花道

梅が枯れた

もう葉が茂り、瑞々しい青が梅を隠す

なんとも短い間だったろうか

通勤途中で何度も見かけた早咲き梅は、もう元の姿からは程遠く

それでも若鳥が留まり、鳴くものだから

まだまだ春は早く遠く、冬も近く遠く

変わらずの季節

私は、ただの歩行者。観察者。

早咲き梅よ、君は早すぎたが他のものは今、綺麗に咲いている

赤も白も小さく芽吹いて生きている

君はなぜ早く生まれた。早く咲いた。

あの頃は鳥も少なく、君の生きる期間はあっという間であった

それでも咲いた梅よ、強風の中、雨ざらしで何を想った

私はてんで分からぬが君は咲きたかったのだろう

咲けて良かったな、通り道、君を見る度、私は楽しかったよ

白の梅、それは薄青に伸びる人生の道筋のようで

花道のようで

梅が咲いていた

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