第150話皇博士とアルフォート社長
科学大臣ソフィア・クルーガーによる次元刑場遺跡調査が進む中、王立研究所エネルギー担当のヨウ・皇は菅原インダストリー社の詳しい情報を得るべくデーモンエレクトロニクス社のトニー・アルフォート氏を訪ねていた。
魔界時間14:41 魔王界中枢 帝王都サタンヘイルダム 商業エリア
デーモンエレクトロニクス本社 社長室
モニターに映る受付
受付:社長、シルフィード王国王立研究所のヨウ・皇博士がいらしております。
トニー:通してくれ。
社長室に転移するヨウ
トニー:久し振りだな。
ヨウ:私がここに来た理由・・・判るわよね?
トニー:菅原インダストリー社か。単刀直入に言わせてもらおう。その件から直ぐに手を引け君のためだ。
ヨウ:昔の私ならそうした。でも、今は違う。女王陛下は国のため、魔界宇宙全体のために自分から動いてるお方。私もあのお方のために動きたいの!
トニー:君をそこまで突き動かすとは・・・わかった。私の知る限りの事を教えよう。
コーヒーを出す社長秘書
ヨウ:有難う。それで、菅原インダストリー社社長、カムイ・菅原は貴方とどういう関係なの?
トニー:奴は・・・君と知り合う前、つまり私の中学時代のクラスメイトだった。奴は当時から己の利益の事しか頭になくいつも私と対立していた。
ヨウ:14天界王東洋サイドの『天神』菅原道真公と遠戚なんだからそれを利用すればいいのに。なんで
トニー:菅原道真公とその一族は大の親魔界派なんだ。そのせいか魔族嫌いのカムイのやり方が気に喰わなく、一族の間でも孤立していたのだよ。
ヨウ:そこに反魔界を唱える反魔党に共感を持ったというわけね。
トニー:袋井耀蔵はそんなカムイを『利用』しているのではと思っている。菅原道真公を14天界王から引き摺り下ろすための『起爆剤』にするためにな。
ヨウ:如何に天界宇宙で天界大帝様の次に絶対的権力を持つ14天界王様といえど重大なスキャンダルを引き起こせば失脚は免れないからね。
トニー:大方、袋井はそこから空席になった14天界王の椅子の1つに収まろうという算段なんだろう。同時に『第3次天魔大戦』の引き金にするためにな。
ヨウ:それでまた多くの利益を得ようとしている・・・とんだクズね。
トニー:袋井家の腐りっぷりは筋金入りだからな。
ヨウ:天聖銀行について何か知ってる?
トニー:残念ながらそれについては判らない。確か魔界宇宙4大バンクの一角『妖魔銀行』なら何か知っているかもしれないな。何故かは判らないが、天聖銀行は妖魔銀行を目の敵にしているらしい。
ヨウ:ふぅん。
トニー:ヨウ。
ヨウ:何?
トニー:考え直す気はないか?この件は君には荷が重すぎる。
ヨウ:確かにあの女王様はとんでもない危険を冒そうとしているかもしれない。でもあのお方は国内だけじゃなくて『魔界宇宙全体』ひいては『4界宇宙全体』まで見ている。誰よりも自分が動いて守り助けるのがあのお方の性格であり、心意気でもある。私はそこに惚れ込んだのよ♪
トニー:・・・・フッ、君には敵わないな。私がこの会社を継いで以降も奴は、カムイはちょっかいを出してきていたが、それ以外の事は残念ながら判らない。
ヨウ:それだけ聞けただけでも上出来よ♪じゃ、お邪魔したわね。
社長室を出ようとするヨウ
トニー:・・・・・!ヨウ、ちょっと待ってくれ‼︎
ヨウ:?
トニー:1つだけ思い出した事がある。実は数ヶ月前。とある1人の人間の少女がある電子頭脳のパーツを持ち込んだ事があった。
ヨウ:電子頭脳?
トニー:人界のとある国家で使用されていた都市管理システムの電子頭脳だ。
ヨウ:アレって確かちょっとしたバグでも暴走する事から先方に渡す前に廃棄処分したんじゃないの?
トニー:私はマスコミに公開しようとしたのだが、混乱を招くという理由から魔界宇宙中央政府よりの指示で公に出来なかった。実は強奪されたんだよ『黒衣の天使』に。
ヨウ:なんですって⁉︎
トニー:その少女の持ち込んだ電子頭脳とパーツの内パーツは間違いなく『菅原インダストリー社製』だった。そして、彼女の持ってた・・・我が社より『奪われた筈』の電子頭脳とそのパーツが一致した。
ヨウ:そのパーツの効果ってなに?
トニー:簡単だよ。その電子頭脳を『意図的にバグを発生させるシステム』だ。
ヨウ:そ、それってまさか!
トニー:その『まさか』だよ。全てを魔界の仕業にして人界宇宙の魔界に対する敵対心を煽るのが目的のようだ。
ヨウ:ねぇ。ソレ貸してもらえる?
トニー:乗りかかった船だ。私も君の女王陛下に協力しようじゃないか!
ヨウ:有難う♪じぁ、借りてくね!
足早に社長室を出るヨウ
社長秘書:宜しいのですか?アレが露見すれば我が社も無事では済みませんよ?
トニー:構わんさ。その時は私の全財産投げ打ってでも社員全員を路頭に迷わせないさ♪
社長秘書:貴方にそういう所に私を含め社員全員惹かれたのだと思います♪
トニー:フッ、最高の栄誉だな♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます