第29話 歌丸師匠あれこれ




以前おとたまを連れてったのは、もう時効かなと思って書きますが、

歌丸師匠の落語会でした。


私・・・下手にかかわっちゃうともう泣くどころの騒ぎではないよな、

と踏んでまして、なので母親が亡くなった時も、

父親に「お疲れ」と言って泣かなかったし。


まあ母親との関係があまり良くなかったって言うのと、

母親は気付いてなかったのかもしれませんが、私にとっては毒親だった、

って面もありますが。


でも、妙なご縁で知り合った方にはそうではなく。


一応再度言っときますが、私中途障害身体障害者2級片麻痺持ってますが、

アニオタでゲームヲタでもありまして、

以前もう50年目玉おやじを演じてらした中の人が地獄へと逝ってから、

それはもう“第三者=旦那さん”の目線から荒れてんなぁ、と言わしめまして。


それほど一度も会ったことがない方でさえ、

こちらが一方的に親近感を持ってしまう傾向にある厄介さんでして。

あのあと閻魔大王も後追っかけてったんでダブルパンチでね・・・


たぶん肉親よりも大きな存在なんでしょうね、そういう方は。


肉親だとほら、いろいろあるじゃないですか、死亡届は出したのかとか、

役所にいろいろ手続きしなきゃとか、

バタバタ忙しくて悲しがってる余裕もないような気もします。


かたやこの間の歌丸さんの訃報。


虫の知らせというのか定かではありませんが、

一日二日前に私が旦那さんに言ってたんですよ、

あれは見といたほうがいい、って言うことを。


そしたら突然の訃報・・・


私はもう師匠が酸素吸入器つけてからのにわかファンで、

勝手に心配して、入退院繰り返してて、

もしかしたら私たちが行く高座もダメなのかなと思ってたりしました。


誤解しないでいただきたいのは、それが嫌だとか、クレーム入れるとかとは真逆で、

入院しちゃったのか、それでももう少しだけいのちが残ってますように、

お願いしますと言っていたにもかかわらず、当日が来、師匠が壇上上がってから、

やっとほっとしたんです。


その後、亡くなってからあちこちの記事を追っかけまわし、

追悼番組もこの私が何年振りかのリアルタイムで見、

泣いたり笑ったり号泣したりで、しかも録画するまでの徹底ぶり。


追悼番組見ては涙しました。

あれほど立て板に水のごとく40分も平気のへいざで語って、

お客さんの割れんばかりの拍手の裏で、

苦しいと・・・おっしゃってたのかと思うと・・・


COPDを患ってからも、

幾度か奥さまや周りのお弟子さんやらに弱音を吐いていても、

私たち観客の前では決して弱音のよの字も吐いたことはありません。


とある別の師匠が、落語家として大変尊いものを見せていただいていると。

本当に。

そのあとも旦那さんに強制的に見せるために録画を見ましたが、

やっぱり私は泣き笑いで。


にぎわい座にも今度行こうね、って言ってたのにね。

結局旦那さんは一度も高座を聴くことができず、師匠は旅立たれました。


横浜橋商店街の献花台にも行ってきましたよ、歌さんのイメージの花を携えて。


歌さんはね、何となく白、まっさらなイメージで、純白のユリと、

これも純白のカラー、カスミソウを添えました。


帰りふと聴いたBGMは、歌さんの落語で。

それでも、目の前で聴いたあの一日、数時間に勝るものはないと。


思っています。


もしも願いが叶うなら。


帰ってきてほしい。

そしてもう一度紺屋高尾を語っていただきたい、

その時は絶対旦那さん連れていきます。

あ、累が淵でも牡丹灯籠でも嬉しいです!


もう一度、生で歌さんの落語が聴きたい。

他の師匠も言ってたじゃありませんか、また帰ってきてください、って。

また戻ってきてくださいって。


戻っては来られないのかもしれないけど、それでも。

歌さんがいない世の中に、少しずつ慣れていくしかないのかな、って。


年単位になると思うけどね。


歌丸師匠、本当にお疲れさまでした。

生きていた時は始終苦しかったでしょうが、

もう苦しみとは別の世界へと旅立たれたんですよね。


それだけが唯一の救いです。

もう苦しまなくていいんだもんね。


ただ私はと言えば相変わらずの希死念慮がふわふわしてるので、

歌丸師匠は本当にご立派に旅立たれましたが、私は一日が終わるときには、

今日も一日何もなく終わったって言う気持ちです(笑)


何を言ってんだい!って、ちょっと叱ってくださいな・・・

・・・治らないと思うけど・・・


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