『北風への願い』
季節は巡る。
北風が、今は誰もいない私の隣を駆け抜ける。
右手だけが妙に冷たい。
この前までそこにあったはずの温もりが無いからだろうか。
そう考えれば、目頭だけが温かみを増してゆく。
北風に願うのはただひとつ。
ねぇ、あの人を忘れられずに苦しむ私を助けて。
そして私に暖かい春を届けて。
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