第54話魔道工学者

 シルフィード王国で発見された魔界宇宙最古の魔王具『静寂王の錫杖』ここに魔道工学の観点から解析していた科学者がいた。


 魔界時間13:00 都内オープンカフェ『ルミナス』


 私の名はケイスケ・マクスウェル。魔道工学博士だ。研究に行き詰まった時や、一仕事終えた時は必ず喫茶店で一息入れる。科学大臣にして『学界の魔女』としても名高い稀代の天才科学者ソフィア・クルーガー直々の依頼魔王具『静寂王の錫杖』の解析をやったが、これ程やり甲斐のある依頼は実に久しぶりだった。


 青年:失礼、魔道工学のケイスケ・マクスウェル博士ですよね?


 ケイスケ:えぇ、そうですが。貴方は?


 記者:これは失礼しました。私、こういう者です。


 名刺を渡す記者


 ケイスケ:『週間サイエンスジャーナル』魔界宇宙で有名な科学雑誌じゃないですか!


 記者:博士の論文拝見させてもらいましたが、実に素晴らしいものでした!『人界における魔法世界の証明』その中で人界宇宙は無数に存在するのに対し、魔法世界は1つという事実に基づくものには衝撃が走りました。


 ケイスケ:いえ、私はただ魔道工学界の重鎮、京都迅乃助(きょうとじんのすけ)教授から魔法界の話を聞いて確信したまでです。教授の話を聞かなかったらあの論文は書けませんでしたよ。


 記者:何を言いますか!魔道工学界の重鎮に並び称されるに相応しい快挙を2つも成したのですよ!1つは『魔法世界の証明』そしてもう1つは『静寂王の錫杖』のコアのブラックボックスの解析方法の糸口を見つけた事。これは誇れる事ですよ博士‼︎


 ケイスケ:どちらも背中を押したに過ぎませんよ。


 記者:謙虚というかなんというか。そこもマクスウェル博士のいい所なんでしょうなぁ。


 ケイスケ:それ程でもありませんよ。


 記者:いやぁ、いい話を聞かせて頂きました。お寛ぎのところすみませんでした。


 ケイスケ:いえいえ、お役に立ててなによりです。


 記者:それでは。


 カフェを出る記者


 ケイスケ:・・・・・ふぅ。


 ソフィア:ある意味災難だったねぇ


 ケイスケ:そうでもありませんよ。


 ソフィア:そうかい?ま、今回は助かったよ。急な依頼で悪かったね。


 ケイスケ:いえ、私としても実りある成果でしたよ♪


 ソフィア:そう言ってもらえると嬉しいよ♪


 ケイスケ:この国は興味深いものが多いですからね。また呼んで下さい。


 ソフィア:その時は遠慮なく頼むよ。


 ケイスケ:はい♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る