どうなってんだ???」

「ハルトは知らないんですか???冬の時期は害獣が何故かわかないんですよ??

それに、この時期のハンターやギルドの人達も違う仕事で稼いで生活しているんですよ?ホラ・・・あのように―――――」

キルりんはギルドの外に指をさし、よく見て見ると・・・・俺達よりも腕のいいハンターが靴磨きをしていたり、大道芸をしているのを見て・・・マジでヤバイと感じ・・・害獣駆除以外のクエストがあるにはあるのだが―――――――


「ねぇ、ハルト!!私、この薬を作ってお金にするからハルトも仕事早くしなさいよ!!!いつもバカにしてた私に食べさせてもらうハメになっちゃうわよ!?」

「それでは、私は冬の間・・・天界でぬくぬくとゴロゴロするので・・・また春にでも・・・サラバッ!!」

「ちょッ!?こらッ!!!里帰りはまだ先だろ!?年もまだ明けてねぇだろうが!!!この・・・ろくでなし天使めッ!!!」

「で、ハルト・・・どうします??・私たち2人だけになっちゃいましたが・・・

私は暗殺をすれば稼ぎは出ますが・・・この冬の仕事は寒くて嫌なんですよねぇ~ですが、働かないと食べてもいけませんし・・・あそこのバイトでもしますか。」

どいつもこいつもポンコツだが・・・調合系の仕事はメルトが得意らしく、評判はまちまちで・・・たまに、飲んだ薬品の副作用でカエルになってしまう事を覗けば調合の仕事は何とかなっており。

バイトと言っていたキルりんは・・・タダメシに惹かれてウェイトレスを志望したのだが、そこの制服を着るのにはが足りず、仕方なくウェイターの衣装でバイトをコツコツとやっていた―――――――


そして、俺はと言うと・・・冬の帰還だけ求人募集が出ていた派遣に登録して見事に当選し・・・派遣先に向かったのだが、か魔王の城で働くことになってしまった。


「派遣の・・・ハルト??なんだかひょろいが大丈夫か??しっかり食べてるのか??まぁ、当選したんだ・・・しっかり働いて稼ぐといい。」

「よ、よろしくお願いします!!!」

「それじゃ、さっそく・・・・場内の見回りをしつつ、不審者がいたら通告ボタンを押して知らせるように!!!それでは。」

言うまでもなく派遣の仕事はで・・・俺は複雑な気持ちで場内の異常や不審者がいないかぶらぶらしながら見て回っていると―――――――


「ギャオ~~~ギャオギャオ~~~~ギャオ~~~」

「あ~~~異常発生!!!不審者アリ不審者アリ!!!」

何だか意味不明で得体の知れない着ぐるみを被ったソレを見つけると、俺はすぐに叫びながらボタンを押すと・・・兵隊が集まり、その着ぐるみを取り囲んで・・・隊長が現れ――――――


「こ、この謎の不審者がいまして・・・・」

「これは・・・いかにも不審だな・・・そこのヤツ、中から出てくるがいい!!!さもなくば即刻、死刑に処す。」

「ギャ・・・ギャオ―――――――フフン、この見事な変装がなぜバレたし?はぁ、わかったわよ・・・これで満足かの??」

不審な着ぐるみから出てきたのは角と尾の生えた女性で・・・それを見た瞬間に隊長や兵隊は膝をついて謝罪を始めた。


「も、申し訳ありませんッ!!!ァ!!!」

「はぁ!?このへんてこな着ぐるみを着てたのが魔王だってのか???

この世界はどうなってんだよ・・・・・」

「おい、そこのバイトの人間!!!図が高いぞ!!!クビになりたくなかったら早く膝をつけ!!!」

「よい、そこのバイト人間・・・どうやって私の変装を見抜いたのだ??

コレは完璧な変装だったと思うのだが???」

変な呼び方が定着する前に「ハルト」と名前を伝えてから・・・魔王にどうしてわかったのかを伝えると、魔王は大きく笑いだした。


「そうかそうか!!!この私が作った自信作が・・・原因か・・・少ししょんぼりだ・・・・自信あったのに―――――」

「キサマァ!?人間の分際で魔王様をませるとはいい度胸だ!!!

この場で処して――――――」

「おいおい、待てよ!?話せと言ったから話してやったんだろうが!?

そう言う事なら俺はこのバイトを辞めさせてもらう!!!それじゃ!!!」

俺は面倒事に巻き込まれる前に兵隊をかいくぐって帰ろうとしたしたとき・・・・魔王は何かを思いついたかのように俺に命令してきた。


「そこのハルトとやら、そちはこの私の美よりも高い美意識があると見た・・・・

それでだ・・・バイトなんかより私専用の美術の担当となってはもらえないか??」

「魔王・・・あんた、マジで言ってんのか???俺は魔王アンタやそこにいる兵隊たちが見下す下等な人間だぜ???」

「そうだそうだ!!!下等な人間は帰れ!!!里に帰って芋けんぴでも食べて寝てろ!!!――――――――ギャァァァァァ!!!!」

「サブリーダーぁぁぁぁぁあぁ!!!!」

魔王は俺に対する暴言を吐こうとした兵隊に変なことを言えば「こうなるぞ」と見せしめにするかのように燃やし・・・再び俺に問うてきた。


「私は人間をと思ったことはない・・・ただ、そう言うしかこのモノ達をまとめることができなかっただけだ。

私の本心はただ・・・あの王国にいる王に一泡吹かせたいだけだ。

あの忌々しい国王メェ・・・・・・っと、そんなことは置いておいてどうだ?やってくれないか??」

「俺の授業料は高くつくぞ???」

その回答に魔王はコクリと頷いて俺と握手を交わし、バイトの地位から一気にランクが上がり・・・城内のVIP部屋での生活に切り替わっていた。


そして、授業の時間が来ると・・・俺は魔王の指定した部屋に入ると、そこは絵の具やら何かしらで滅茶苦茶になったカオスな部屋であった。


「あ・・・・部屋、間違えました――――――」

「おいおいおいおい、ハルト!!!部屋は合っておるぞ!!!

戻ってこ~~~い!!!」

部屋からひょこっと顔を出して呼ぶ魔王であって魔王に見えない魔王に呼ばれ・・・ため息をつきながら部屋に入り、魔王に何をしたいのかと尋ねると・・・美意識の育成と大きく言われ絵を描くことから始める事にして書かせたのだが。


「ここがこうで・・・こうこうで・・・こここうじゃッ!!ほれ、できたぞ!!

どうだ、!!」

「先生かぁ・・・これはこれでいい響きッ!?って!?おまッ!?書く対象はそこのリンゴのはずだが・・・どうしてガップ○ンを書いてるんだよ!?

お前は一体どんな目をしているんだよッ!?」

色々とツッコミどころ満載な絵を魔王は自信満々に書き・・・この仕事を受けるべきではなかったと後悔しながら魔王の美意識向上授業が始まった――――――


「ん~ハルト先生の言うリンゴはどういったリンゴが好みなのだ??

何度も何度も書かせおって・・・コレが何の成果につながると言うんだ???」

「それは、まともなの絵を書いてから言ってくれないか???

何だよ・・・この・・・カラーバリエーション豊富なガップ○ン画集じゃねぇか!!って!?言ってるそばから!!!

あぁ・・・そうじゃない・・・ほら、手をかしてみ。

ここをだな、こうやって・・・そうそう――――――って!?どうしてそこでお前は目と口を書こうとするんだよ!?」

この魔王は天然なのか無駄なモノを付け足す才能でもあるのか?と考えるレベルで蛇足マスターの称号を欲しいがままにしていた。

そして、45枚目にしてやっと1人で綺麗なリンゴを書けるようになっただけなのだが・・・・相当嬉しかったのだろうか、今までにない笑顔で喜び、少しはこの仕事を受けて良かったのかも?と考えるレベルになっていた。

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